Friday, November 30, 2007

 「をちこち」フランス特集号いよいよ明日発売!






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こんにちは『をちこち』編集担当の西納です。最近東京はめっきり寒くなってきましたが、皆さんお元気でしょうか。『をちこち』第20号の制作を終えて、ボジョレーヌーヴォーのグラスを傾ける機会も得て、人間的な生活を取り戻した今日この頃、12月1日の発売を前に今号の紹介をさせていただきます。





2008年は日仏交流150周年、また2007年は基金の海外拠点の一つパリ日本文化会館開館10周年です。『をちこち』第20号では、フランスを特集しました。








日本人の多くにとって、フランスは欧州の中でもなんだか親近感を感じる国ではないでしょうか。ファッションやグルメ、旅行など、いろんなメディアで楽しく紹介されることが多いフランス。何をどう取り上げてフランス特集をしようか、編集部でもだいぶ検討しました。その結果、やはり基金らしく(!)今回は「文化」を正面から取り上げることにし、テーマを「フランス 都市の文化力」として特集を組みました。(詳しい目次はこちら





文化大国、という枕詞も似合うフランスですが、文化大国を構成する“文化都市”と言いましょうか、パリのみならず特に地方都市がどのように文化によって活気づいているか、普通の人々の普通の生活にどのように文化が普通にあるのか、といったことを紹介していく特集になっています。





巻頭対談の2名は、最近『世界文学全集』(河出書房新社)の刊行で話題を集めている池澤夏樹さんと、在仏30年を超えフランスの様々な素顔を執筆活動を通じて日本に紹介してくださる飛幡祐規さん。フランスでの日常生活において感じられる文化、社会観・価値観、教育などについて語ります。





その後は、4つの街を取り上げて、様々な文化の在り方をレポートします。歴史遺産と現代芸術が融合するダイナミズムを活かした都市政策を展開するリヨン。経済的に衰退していた街に文化事業によって活気を取り戻したリール。治安の悪い場所の環境を向上させた国立ダンスセンターのあるパリ近郊のパンタン。フェスティバルに活気づく人口5万人の小さな地方都市シャロン・シュル・ソーヌ


それぞれの地域の様子が分かる写真をたくさん盛り込んで、読み応え・見応えのある号となりましたので、是非読んでみてください☆








さて、今号から(10月~)、新たなメンツが『をちこち』編集部に加わりました。せっかくなので、ちょっとここで登場してもらいたいと思います。


『をちこち』第20号の制作、お疲れ様でした。振り返ってみていかがでしたか?



はじめまして。『をちこち』サブ担当の内田です。『をちこち』流の編集スタイルは初めてということで、手探りしながらの作業でした。それだけに、完成本を手にしたときは感激もひとしお、やっぱり「嬉しいなぁ・・・!」という気持ちがこみあげてきましたね。写真の選定や原稿の校正など、すべての工程に関わるので手作り感があるというのでしょうか。編集スタッフはもちろん、色んな方の思い入れのつまった、温かみのある雑誌だと感じました。



特にお気に入りの記事はどれですか?



A:池澤夏樹さんと飛幡祐規さんの巻頭対談は、それぞれユニークな視点を持ち、ほかにも多くの執筆をされているおふたりが、フランスに移住して感じたリアルなフランスの文化を語るという贅沢な内容だと思います。私はこれをきっかけにお二人のほかの著作を読み始めて、さらにディープなお二人の世界にはまりました。『をちこち』の記事を入り口にして、そんな楽しみ方もお薦めですよ。



読者へのメッセージ、ひとこといただけますか?



私自身がまだ一読者の気分で楽しんでいますが・・・、『をちこち』は知的好奇心を十分に満たしてくれる、他にはない切り口が魅力の雑誌です。毎号新しい「発見!」をお届けしますので、どうぞご期待ください。



というわけで、『をちこち』のフランス特集号、どうぞお楽しみに!





