Wednesday, August 1, 2007

[みなさんへの]「をちこち」インド特集号発売!



人事異動後、初登場となります、西納です。入社以来慣れ親しんだ日米センターを離れて、情報センターに異動し、『をちこち』の編集担当となりました。





さて、本日は、映画の日、肺(8/1)の日、『をちこち』第18号発売の日です!今回の特集テーマは、「インドを解く-Demystifying India」。2007年が、日印交流年であることを記念して取り組みました。大国インドを、専門家や現地在住の執筆者の皆さまの手をお借りして、宗教・ビジネス・歴史等々の切り口で「解く」特集となっています。目次のライナップはこちらをご覧ください。




非凡な交渉力を有するインド人とのビジネスのやり方を紹介する記事から、インドの魅力はインドの人にあるとしてその特長を分析する記事、世界で最も貧困人口の多い国*1であるインドの影の部分を探訪する記事まで、硬軟そろった読み応えのある号となっています。ぜひ読んでみてください。*2





さてさて、今日のブログでは、少し趣旨を変えて『をちこち』の表紙についてご紹介したいと思います。





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今回の表紙は、きりりとこちらを見据える女性を中心に様々な素材が配置されたインパクトのある作品を使用させていただきました。*3アトゥル・ドディヤ(Atul Dodiya)氏によるこの作品について、芸術評論家ランジット・ホスコテ(Ranjit Hoskote)氏より、コメントをいただきましたので、この場を借りてご紹介します。*4


















アトゥル・ドディヤ氏は、1959年ボンベイに生まれたインドを代表する現代美術のアーティスト。彼はこれまでに、既成の美の概念に囚われることなく、絵画、アッサンブラージュ、写真、造形の分野で優れた作品を残している。ドディヤ氏によれば、自身の作品の特長は、観る者の経験が、暗示的で抽象的な、かつ好奇心をかき立てられるような視覚的フィクションとして再構築される場所を生み出すことにあるという。





彼は当初、写真を通して冷徹なまでのリアリズムを追求したが、その後、多彩な要素を取り入れて抽象的な表現方法を求めるようになった。ドディヤ氏は、漫画雑誌の切り抜き、宗教を題材にした有名な石版画、映画のポスター、そして彼が惹かれたインド、ヨーロッパ、アメリカの伝統的な美術作品を表現手段として使っている。彼は「ファインアート」と大衆文化の両方から画像・技術・素材を取り入れることで、両者を区別するこれまでの枠組みの概念の破壊を試みている。





ドディヤ氏は、ピエロ・デッラ・フランチェスカ(Piero della Francesca)の絵画、ベノード・ブハリ・ムケルジー(Benode Behari Mukherjee)の絵画、ルネ・マグリット(René Magritte)の謎めいた幻想的な作品、原始的な表現方法を用いたコンスタンティン・ブランクーシ(Constantin Brancusi)の作品、葛飾北斎がもつ詩情豊かで優美な作品、クリスチャン・ボルタンスキー(Christian Boltanski)の直感を用いた技巧的作品、ヨーゼフ・ボイス(Joseph Beuys)のアッサンブラージュに見られる哀愁を帯びた表現方法に影響を受けているほか、日本の仏教美術から恐ろしい形相をした不動明王像も取り入れている。





しかし彼の仕事は、こうした作品をただ羅列することではない。彼はこうした豊富な素材を取り入れることで、真に現代的で、既存の文化概念の枠組みを超えた彼独自の表現方法を確立している。


(原文は英語)









インド特集の表紙を彩る作品”Karuna”は、結婚と男女の関係について描かれたシリーズ”Saptapadi: Scenes from Marriage (Regardless) ”の一部です。アートや写真が重ねられて一つの作品となる過程で、その作品に込められた意味も重ねられていくそうです。ドディヤさんの作品を自分なりに解いていくのもおもしろいですね。




*1:1999年時点で、インド政府によると2億6千万人、世界銀行によると3億5千万人


*2:『をちこち』18号は、全国の主要書店やオンライン書店、そして、9月29日(土)と30日(日)に行われるナマステ・インディア2007の会場(代々木公園イベント広場)でもおもとめいただけます!


*3:Satyajit Ray監督の映画Kapurush o Mahapurush(臆病者と聖者)に登場する女優Madhabi Mukherjee。映画は残念ながら日本未公開です。


*4:ホスコテ氏は、ドディヤ氏が2001年に個展「ボンベイ:迷宮(ラビリンス)/実験室(ラボラトリー)」を日本で開催した際にキュレーターを務めました。http://www.jpf.go.jp/j/others_j/old/0105/05-02.html





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