Wednesday, September 27, 2006

「石内都 :mother’s」展 開催中です。






みなさんこんにちは。松岡です*1





今日は、現在東京都立写真美術館で開催中の「石内都 :mother's」展のお話です。




この展覧会は、2005年にヴェネチアで開催された「第51回ヴェネチア・ビエンナーレ 美術展」(こちら)の日本館アーティストとして出展した石内都による展覧会の、日本帰国展です*2


ジャパンファウンデーションは、このヴェネチア・ビエンナーレで日本館の展示主催者として関わってきました。





今回は、先日の内覧会に潜入してきたトモイさん(新キャラ)に、展覧会の模様をリポートしていただこうと思います。


よろしくおねがいしまーす。






現在、東京都写真美術館で行なわれている、「石内都 :mother's」。


今回の展示は、昨年の第51回ヴェネチアビエンナーレで石内氏が自身の母親の遺品を撮影した作品で日本館を飾った展覧会の完全版となる。


彼女自身、この東京展の展示が『mother's』の最高の状態と語っていたように、これは単なる巡回展ではない。


今回、ベネチアでは未発表だった5作品に加え、新作の映像が1作品、計41作品が置かれている。


ヴェネチアから更に進化し、これ以上は何も足されることのない完全版だ。


映像の展示には最新のプロジェクターを使用し、ベネチアの展示を超えるクオリティだという。


ヴェネチアビエンナーレ同様、空間の使い方にもこだわりをみせている。


会場に入ると、静かに流れてくる『G線上のアリア』。


広い空間には大、小、それぞれの写真があるべき場所に収まり、奥にはスクリーンに映し出される鮮やかな映像。


皮膚。身体の一部。下着。口紅。靴。ブラシ。着物・・・。


「全身にまとわりつくきものは皮膚のひとつだから、一度着たきものをもらうのは他人の皮膚をもらうのと同じことでもある。」と石内氏が過去に記しているように、彼女にとって、身につけるものに対する思いは人一倍強い。


彼女の母が残した、誰かが着るわけにはいかない下着。


これらの遺品と向き合った彼女は、「もう、着る人はいない。」という現実に改めて直面し、想像を超える喪失感を味わうことになる。


この体験をきっかけに、『mother's』は始まった。


大きく引き伸ばされた写真は、想像していたよりとても迫力がある。


”母”という存在が、もはや撮影した石内氏を超えて、見るものすべてにぐっと迫り来る。


そして、”母”が”女性”であるということを、この展覧会は強く我々に語りかける。


観客はこの展覧会を通して、石内氏を自分に置き換え、個々に色々な思いを抱くに違いない。


「今回の展覧会で、遺品が(私の中で)遺品ではなくなった。作品が私の手を離れてゆくなんともいえない、心地よい感覚。・・・次は違うテーマで新しい作品をつくりたいと思っている。」と清々しく述べる石内氏が印象的だった。


過去の歴史と現在の空気を、未来につなげる。


石内氏は、この作品を完成させ、次に向かってもう歩き始めている。


「石内都 :mother's」 11/5(日)まで。東京都写真美術館にて開催中。


(text by トモイ



既に多くの方が色々なブログで本展の感想を書いてらっしゃいました。


トモイも「見るものすべてにぐっと迫り来る」と言っているとおりましたが、展示作品の持つ圧倒的な「何か」についてかかれているブログもいくつかありました。izmsさんもそんな一人。






・・・・。が、その写真の放つパワーみたいなのはずっと印象に残っていて、今回、亡くなったお母様の遺品を撮ったこの展覧会に興味を持ったわけ。実際、広告に使われている緑色の口紅の写真、すごいインパクトだったし。・・・・


ハハモドキ




Cobwebさんは、「写真から気持ちが伝わると」コメントくださってました。


凄いインパクトでありながら、「展示を見ながら泣きそうに」なったり。ブログの文面からも、本展の雰囲気がひしひしと伝わってきます。






展示を見ながら泣きそうになって、でもさすがにここで泣くのはーーーと思って、我慢して、あんま長いこといれなかったけど、もっといたかった。
でも泣きそうだから出て来てしまいました。
石内さんが亡くなったお母さんの衣服や、化粧品などを撮ったものなんですが、たぶんあの展示を見た人は皆自分のお母さんのことを思い出しながら、重ね合わせながら見て、すごいせつない気持ちになるんじゃないかな、というか私がそうだったです。
写真から気持ちが伝わると思いました。
だからぜひ行ってみてください
まだ始まったばっかで今日もすごい空いていていいです!
ぎりぎりに行くと混むと思うし、すいてる時に落ち着いてみたほうがいいと思いました。


Cobweb



11月5日まで開催中ですので、まだご覧になっていない方、ぜひ写真美術館へ*3




*1:インターン生特集ばかりが続いてしまって、だいぶ通常記事のブランクができてしまいましたね。失礼いたしました。近日中にとある発表がございますので、どうぞお楽しみに★


*2:ヴェネチアでは美術展と建築展が毎年交互に開催されていまして、本年は建築展が開催されています(こちら


*3:そして10月21日からは、同じく写真美術館で、現代建築に関する展覧会も始まりますよー。こちらはまた後日。詳しい情報はこちらへ。





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