Thursday, November 29, 2007

国際展を考える・・・Part2



一昨日、松岡さんから


横浜トリエンナーレ2008公開シンポジウム 「国際展にいま問われているもの」


についての報告がありました。そういえば。偶然みかんも「国際展」についてのシンポジウムに行ってきたのです~。




一昨日まで新宿パークタワーで開催していた「第1回リスボン建築トリエンナーレ帰国展」*1。ご覧になった方はいるかしら??えーっ、リスボン?そんなのあったんだ、という人も多いかもしれません。

Trienal de Arquitectura de Lisboa(Lisbon Architecture Triennale)の公式サイトはこちら。*2





実は、日本での帰国展開催にあたり、3日連続の記念シンポジウムがあったんです。


その初日11/23(祝)に開かれたシンポジウムのテーマが、





「国際展×東京」。




パネリストに五十嵐太郎さん、北川啓介さん、暮沢剛巳さん、寺田真理子さん*3を迎え、司会はシンポ企画者の大西正紀さん。各々の視点から「国際展」をめぐるディスカッションが繰り広げられました。





たとえばトップバッターの北川さんは建築家かつ出展者の立場から、五十嵐さんはコミッショナーとしての立場から発言。リスボン建築トリエンナーレは、今年初めて開かれたトリエンナーレで、全体テーマ「URBAN VOIDS」のもと、地元ポルトガル、オランダ、中国他、12カ国が展示を行いました。




北川さんいわく、日本の展示空間は、会場の中である意味「目立っていた」のだそう。*4





・・・なぜかって??





理由の一つとして複数の作家によって密度の濃いサブカル的な空間が出現していたこと、また展示に携わって作業をする人たちの人数がとにかく多かった!らしいのです。良い意味でのごちゃごちゃ感のある東京風景かもしれません・・・。

資金も限られていた今回のトリエンナーレで力を発揮したのが、大学でも教鞭を執っておられる北川さんのもとの大学院生の皆さん。大勢が動き回ってちゃくちゃくと進められる展示作業は、それ自体が日本のキャラクターを象徴しているようでもあった、とのコメントには、なんとなくうなずけるような気がしました。*5








美術評論を専門とする暮沢さんからは、なぜ今「建築」のビエンナーレ、トリエンナーレが世界で広まりつつあるのか?ということについてのコメント。美術展では、例えば絵画作品そのものがプレゼンテーションされるのに対して、建築展では、建築そのものが展示できるというわけではない―つまり模型であったり、写真や図面であったり、建物そのものでないというある種の制限が避けられないわけですが「国際展」という形態は、その制限を緩めることができるのでは、ということでした。


というのも、ヴェネチアに代表される国際展は都市そのものを舞台に、街の通りで、市民の間で、流動的に展開していくものだからです。都市計画や町おこしと密接につながった「国際展」だからこそ、建築の展示のあり方にも可能性を開いてくれる。この意見はパネリスト間でも共有されていた様子です。





まだ第1回が開かれたばかりのリスボンですが、今後の展開が楽しみです。みかんもいつか見に行ってみたいなぁと。


はるか西の果てで見る東の日本像ってどんな感じなのでしょう?それだけでもわくわくします。





それにしても、日本の建築界、なんだかんだいって盛り上がっている印象を受けました。


21世紀の「国際展」はまだ始まったばかり。ジャパンファウンデーションも、日本で、海外で、国際展を通じた文化交流の可能性を皆さんと一緒に探っていけたらと思います。


ではでは、今日はこのへんで!




*1:ジャパンファウンデーションではポルトガルでの展示を助成しました。


*2:ポルトガル南部のリスボンで、5月31日から7月31日にかけて行われた国際建築展。会場はアルヴァロ・シザ(Álvaro Siza Vieira)によるパビリオン。もともとは1998年のポルトガル万博のために設計されたもの。シザの空間で展示できる、ということ自体が、関係者にとっては同展の大きな魅力になっていたのだとか。たかがハコ、されどハコ。


*3:オランダ建築博物館勤務を経てキュレータとして活躍中の寺田さん。Y-GSAという横浜国立大学大学院建築都市スクールの取り組みを紹介しておられました。創造都市として知られる横浜を舞台として、ここにもまた行政と研究機関と建築家がコミュニケーションをとりながら新しい動きが生まれているようです。クリエイティブシティ論についてはJF発行の「アート戦略都市」もご覧下さいませ。


*4:展示会場の様子はこちらのサイトでも紹介されています。


*5:ビジネスのスタイルにお国柄があるように、展示や、おそらく建築の完成していくプロセスひとつとっても、国によってさまざまなのでしょうね。今年度に開かれる某展覧会では、1月の開催だというのにまだオープンの日程が決まっていない!という例もあるようで、こんなことも日本だったらなかなかありえないお話です(^-^;





