こんにちは、みかんです。
さて、先日のブログ記事でご紹介したハンガリーでのデザイン展(ブダペスト工芸美術館/ジャパンファウンデーション共催)。
こんなスマートな化粧品のボトルから、
ミラノサローネで話題を呼んだTONERICOさんのライティングまで、
さまざまな現代のデザイン・プロダクトが紹介されました。
ハンガリーで展覧会を見に来てくださったお客さんは、決して日本の生活スタイル、ごく普通の私たちが何を着たり、食べたり、知っているわけではありません。そのような場所で、日本の一部(たとえば六本木や青山とか)にある、しかも2000年代のデザインをポンッと紹介して、お客さんにはどんな風に受け止められたんだろう?興味を持ってもらえるんだろうか?担当者として現地に向かったわたしには、正直なところ、そんな不安と期待が入り混じった気持ちがありました。
今回の展示では、最先端の液晶ケータイや脂分カットできる健康志向のオーブンレンジなど、新しいものも紹介していますが、それだけではありません。「調和の精神」―Harmony―というキーワードの元に、企画が構成されたんです。(コンセプトや作品リストはこちら)
“日本のデザインを支える伝統と新しさ、地方に根付く地場産業と最先端のもの、かわいい遊び心ときっちりとした実用性、自然と人工的なもの、そんな対立する概念が融合してうまれたさまざまなデザインを見せたい”
果たしてこのコンセプトはきちんと現地のお客さんに伝わったんでしょうか・・?
小さな出来事なのですが、展示の担当者として現地に赴いたわたしが、とても嬉しかったことがありました。
現場のスタッフと、展覧会終了後の片づけをしながら、話していたときのこと。近くを美術館の職員の方が通り過ぎたので、挨拶をしました。
「展覧会はどうでしたか?」とわたしが尋ねてみると、
「とっても良かったわ。今ここでやっている展示の中では一番!」
(ん・・・まあ、ここまではお世辞かもしれない、と思いつつ、)
「特に気になった作品はありましたか?」と聞いてみたんです。そうしたら、
「そうね、照明とか、洗濯機とか。・・・ううん、でもね、一番気に入ったのはSpiritかしら!」
「スピリット!?」
「そう、The Spirit of Harmony。」(←これ、展覧会のタイトルでもありますね。)
後から聞いたら、実はこの方は、美術館の工芸専門のスタッフでした。
会場では、「竹カゴのバッグが欲しい!」「やっぱり日本といえば車かな」とか、「あんなデザイナーズケータイ、みんな持ってるの?」という素朴な声もたくさんいただいたのですが、単に見た目でこれが好き、欲しいというのではなくて、
「繊細で、ミニマルで、実用的で、美しいけれど無駄がない。そんな日本人の発想や日本人の考え方がすばらしいと思った。私たちも、EUも、そういうところは学ぶべきだと思うわよ。」
という彼女のコメントを聞いて、「ああ、伝わったんだ」と思いました。
もちろん、展示の受け止め方は人それぞれで、賛否両論あります。それも真摯に受けてとめて、もっと良い展示を作っていけたらと思っています。
日本のピアノに触ったり、スタンプをペタペタ押して楽しんだ人にとっても、プロのデザイナーとしてデザインを見てくれた人にとっても、この展覧会が、日々の生活なり、感覚なり、ビジネスなり、何らかのきっかけになっていますように・・・。
本デザイン展、8月からはドイツのエッセン、red dot design museumでの開催を予定しています。*1今度の会場ではどんなお客さんに出会えるのかを楽しみに、「デザイン展」の旅はまだまだ続きます!今後の展開にご期待下さい。
No comments:
Post a Comment