Wednesday, September 26, 2007

「エリンが挑戦!にほんごできます。」って何がすごいの?(後編)






日本語国際センター(Nihongo Kokusai Center)のNCニコです。昨日に引き続き、「『エリンが挑戦! にほんごできます。』って何がすごいの?」の後編をお届けします。





日本語学習教材であるとともに、『エリンが挑戦! にほんごできます。』は、日本の文化を紹介する映像素材としても、とても力を入れて制作されているんです。簗島講師のプレゼンテーションの続きをどうぞ!



文化理解素材としての「エリン」





このDVD教材では、日本文化を「異文化」=「違う」という側面だけを捉えるのではなく、「多文化社会」の中でそれぞれの社会の文化背景を理解し、どのように「共生」していくのかということを学習者たちが考えていくための映像を提供しています。世界各国約1,100人の高校生からのアンケート結果や日本に留学経験のある人の意見を参考にしながら、40くらいのトピックを選びました。文化理解の方法についてはいろいろな学説・考え方がありますが、この教材では米国で外国語教育のカリキュラムや授業設計の指標として使われているNational Standardsに書かれている「3つのP」を取り入れました。これは、下の図にあるようなPerspective、Practice、Productsという3つの面・視点で文化という領域を考察するという考え方で、たとえば学校という場においてはPractice[部活に熱中する、授業を静かに受ける、図書館で勉強するetc.]、Products[制服、自転車、お弁当、手帳、電子辞書、携帯etc.]があることをDVDで映像として紹介し、Perspectives[例:人間関係(友だち、先輩、男女)、集団行動、受験戦争、テクノロジー、「かわいい」etc.]については映像を見る学習者たちの受け止め方によって、教師が一緒に選び、考えていけばいいのだと思っています。


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教材の中に「見てみよう」というコーナーがあるのですが、たとえば第14課では携帯電話を取り上げています。日本の高校生たちの携帯電話に電話本体よりもはるかに大きなぬいぐるみをいくつも付いていたり、ラインストーンできらびやかに飾られた携帯があったり、ジップロックに入れてお風呂にまで携帯を持って入る子( ̄■ ̄;)!?が登場したりします。正直、こんなシーンは年配の方からは受け入れがたいという声もあるのですが、出演してくれた高校生たちに「自分たちの生活の何を見せたいか」を聞いた生の声を尊重して映像内容を決めました。日本語学習レベルが中・上級くらいの学生さんであれば、こうした映像と、日本の携帯電話市場に関する新聞記事などを組み合わせて「携帯電話の功罪」について考えてみる、というような取り組みも可能かもしれません。





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また、「世界に広がる日本語」というコーナーでは、世界12ヶ国の高校生と、日本語を使って働いている人々を紹介しています。アジア、大洋州、南米、ヨーロッパ、アフリカ等、いろいろな国が見られるという点で気に入ってくださる人が多いです。今日はオーストラリアの高校生が「日本語探検センター」という施設で日本の家での住み方を体験しているところをご覧いただきますが、このように、「海外のいろいろな国でこんなに日本語をがんばっている人たちがいるのか」、「こうやって勉強してこの人はこんなに仕事ができるようになったんだ」と言ったように、学習者を励ます一助となればとても嬉しく思います。使われている日本語レベルが高いですが、「国際交流」という視点で、教師や日本人の方々の説明とともに映像を見せるだけでも、学習者は楽しんでくれると思います。



岩田講師:


外国人のための日本語教材というのが基本ですが、「世界に広がる日本語」を使えば、日本人向けの国際理解授業でも使えそうですね。これからの広がりを感じます。


A.T.:


DVDだと、コーナー別にまとめて見ることもできるということなので、「世界に広がる日本語」だけまとめても面白いドキュメンタリーになりますよね。海外のいろいろな場所で日本語を学ぶ人たちの熱意を見ると、その情熱に驚くと同時に、なんだか感動してしまいます。日本語をめぐってこんなに色々なストーリーがあるということを知るのは、日本人にとってもおもしろいですよね。


NCニコ:


第1課で登場する韓国のスーパー和食づくり少年の話なんかも、面白いんですよね~。私もこのコーナーはお気に入りです♪





岩田講師:


最後に僕が一言言いたいのは、価格。これはありえへんくらい安いです。DVD教材で2,400円(+税)ですよ。このクオリティでこの価格!!


NCニコ:


私もそれは声を大にして言いたいですね。売りたいから言うわけじゃありませんが(もちろん売れたらすんごく嬉しいんですがc(>ω<)ゞ )、日本人がフツーに見てても面白いです、これは。こないだの連休に家でエリンDVDをまとめて見てたんですが、いつのまにか私の親も「飽きないわねぇ、これ」とか言いながら一緒にずっと楽しんで見てくれて、「おっ。これは行けるかも」と思いました。意外に小さいお子さんのいる日本のご家庭なんかでも、高校生の可愛いオニイさん、オネエさんたちが登場して簡単な日本語を話していたりするのでお役立ちかもしれません☆


A.T.:


DVDの充実ぶりもさることながら、テキストもすごい盛りだくさんなんですよね。DVDのスキットは全てマンガになって載っていたりして、実は「単独にマンガとして読んでも楽しめる」という声もあったりします(@゚ー゚@)ノ


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NCニコ:


そうそう!このテキストのために、実写映像を見ながら本職の漫画家さんにスキットどおりのマンガを描いてもらったそうですよ。われらがセンターのことながら、ほんと手が込んでますよね。愛着を感じてしまいます☆。、::。.::・'゚





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『エリンが挑戦! にほんごできます。』の2巻と3巻は10月初旬に発売予定です。結局のところ宣伝に終わるのですが、本当に発見の多い面白い素材なので、一人でも多くの方に知っていただきたい一心です!NCのエリン・ワーキングチームからでした~~~。





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