Wednesday, October 21, 2009

『カナダ研修報告』事業は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ!



みなさん、こんにちは!


「財務課に舞い降りた宴会採用の織田裕二」こと嵩原(たけはら)と申します。


今回は私がカナダで体験してきた海外事務所研修についてお伝えしたいと思います。


私は9月13日から10月9日までの約一ヶ月間、トロント日本文化センターにて研修を受けてきました。トロント日本文化センターは現地職員を含めても10人弱の事務所なのですが、図書館や展示ホールも保有して様々な事業を行っており、チームワーク良く頑張る職員の方々が印象的でした!


一人一人に担当業務を説明していただき、色々とお手伝いをさせていただいたのですが、お手伝いした事業の中でも特に印象的だった2つのものをご紹介したいと思います。





一つ目の事業は、研修二日目にあったAFIN(Asian Film Night)という事業です。 これは、トロント国際映画祭に際してアジアの映画関係者を招待してレセプションを行い、ネットワークの拡大・強化を図るという事業で、さすが映画関係者が集うだけあって栄華な雰囲気漂う方が大勢いらっしゃいました!「カムイ外伝」の崔洋一監督、「ウルトラミラクルラブストーリー」の横浜聡子監督を始め韓国とベトナムからも監督さんと女優さんがお越し下さり、大変盛り上がりました。


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私は買出しや会場の準備をお手伝いしたのですが、赤白ワインやビール毎に消費量を予測して分量を調節して購入し、食事の準備で日本料理と他国の料理のバランスを考えて用意するなど、事業を実施するに際しては細やかな気遣いが必要なのだと感じました。私はホストとしてゲスト同士が心地よく過ごしてコミュニケーションをとれる環境整備=受付や食事、飲み物、会場のセッティングや片付け等のロジ面をきちんと行えば良いと思っていましたが、参加者の輪に積極的に入っていき、お客様同士を紹介し、ネットワークを拡げるお手伝いをすることが重要だと教わりました。


「壁の花になるくらいなら裏で皿を洗っている方がマシだ!!」という教えを直前に頂戴し、監督やメディア関係者、映画のバイヤーまで必死に話しかけ続けました。


その会話の内容はもちろんのこと、最後にお見送りした際に崔監督に「ありがとう」と言って手を差し伸べていただいた時の畏れ多さと、それに勝る喜びは忘れることができません。





二つ目は、Nuit Blanche(ニュイ・ブロンシュ)というトロント中で美術館、博物館などが夜通しギャラリーを開放したり、パフォーマンスを行ったりする現代アートのお祭りです。トロント日本文化センターも参加機関として展示ホールを開放し、佐藤晃一ポスター展と、日本の現代建築についてのDVD上映を行いました。


一晩で2000人以上の人がセンターを訪れる一大イベントということで、私も夜通しお客さんの整理や見回りなどをお手伝いする予定だったのですが、「観て体感してこい」という有り難い指令を受けて午前2時頃から街を徘徊し出しました。色々な作品を観たのですが、ここでは基金が助成をした日本人アーティストの2作品の感想をお伝えします!





一つ目は、坂口恭平さんの『BICITYCLE (Bike City), 2009』 @5 am(鑑賞時間)


(作品の写真については以下のホームページをご参照下さい。)


http://www.scotiabanknuitblanche.ca/exhibition.aspx?zone=C&rowID=8





ホームレスの生活からインスピレーションを得たというその作品は、がれきのようでもあり宝のようでもあり、


観客と一体となって完成する芸術作品でした。


負荷のある、漕ぎ難い自転車を童心に帰ったように懸命に漕ぐ真夜中の大人達。


暗く肌寒い明け方の郊外に浮かぶ仄かな明かりの下では、たまにチェーンや車輪に巻き込まれてしまうズボンの裾、


あるいは買い物袋のように観客が作品に惹きこまれていました。





二つ目は、砂山典子さんの『A SULTRY WORLD, 1995-2009』@6:30 am


http://www.scotiabanknuitblanche.ca/exhibition.aspx?zone=C&rowID=9#0





明け方なのに一時間も外で待たされる。


温かいお茶をくれた見知らぬ優しい人に出会いました。


やっとのことで入った建物の中には、特大の真っ赤なスカートと真ん中に女性がひとり。


無我夢中で潜りました。


富士山を苦労して登った後に見る朝日のように


恋い焦がれたあの人に思いを伝えた後の爽快感のように


オールナイトでカラオケに行ったときに一瞬訪れる、眠気と覚醒、後悔と快感の間に佇む気持ちのような、


疲れて下火になった心をスカッとさせてくれたのは、スカートの中に潜んでいた下着ではなく、そのさらに奥底に見えた


観る者を圧倒するアートの衝撃でした。





この他にもバイオリンとフルート、チェロで日本の音楽を奏でてくれたSilver Roots というアーティストのコンサートなどにも携わったのですが、普段経理部で働いていて事業の前線を見たことがなかった私にとっては、直接お礼を言われたり感動したことを伝えられたことが最も新鮮で励みになりました!





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