Wednesday, November 28, 2007

 晩秋の北浦和より♪



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こんにちは、NCニコです。秋・・・というかもはや冬ですね。日本語国際センターNihongo Kokusai Center)の中庭もご覧のとおりきれいに色づいていて、本当にいい季節を迎えたなと思います。中庭には小ぶりな日本庭園があって、大きな鯉が泳いでいます。


o@(^-^)@o。





f:id:japanfoundation:20071127120217j:image:right:w250日本庭園のとなりには而学堂(じがくどう)という名前の日本式家屋があり、海外の日本語教師の方々の研修プログラムの中で、生け花や書道、茶道、着物の着付けなどのデモンストレーションを行っています。また、庭にはテニスコートとバレーボールコートがあり、研修の合間に疲れた心身をリフレッシュできるようになっています。





f:id:japanfoundation:20071108151222j:image:left:w250←ときにはこんな風に中庭で授業が行われていることもあります。まさに秋の日の青空教室、です。NCニコの座っている執務スペースからちょうど見えたので「あら、ステキ☆」と思い、窓越しについシャッターきってしまいました


ヾ(⌒ー⌒)ノ





あああ





f:id:japanfoundation:20071127155851j:image:left:w250この秋冬、NCでホットな話題はずばり、ラジオ体操です。長いものだと半年を超える研修期間中に、研修参加者の方々が体調を崩すことも結構あるのです。勉強詰めの毎日を送っているとどうしても運動不足になりがち、というのは個人的にも覚えがあります。そんな中で、NCの竹田研修事業課長と岩田専任講師の発案で、少し前から「授業のあとのラジオ体操」が定期的に行われるようになりました。








↓↓↓こんなポスターをあちこちに貼って参加を呼びかけたりもしています。考えてみればラジオ体操って、日本で義務教育を受けた人ならきっと誰でもできる体操ですよね。私の友達で、日本語ぺらぺらで日本文化に造詣の深い外国の人たちに「ラジオ体操できる?」と聞いてみたところ、「できない」という声が大半でした。そういう意味では、海外各国で日本語を教えている教師である研修参加者の皆さんにラジオ体操を覚える機会をもっていただくことは、健康増進という目的以外にも、意味の大きなことかもしれません。


あああああああああf:id:japanfoundation:20071127174553j:image:h250


・・・ラジオ体操によく参加している研修生に感想を聞いてみました。




NCニコ:ラジオ体操はどうですか?あなたの国にも似たような体操がありますか?


研修参加者A:インドネシアにも似たような体操があります。インドネシアのものは音楽がもっと楽しい感じで、ぴょんぴょん跳ねる動きが多いです。でも、日本のラジオ体操も楽しいです。(長期研修)


研修参加者B:フィリピンにはこういう体操はありません。ラジオ体操は初めは順番が全然覚えられなくてわけが分からなくなってしまったりしましたが、気分転換になるのでいつも参加しています。(長期研修)


岩田専任講師:はじめてみたら研修参加者のみんなに大好評で、ひくにひけなくなってしまいました(-ω-;) 休日返上で毎日ラジオ体操ですよー。NCニコさん、写真ばかり撮ってないでもっと体操にも参加してもらいたいですね~!



岩田先生、スイマセン。ポスターづくり(色塗りしました、、、)で、すっかりラジオ体操に貢献したつもりになっていました


m(*TT*)m





ところで、NCには日々、外部の日本語教育関係者、日本研究者等のお客様がかなりたくさんいらっしゃいます。11月はGCC諸国(クウェート、オマーン、UAE、バーレーン)の教員の方々(外務省による招へい)、北米・南米各国の日本研究司書の方々(ジャパンファウンデーションのグループ招へい)、さいたま市日本語教育ボランティアの方々等がいらっしゃいました。





今月の最後のお客様は11月27日にいらっしゃった、カーティン工科大学 Curtin University of Technology(オーストラリア)のジネット・ハケット学長(Prof.Jeanette Hacket)でした。ジャパンファウンデーションの文化人招へいプログラムで来日したハケット学長は11月25日から約2週間の日程で東京、神戸、京都等をまわり、日本国内の大学関係者との懇談等を行います。





