Thursday, November 29, 2007

国際展を考える・・・Part2



一昨日、松岡さんから


横浜トリエンナーレ2008公開シンポジウム 「国際展にいま問われているもの」


についての報告がありました。そういえば。偶然みかんも「国際展」についてのシンポジウムに行ってきたのです~。




一昨日まで新宿パークタワーで開催していた「第1回リスボン建築トリエンナーレ帰国展」*1。ご覧になった方はいるかしら??えーっ、リスボン?そんなのあったんだ、という人も多いかもしれません。

Trienal de Arquitectura de Lisboa(Lisbon Architecture Triennale)の公式サイトはこちら。*2





実は、日本での帰国展開催にあたり、3日連続の記念シンポジウムがあったんです。


その初日11/23(祝)に開かれたシンポジウムのテーマが、





「国際展×東京」。




パネリストに五十嵐太郎さん、北川啓介さん、暮沢剛巳さん、寺田真理子さん*3を迎え、司会はシンポ企画者の大西正紀さん。各々の視点から「国際展」をめぐるディスカッションが繰り広げられました。





たとえばトップバッターの北川さんは建築家かつ出展者の立場から、五十嵐さんはコミッショナーとしての立場から発言。リスボン建築トリエンナーレは、今年初めて開かれたトリエンナーレで、全体テーマ「URBAN VOIDS」のもと、地元ポルトガル、オランダ、中国他、12カ国が展示を行いました。




北川さんいわく、日本の展示空間は、会場の中である意味「目立っていた」のだそう。*4





・・・なぜかって??





理由の一つとして複数の作家によって密度の濃いサブカル的な空間が出現していたこと、また展示に携わって作業をする人たちの人数がとにかく多かった!らしいのです。良い意味でのごちゃごちゃ感のある東京風景かもしれません・・・。

資金も限られていた今回のトリエンナーレで力を発揮したのが、大学でも教鞭を執っておられる北川さんのもとの大学院生の皆さん。大勢が動き回ってちゃくちゃくと進められる展示作業は、それ自体が日本のキャラクターを象徴しているようでもあった、とのコメントには、なんとなくうなずけるような気がしました。*5








美術評論を専門とする暮沢さんからは、なぜ今「建築」のビエンナーレ、トリエンナーレが世界で広まりつつあるのか?ということについてのコメント。美術展では、例えば絵画作品そのものがプレゼンテーションされるのに対して、建築展では、建築そのものが展示できるというわけではない―つまり模型であったり、写真や図面であったり、建物そのものでないというある種の制限が避けられないわけですが「国際展」という形態は、その制限を緩めることができるのでは、ということでした。


というのも、ヴェネチアに代表される国際展は都市そのものを舞台に、街の通りで、市民の間で、流動的に展開していくものだからです。都市計画や町おこしと密接につながった「国際展」だからこそ、建築の展示のあり方にも可能性を開いてくれる。この意見はパネリスト間でも共有されていた様子です。





まだ第1回が開かれたばかりのリスボンですが、今後の展開が楽しみです。みかんもいつか見に行ってみたいなぁと。


はるか西の果てで見る東の日本像ってどんな感じなのでしょう?それだけでもわくわくします。





それにしても、日本の建築界、なんだかんだいって盛り上がっている印象を受けました。


21世紀の「国際展」はまだ始まったばかり。ジャパンファウンデーションも、日本で、海外で、国際展を通じた文化交流の可能性を皆さんと一緒に探っていけたらと思います。


ではでは、今日はこのへんで!




*1:ジャパンファウンデーションではポルトガルでの展示を助成しました。


*2:ポルトガル南部のリスボンで、5月31日から7月31日にかけて行われた国際建築展。会場はアルヴァロ・シザ(Álvaro Siza Vieira)によるパビリオン。もともとは1998年のポルトガル万博のために設計されたもの。シザの空間で展示できる、ということ自体が、関係者にとっては同展の大きな魅力になっていたのだとか。たかがハコ、されどハコ。


*3:オランダ建築博物館勤務を経てキュレータとして活躍中の寺田さん。Y-GSAという横浜国立大学大学院建築都市スクールの取り組みを紹介しておられました。創造都市として知られる横浜を舞台として、ここにもまた行政と研究機関と建築家がコミュニケーションをとりながら新しい動きが生まれているようです。クリエイティブシティ論についてはJF発行の「アート戦略都市」もご覧下さいませ。


*4:展示会場の様子はこちらのサイトでも紹介されています。


*5:ビジネスのスタイルにお国柄があるように、展示や、おそらく建築の完成していくプロセスひとつとっても、国によってさまざまなのでしょうね。今年度に開かれる某展覧会では、1月の開催だというのにまだオープンの日程が決まっていない!という例もあるようで、こんなことも日本だったらなかなかありえないお話です(^-^;





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