こんにちは。JFICライブラリーの受付嬢です。
国際交流基金は国内に4ヶ所、海外に18ヶ所ライブラリーがあり、日本文化や日本語に関するコレクションを所蔵し、情報サービスを提供しています。私が受付をしているJFICライブラリーでは、国際文化交流および外国語で書かれた日本関係の資料を収集し情報を提供するとともに、国際交流基金の国内外での活動を紹介しています。最近では日本文化紹介の視聴覚資料も充実してきました。ライブラリーの横にはショップも併設されていて、国際交流基金の刊行物やグッズを販売しておりますので、皆様ぜひお気軽にお立ち寄りください。
さて、さる8月10日(金)に、JFICライブラリーは、講演会「カナダにおける日本関係図書館の概要:国際交流基金トロント日本文化センターライブラリーを中心に」を行い、専門図書館や大学図書館のライブラリアンにご参加いただきました。(会場:JFICコモンズ)
今回の講演者は国際交流基金トロント日本文化センターライブラリー主任司書リリーフェルト・まり子さん。彼女が勤務しているトロント日本文化センターライブラリーは、日本文化の発信を担う専門図書館として1995年11月に開館され、現在その蔵書数は14,000冊にのぼります。「カナダと日本の文化交流事業を行うことにより相互の理解を深めて、日加関係の維持発展に貢献、寄与する」との同センターの指針に基づき、貸出、閲覧、レファレンスサービス、インターネットや電子データへのアクセスサービスなどを行い、一般カナダ人や学生、専門家が日本に対する理解を深めることができるように日々努めていらっしゃいます。
講演では、カナダの日本関係資料の担当司書がどのような資料を収集し、図書館サービスを行っているかについて、大学図書館、公共図書館、コミュニティーの図書室など11の日本関係図書館を個別に例を挙げて語っていただきました。
現状としては、カナダにおける日本研究の研究者(研究対象は歴史、文学、経済が主)は大幅に減少傾向にあり、また研究者の高齢化が顕著で、「今カナダにおける日本研究について、どのような専門分野が必要か、研究者の世代交代、新しい日本研究の方向性などについて考える時期に入っている」との研究者による指摘も紹介されました。
加えて、ライブラリーの利用者数に関しても言及があり、どうしたらライブラリーに足を運んでくれるかが各館共通の切迫した課題であるとのことでした。この課題への取り組みの一環として、各館の特色を考慮しながら、朗読会や古文書ワークショップ、仏像彫刻のデモンストレーション、邦楽演奏会、折り紙パフォーマンス、英語字幕付き落語会など各種のイベントを開催もしくは共催したり、またデータベースを駆使することで日本関連の多種多様なレファレンスに対応し情報を提供したりと、付加価値のある機能をライブラリーに積極的に設けることで利用者の裾野を開拓、拡大していこうと奮闘しておられるとのことでした。
実際に現場に持ち込まれたレファレンスとしては、日系人の方による「自分のルーツを調べたい」、息子が日本に留学している父親による「日本の地図を見たい」などごく個人的なものもあるそうです。中でも、カナダ人女性からの「入れ墨にふさわしい言葉および漢字を知りたい」とのレファレンスには会場からドッと笑いがおこりました。
最近では、日本の古典文学や映画、美術に関する蔵書のほかにも、カナダの若者の需要に応えて日本のポップカルチャーを扱った資料も収集対象としているライブラリーもあるそうです。今後、カナダにおける日本研究の対象にどのような変化が現れるか、その動向に注目したいところです。
講演会の最後には、リリーフェルトさんのご発案により、サプライズのプレゼントが!講演中、何気なく身を預けていた椅子の下にシールが貼ってあった方は、見事当選!!!開館10周年記念イベント時に作成したトロント日本文化センターオリジナルバックがプレゼントされたのでした♪
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