当センター副所長から業務内容をご説明させていただいた後、センター施設全体を見ていただくため館内をご案内しました。ハケット学長は



『本当によく整備された施設で、海外から来る日本語教師の人々が勉強するために非常によい環境が整えられている。すばらしい!』



と絶賛してくださいました(o^∇^o)。今回、初めての来日だそうですが、到着されてから数日見た東京の様子を



『街並みの随所にやわらかさ(=softness)を感じる』


とおっしゃっていました。カーティン工科大学(オーストラリア西部の街、パースPerthにあります)には日本語を勉強している学生が約300人いるそうです。さすがオーストラリア*1、日本語学習者がたくさんいるのですね。





f:id:japanfoundation:20071127105259j:image:right:h250ご訪問いただいた記念に、紅葉をバックにスナップを撮らせていただきました。ハケット学長、どうもありがとうございました♪




後になりますが、NCのウェブサイトをリニューアルしましたので、ぜひこちらをご覧いただきたいと思います。これまで何度かご紹介したDVD教材『エリンが挑戦! にほんごできます。』に登場するCGキャラクター「ホニゴン*2」を、思い切ってトップページに掲載しました。皆さんにこれまで以上に親しんでいただける情報発信を目指して、今後も内容の充実に努めていきたいと思います。


それではまた、北浦和からお届けします☆




*1国際交流基金の2006年海外日本語教育機関調査によると、オーストラリアは世界で3番目に日本語学習者が多く、36万人以上の人々が日本語を勉強しています。


*2:オレペコより:浦和のトップページにいる、黄色いキャラクターのことです。ちなみに!!!オレペコも今気づいて確認したのですが、このホニゴンって、日本語(ニホンゴ)の先生だからホニゴンというらしい( ̄▽ ̄;)タラリ・・・まるで、DENIM(デニム)→EDWIN(エドウィン)のようですな・・・





Tuesday, November 27, 2007

世界で日本はどう受け止められているのか?






みなさんこんにちは、オレペコです!





ご覧になった方も多いと思いますが、先週の21日(水)から25日(日)までの5日間、読売新聞の1面に「日本(第6部:海の向こうから)」という記事が連載されていました。この特集、「世界で日本がどう受け止められているかを探る」ことを主眼とした企画だったので、国際文化交流を生業とするジャパンファウンデーション職員としては、非常に興味深く読んだわけです( ̄Λ ̄)ゞ んむっ




たとえば、その第一回目の記事(21日)は、1面にドンとコスプレをしている外国人のカラー写真が掲載されていました*1。キャプションを見てみると、ニューヨークのマンハッタンのど真ん中にある、紀伊国屋書店で開かれた「マンガ祭り」のひとコマ。そうです、今や世界のあちこちで、コスプレをした若者が見られるんですよ。。。





この特集がおもしろかったのは、1面でさまざまな切り口から日本に対する見方・事象を紹介した上で、別のページに関連インタビューを載せていたところ。大局的な視点から全体像を描く記事と、いろんな分野で日本にかかわりを持つ「個人」の意見をまとめたインタビュー。両方あるっておもしろいですよね。





初日のインタビュイーはタイの作家/アーティスト、プラープダー・ユンさん。彼は日本文化の特色を「大衆化にある」といいます。



日本のアニメやマンガ、カラオケは、ものごとを単純化し、共通理解を持たせ、人々を結びつける媒体になっている。単純化、あるいは余分なものを排除して最小限の形でものごとを表現することは、日本文化の伝統だ。たとえば浮世絵。単純化しつつも、細部にこだわる。


読売新聞11/21(水)朝刊p.6より



単なる「単純化」「抽象化」ではなく、そうしつつも「細部にこだわる」というのはその通りですよね。

さらに、彼が日本に惹かれる最大の理由は「人間と自然がある意味で対等の関係にあること」なんだそうです。自然を「征服の対象」としてではなく、むしろ畏れ多いものと考え、大切にしてきた日本人。当たり前のように自然が文化に入り込んでいる日本。そういったところに惹かれる外国の方は多いようです*2





ちなみに、なぜ彼を特段取り上げてご紹介するかといいますと・・・




プラープダーさんといえば、ジャパンファウンデーションが2004年12月から05年1月に実施した”Have We Met?―見知らぬ君へ”という企画展のキュレーターのお一人です*3。また、タイ、日本、オランダ、フランス、シンガポールの5カ国合作のタイ映画、 『地球で最後のふたり』(主演:浅野忠信*4)の脚本家さんでもあります。・・・と。ここでちょっとJFトリビア♪なのですが、この『地球で最後のふたり』の主人公ケンジ(浅野さん)は、当時わが国際交流基金のバンコク日本文化センターに勤めていた吉岡職員がキャラクター・モデルになってるってご存知でしたか???ほぼ日刊イトイ新聞のコラムで、プラープダーさんとの出会いから映画の見どころまでを広く語っていますのでぜひご覧くださいっ()。







