4月1日の今日からジャパンファンデーションは新年度を迎えます。オフィスは、本当の大晦日よりも、3月31日のほうがあわただしい感じでした。今日は、朝から、入社式や、人事異動の発表もあって、ようやく4月がやってきたのだなという気分になってきます。
さて、今日は、この4月1日発行のジャパンファンデーションの発行する国際文化交流雑誌「をちこち」の編集担当者からの売り込みのご挨拶です。
2009年は日本・ドナウ交流年。
そこで「をちこち」も、その対象国であるオーストリア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリアを中心にドナウ沿岸諸国にスポットをあてることにしました。
ドナウ河といえば、わたしは、ついつい「美しく青きドナウ」(♪)を思い出すのですが、みなさんはいかがでしょう。
もともと地理も地図も方角も苦手な私。高校の地理の授業もすっかり忘れ去り、改めてドナウ河の流れを調べてみると、ドイツからはじまり、オーストリア、スロバキア、ハンガリー、クロアチア、セルビア、ルーマニア、ブルガリア、といったように東西に流れています。
複数の民族・宗教・文化の接点。この地域から、なぜ、思想・文学・芸術・科学・経済の各方面で優秀な才能が誕生してきたのか。それが今回の切り口です。(例えば、いくつか名前をあげるだけでも、フロイトやマーラー、クリムト、バルトーク、ジョージ・ソロス、エリアス・カネッティなどなど。)
巻頭鼎談は「ドナウ河は多様さを結びつける知恵を育んだ」。
池内紀先生(ドイツ文学者)、中沢新一先生(多摩美術大学)、沼野充義先生(東京大学)という綺羅星(☆)のようなメンバー。池内先生には、ドイツ文化圏という切り口から、中沢先生はアジア、そして沼野先生にはロシア・ポーランドという切り口から、話していただきました。
中欧のポストモダン文学の旗手といわれるエステルハージ・ペーテルさんがジャパンファンデーションの招きで来日。そこで、ハンガリー文学の研究者である早稲田みか先生(大阪大学)がインタビュー記事を執筆していただきました。ハンガリー最大の名門貴族の出身(ハイドンも宮廷音楽家として仕えていたとか)ですが、第二次世界大戦後の共産主義政権下で、ご家族は財産を没収されて地方に追放されます。ハンガリーの歴史そのものともいえるような一家の体験、そして、その歴史を生きてきた作家から見た、ドナウ河、中央ヨーロッパ、そして、小説のあり方といったお話を聞くことができました!
ドナウ河はバルカンの国々にも流れています。バルカンの国々のオーケストラで指揮をする柳澤寿男さんのインタビュー記事も。現在は、コソヴォ・フィルの常任指揮者として活躍されている柳澤さんとバルカンの国々との出会いからはじまり、コソヴォ・フィルでの活躍、そして2007年に立ち上げたバルカン室内管弦楽団の活動 ――― かつて敵対して民族が一つのオーケストラに参加し、ともに音楽を奏でていくこと ――― について伺いました。(聞き手:小澤幹雄さん)
一時帰国されている間にお話を伺ったのですが、その後のやりとりは、コソヴォに戻られてから。「停電の合間をぬって(!)」原稿のチェックをしていただきました。
そして、亀山郁夫先生(東京外国語大学)には、現代社会におけるドストエフスキーの意味を、演劇ユニットKUKDAN PROJECTの小熊ヒデジさんには、海外公演において、現地語の「セリフカード」を利用することについて執筆いただくなど、今回も豪華メンバーです!!
扉にも注目!!
対談にご出席いただいた池内紀先生に、ダメもとでお願いしたところ「どんなのがいいのかな?」とにっこり。ドナウの世界に誘うような、とってもすてきなイラストです♡
そして、次号(6月発行予定)は「世界と出会う歌舞伎」を特集します!
日本の伝統芸能である歌舞伎は、常に進化を続け、1928年の初の海外公演より海外の観客も魅了してきました。今年の3月にも「NINAGAWA十二夜」がロンドンで公演されるなど、「現代」そして「世界」と出会う歌舞伎を特集します。お楽しみに!
注1)「日本・オーストリア外交関係開設140周年」、「日本・ハンガリー外交関係開設140周年・外交関係再開50周年」、「日本・ルーマニア外交関係再開50周年」及び「日本・ブルガリア外交関係再開50周年」。
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