皆さま、突然ですが、「レアリア・生教材」ってなんのことだかご存知ですか?
たとえば、こういうものや
こういうものも「レアリア・生教材」です。
「レアリア・生教材」とは、ことばの教育の場で使われる、
「実物」、授業のために作られたものではない、「ほんとうのもの」のことを指します*1。
今日は、このような「レアリア・生教材」を使った国際交流基金制作の、
『日本語教師必携「レアリア・生教材」アイデア帖』
発行:スリーエーネットワーク http://www.3anet.co.jp/
著者:国際交流基金
税込1,890円
<新発売>
『日本語教師必携 すぐに使える「レアリア・生教材」
コレクションCD-ROMブック』
発行:スリーエーネットワーク
著者:国際交流基金
税込み3,150円
(全国の書店でご購入いただけます)
をご紹介したいと思います。
皆さん、語学の授業で、教科書に載っていた地図やレストランのメニューのイラストを見ながら”How can I get to~?”とか、”I’ll take~”などの練習をした記憶がありませんか?
「レアリア・生教材」を使った授業では、イラストの代わりに本物の地図が、本物のメニューが使われます。それには、どんな効果があると思いますか?
日本語の授業でも、本物を使うことによって、現実のコミュニケーションに近い状況でことばの勉強をすることができるのです。日本語を学習する人は、「日本の街はこんなふうになっているのか」「日本のレストランではこんなものを食べられるのか」など、現実の日本に関する情報を得ることができるのです。
それだけではなく、日本に実際にあるものに触れることは、「これは何に使うのだろう」「どうしてこういうものが必要なのだろう」「こういうものが必要とされる背景は何なのだろう」と、日本の習慣や考え方、自分の背景にある文化との違いや共通点を考えるきかっけにもなります。
ただ「本物」を使って勉強をするだけ、のように見えるかもしれませんが、ことばを教える/学ぶ中で「レアリア・生教材」を使うことは、文化理解や、異文化の中で自分の立場を見つけることの第一歩となり得るのです。 だいじなとこ!
そう考えながら見渡してみると、私たちの周囲には「レアリア・生教材」があふれています。街を歩いて目にする看板から、郵便受けに入れられるチラシ、駅の路線図に食品パッケージ、雑誌や新聞の記事……。そればかりか、ペットの写真や旅行先で撮った写真、家にある雑貨、夏祭りの音や虫の音なども「レアリア」なんです。
ただ、こんなに材料がある上に、その利用法は本当にさまざまです。教える立場の先生方も実際にどのように授業で使ったらよいのか、迷ってしまうことがあると思います。日本語の先生でなくても、外国人の友達にちょっと日本語を教えたい、日本のことを知ってもらいたいと思ったことはありませんか?
そんな時に役立つ「レアリア・生教材」のいろいろな使い方を提案するのが、
国際交流基金制作『日本語教師必携「レアリア・生教材」アイデア帖』(以下、『アイデア帖』です。
目次をご紹介すると…
1.食品のパッケージ
2.チケットの半券
3.薬の箱や袋
4.料理メニュー
5.折り込み広告やチラシ
6.雑誌の公告のためのページ
7.路線図
8.自治体からのお知らせ
9.旅行パンフレット
10.贈り物のパンフレットやカタログ
11.占いの記事
12.ファッション雑誌
13.料理のレシピ
14.四コマ漫画
15.テレビ欄
16.日本の土産物や珍しい物
17.自分の家族やペット、旅行の写真
18.案内板や標識、看板の写真
19.自分で録音した音
20.自分で撮影した映像
21.新聞の記事
22.ラジオやテレビの番組
23.インターネット
さらに、この本に載っているのはこれだけではありません。
日本語の先生たちの体験に基づいたコラムも載っていて、日本語教育という立場を離れて読んでも「なるほど!」と膝を叩いてしまう興味深いものばかりです。
でも、実は身の周りにあふれるものの中から、使えるものを選び、いざというときのために保管し、整理しておくのはとても難しいことです。また、海外で教える先生方は特に、「レアリア・生教材」の入手自体に苦労なさっているのではないでしょうか。
今月発売されたばかりの『日本語教師必携 すぐに使える「レアリア・生教材」コレクションCD-ROMブック』には、約500点の「レアリア・生教材」が電子データのかたちで収録されています。『アイデア帖』を見て、やりたいと思った授業がすぐにできる、そんなコンセプトで作られたのがこの『コレクションCD-ROMブック』です*3。
勿論、『アイデア帖』で紹介されている全ての「レアリア・生教材」を収録することができたわけではありません。毎日毎日目を皿のようにして素材を探し、選び、募集し、掲載許可をお願いし、また一方でカメラを片手に街に繰り出し、ご協力者を募って映像や音声を制作……「レアリア・生教材」としてこれらをまとめるのは決して簡単なことではありませんでした。だからこそ、ここに収録された「レアリア・生教材」は、日本語教育に関心を持ってくださり、ご協力くださった多くの皆様のご厚意の賜物なのです。
皆さん、ぜひ一度お手に取ってみてください!
*1:「レアリア」が「もの」であるのに対し、その「もの」に書いてある情報を読み取る場合に「生教材」として区別することもあるそうです。
*2:「みんなの教材サイト」…日本語教材作成の素材をインターネットで提供する、国際交流基金運営のウェブサイトです。詳しい利用方法は、サイト内「はじめての人へ」をご覧ください。
*3:[ご注意] これらの資料の著作権は全て資料提供元にあり、本書・CD-ROMはこの提供元から許可を得て使用しています。これらを無断でほかの出版物やウェブページ、電子教材などに利用することは著作権の侵害になります。
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