 




(ちなみに吉岡職員、この小説↑↑↑の翻訳もしています。)





その他、この読売新聞の特集では、世界に広まる和食ブーム(22日)、世界の対日本評価に比べ日本人自身の自己評価が低いこと(23日)、古き良き日本の伝統・美徳を受け継ぐ日系人の方から見た「今の日本」(24日)、海外の日本研究機関の激減と中国研究の台頭(25日)等々、日々私たちジャパンファウンデーション職員が直面している課題をいくつも取り上げていました。





これから国際交流に携わりたいと考えている方々にも、参考になる視点を与えてくれる特集だと思うので、ぜひぜひ、図書館などでご覧になってみてくださいねー 


(o^∇^o)ノ


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*1:お手元にない方にはイメージができませんよね、ごめんなさい。ウェブで探していたら、小沼ゆりいかさんという方が、ブログに写真を掲載していますよー。これでイメージ、つかめるかしら?→


*2:プラープダーさんの「日本観」にもっと触れてみたい!という方、朗報です。12月上旬、氏の日本観をつづったエッセイ集『座右の日本』が発売される予定なんです!詳細はこちら→。新刊が出るのを記念して、その制作背景を紹介する対談記事がでました(12/6)!吉岡職員も登場します。ご興味のある方は、ぜひぜひこちらへ(vol.1, vol.2, vol.3)。


*3:展覧会概要はこちら→。また、これに関連してプラープダーさんを紹介した記事はこちらにあります→


*4:あっ!偶然今日は浅野忠信さんのお誕生日のようです!!!奇遇だー。





Monday, November 26, 2007

横浜トリエンナーレ2008公開シンポジウム「国際展にいま問われているもの」






皆さんこんにちは、松岡です。


またもや時間が空いてしまいましたが、今回も前回に引き続き「横浜トリエンナーレ2008」の話題をお届けします。





実は先日、


横浜トリエンナーレ2008公開シンポジウム 「国際展にいま問われているもの」





と題した公開シンポジウムが開催されました。今日はその模様をごく簡単にですがお届けしようと思います。





が、その前に、そもそも「横浜トリエンナーレ」って何ですか?という方へ。





横浜トリエンナーレは、3年に1度横浜で開催している日本最大級の現代美術の祭典です。


美術館で開催されている展覧会に比べ規模も大きく、また建築、デザイン、ファッション、映画、音楽、パフォーミングアーツなど様々な芸術分野とのコラボレーション企画も関連プログラムとして同時進行するのが、大きな特徴の1つです。そうした様々なプログラムを、今回の横浜トリエンナーレ2008では、新港地区にある3つのメイン会場とその周辺環境を舞台に、2008年の9月から11月にかけて3カ月間展開します。


ジャパンファウンデーションは横浜市やNHK、朝日新聞社とともに横浜トリエンナーレ組織委員会をつくり、2001年2005年と過去2回横浜トリエンナーレを実施してきました。横浜トリエンナーレという1つの機会が、国内外の第一線で活躍するアーティストが表現をする場となると同時に、世界中の多様な文化、様々な価値観を背景に生まれる卓越した表現に多くの観客が触れるきっかけとなり、またそこでのコミュニケーションを通じて国際文化交流や相互理解の進展に寄与することを目指して実施している側面もあります。





より詳しい情報は、公式HPへ








さて、横浜トリエンナーレ2008の開幕まで1年を切りましたが、昨秋の記者発表以来、国内では長らく準備状況を公式に発表する機会がなかったという経緯があります。そういったこともあり、冒頭は水沢勉総合ディレクターによる準備状況の中間報告から始まりました。ただ今回は「作家は最終的に決まった段階で一斉に発表したい」という方針で進めているため、横浜トリエンナーレ2008のより具体的な話はあまりありませんでした。


しかし、シンポジウムのタイトルである「国際展にいま問われているもの」というテーマについては、今回のキュレーターが世界各地の国際展(ビエンナーレ、トリエンナーレ)でのキュレーション経験豊富な人たちであることもあり、国際展の現状であったり、その課題について幅広く話を聞くことができたと思います。





