こんにちは。日本語国際センターのNCニコです。
今日は海外日本語教師研修プログラムの参加者を紹介したいと思います。以前にも19年度長期研修の参加者をご紹介しましたが(→カザフスタンのジュルドゥスさんとドミニカ共和国のアリさん)、今日は春期短期研修(=通称「ハルタン研修」)に参加しているスリランカの皆さんにお話を聞きました。
ガーミニさん、こんにちは。ガーミニさんはスリランカのコロンボで日本語を教えていらっしゃいますが、どんな学校ですか?
私がいるのはポルワッタ寺という、お寺の中にある学校です。生徒はお坊さんも多いですが、一般の中学・高校生や社会人もいます。
お寺の名前「ポルワッタ(Polwatta)というのは、“ココ椰子の庭”という意味で、お寺ができる前、ココナッツの木がたくさん生えた庭園のようだったからつけられた前です。
“ココ椰子のお寺”ってとても素敵なネーミングですね(^-^)
スリランカでは日本語はどれくらい人気があるのでしょうか?
日本語はスリランカでは一番人気があります。あ、英語は国際語ですので別格ですが、英語以外では、フランス語、タイ語、ヒンディー語などに比べて日本語の学習者はずっと多いです。
まず、私が教えているお寺で学習するお坊さんは、スリランカと日本のお寺どうしのつながりがありますので、日本語を学びたいと思うようです。一般の人々については、スリランカにも日系企業がありますので、仕事のために日本語を勉強したいという人が多いですし、日本への留学を考えている学生もいます。また、親戚や友人が日本にいるのでいつか行きたい、という声もよく聞きます。
学校での授業は週に何クラスくらい受け持っているのですか?
学校での授業は週に2日だけです。その他の日は、自宅を開放して教えたり、地方に行って教えたりしています。コロンボ以外の地方に行くと、日本語教師がほとんどいない状況があるのです。
スリランカでは国を24の地域に分けて数えるのですが、私の認識では現在、5つの地域にしか日本語教師がいません。私は日本語教師になってから5年ほどたちますが、これまでも頻繁にバスに乗ってコロンボからバスで50~100kmほど離れた地方に行って日本語を教えるということをやってきました。
今回、日本語国際センターでの研修で日本語も、日本語の教え方もより慣れることができたと感じているので国に帰ったら、地方に教えに行くという活動にもっと力を入れることを目標に頑張っていくつもりです。
すばらしいですね。スリランカと日本で、生活の違いについて感じたことはありますか?
日本とは生活が全然違います。
スリランカは今、政情が不安定で、1~2週間に1度はバスや人の多いところでの爆破テロが起こっている状況です。私の働いているお寺のあるところは比較的安全ですが、普段、学校に行って家に帰るまでは常に安心できません。そんな状況なので、人々はあまり都会に出てきたがりません。また、物価上昇が激しいので生活は苦しく、とても大変です。
・・・ここで、ガーミニさんと同じくスリランカから研修に参加しているチャミラさんとジーワさんが「お散歩に行こう」とガーミニさんを誘いにきたので、インタビューに加わってもらいました。
日本語国際センターでの研修中、平日の授業後の時間や週末はどうしていますか?お散歩以外にも、都内など、電車でどこかに遊びに行ったりもしますか?
チャミラ:
いえ…日本は電車賃がとても高いので、友達と約束があるなど特別な場合以外は、歩ける範囲のところにしか行きません。センターの周り、北浦和のまわりのお散歩は毎日のようにしています。日本は物価が高いので交通費以外も大変ですが、スリランカにいる家族や友達へのおみやげは、100円ショップでたくさん買いました!
確かに日本は交通費なんか、高いですよね。・・・さっきまでガーミニさんに、スリランカでの生活について伺っていたのですが、やはり日本とは環境が違いますか?
ジーワ:
はい。日本語国際センターでの研修で、いわゆる「教科書」以外の様々な教材を使った授業の仕方をたくさん習いました。これまで自分は教室でいわゆる教科書以外の教材を使ったことはほとんどなくて、「井の中の蛙」だったと感じました。スリランカに戻ったら、みんなの教材サイトやDVD教材「エリンが挑戦! にほんごできます。」、レアリア・生教材CD-ROMブックなど使って授業をしたいと思っています。
ただ、私が教えている学校では、パソコンどころか黒板すらないところで教えることもよくありますし、教室すら使えず、木の下で教えることも多いのです。そもそも教科書を使って授業をしようにも、たとえば27人の私のクラスで、教科書をもっているのは10人くらいだという状況もあります。
でも、環境が違っても、センターで習ったアイディアを使ってもっと楽しい授業をすることはできると思うので、いろいろ工夫していきたい、と思っているところです。
3人はとても仲良しですが、今回研修に来る前から知り合いだったのですか?
ガーミニ:
スリランカの日本語教師会にみんな所属していますので、お互いの顔は知っていましたが、今回センターでの研修にくるまではこんなに仲良くありませんでした(笑)。
今後はスリランカに戻ってからも、友人どうしとして連絡を取り合いながらやっていきたいと思いますo(^ー^)o
スリランカの日本語教師会はどんな組織なんですか?
ジーワ:
会員は今60人くらいいます。満月の日を“ポーヤデー”と呼ぶのですが、ポーヤデーの日に毎回、日本語教師会が開かれます。毎回、30人から40人くらいは出席しています。コロンボ周辺から集まってくる人がほとんどですが、中には少数ですが、地方から来る人もいます。
ジャパンファウンデーションの先生(日本語教育派遣専門家)やJICA、大学の先生たちが中心になって毎回のプログラム内容を決めて、会議や講義をするのですが、いつも面白い内容です。教師会の教師たちは日本に行ったことがない人も多いので、とても勉強になります。
満月の日の教師会、ってロマンティックですね。ご帰国なさってからも、スリランカでの様子など、センターにメールなどで教えてくださいね。
最後に、今回の春短研修の文化体験プログラムの中で、特に楽しかったものについて教えてください。
チャミラ:
茶道も華道も良かったのですが、私は個人的には相撲観戦が一番面白かったです。相撲についてはテレビで見たことも、話を聞いたこともありましたが、実際に見たのは初めてでした。特に良かったと思うのは、ただ相撲を見に行くだけではなくて、見に行く前にセンターの先生から詳しい講義があって、いろいろな儀礼の意味やルール、歴史などについてしっかり理解をしてから国技館に出かけたことです。
ジーワ:
それは歌舞伎も同じですよ。歌舞伎鑑賞に出かけるのは明日ですが、こないだ講義があったので、今から楽しみです。私は前に一度、歌舞伎は見に行ったことがあるのですが、そのときは全然意味が分からなくて大変でしたから。
それは実は日本人も同じだったりしますよ(笑)。ただ体験するだけでももちろん悪くはないのですが、意味が分かった上で体験した方がより鮮明な記憶が残りますよね。
ガーミニさん、ジーワさん、チャミラさん、どうもありがとうございました。お散歩に行くところを引き止めてしまってごめんなさい。本当に笑顔のまぶしい、スリランカの3人でした!
このインタビューは6月にしたものですが、先日6月25日、春短研修の修了式が行われました。10ヶ国30名、2ヶ月間の研修を終えてそれぞれの国に帰ってからも、日本語国際センターでの研修成果を生かしてますます活躍されることを心から願っております!
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