2007年は、夏にヴェネチア・ビエンナーレ、ドクメンタ(ドイツ・カッセル)、ミュンスター彫刻プロジェクトといった国際展が続き、秋にはリヨン・ビエンナーレ(フランス)、イスタンブール・ビエンナーレ(トルコ)、アテネ・ビエンナーレ(ギリシャ)と国際展が続いてきました。2008年はアジア大洋州地域で、シドニー、上海、光州、シンガポール、そして横浜と続く予定です。この状況に対し、バーンバウム氏からは、「現在、世界各地で同じような国際展が開催されており、昔は数も少なかったのでそれらを見ることが職業の人にとっても、一通り見ることは可能であった、しかし今となってはもう不可能」という話があり、また「かといってそれら一つ一つにどれだけの差異があるのだろか」という指摘もありました。実際、こうした状況下で横浜トリエンナーレは何ができるのか、どうしたらわざわざ横浜まできて観ようという形になるか、というディスカッションが、これまでキュレーターチームの中でも幾度となく議論されてきてます。





現代の状況では「資本」というファクターを見逃すことができないという話もありました。資本主義のルールによって様々なこと(作品価値であったり、流行のようなものであったり)が決定されるなか、キュレーターの役割自体が問われているという指摘もあり、この点についてはルフ氏からも、今こそキュレーターの役割を見つけるべきではないかという意見も出ていました。





オブリスト氏からは、「『国際展』のA to Zを作ろうとしている」という話から、"Bridge"とか"Dialogue"とか"Transnational"といったキーワードが出されました。さらに、例えば"Transnational"に関しては、歴史あるヴェネチア・ビエンナーレは国別参加という形で始まってきた経緯があるが、現代の国際展においては「国と国という枠を超えるのが1つのカギではないか」、「国際展が1つの『国境線』となるのかもしれない」といった暗示めいた言及もあり、まさに「国際展にいま問われているもの」を考える上で貴重な問題提起がなされました。





「国際展の場がいかに大きな器となって、コミュニケーションの場となりうるか」という発言もなされ、数ある中の1つの展覧会、というワクを越えた、「何らかの重要な1つのきっかけ」としての横浜トリエンナーレ像について、ディスカッションされている印象を持ちましたが、今回全体を通じて個人的に強く感じたのは、キュレーター陣全員がこの横浜トリエンナーレ2008という機会を真面目に考えているという印象でした。自分自身も、まだまだこれから横浜トリエンナーレ2008がどうなるか読めませんが(?)、今年度中には作家の情報もわかる見込みのようですので、是非お楽しみにお待ちください!





今回のシンポジウムの簡単な報告は、追って横浜トリエンナーレ2008のHPを通じて行われる予定ですので、ご関心のある方はそちらも是非ご覧ください。





Wednesday, November 21, 2007

世界の○○感謝の日シリーズ vol.2~インド「師匠の満月」編~






先月のブログ編集会議でのひとコマ。


A:11月は勤労感謝の日で連休があるねー。やったー!

B:そういえば、アメリカも同じ時期にサンクス・ギビングでお休みだよね。ターキーの丸焼き、食べたい!
C:サンクス・ギビングって、日本語では”感謝祭”って訳されてるけど、実際何に感謝する日なのかな*1

一同: ・・・     ( ̄ー ̄?).....??アレ??


このあと急いでウェブで調べてみると、実は 

世界にはいろんなもの・ことに感謝する日がある
ことが判明!そんなやりとりから始まった「世界の○○感謝の日」シリーズ、第一回目のインドネシア・バリ編につづき、今日はインド「師匠の満月」編をお届けしましょう!オレペコと同じ部署で働く、シタール使い*2の稗田礼三郎氏(?)からの報告です!




・゜゜・。・゜゜・。・゜゜・。・゜゜・。・゜゜・。 

インドでは7月から8月頃に来る満月の日を「グル・プールニマー」と呼びます。グルとは「師匠」、プールニマーとは「満月」。習い事をしている師匠にご挨拶に伺う日です。この日は、ヒンドゥー教の聖典ヴェーダの編纂者であり、大叙事詩『マハーバーラタ』の作者でもあるヴャーサが生まれた日といわれています。ヴャーサこそ師匠中の師匠だと考えて、この日を師匠に感謝する日にしているのです。




f:id:japanfoundation:20071121182036j:image:rightインドでは宗教にからむ行事は今も太陰暦にしたがって行われます。「師匠の満月」もインド暦でいうアーシャーダ月の満月のことで、その夜には、きちんと満月が見えます。もし、雨季の雲が途切れていれば……



私がシタールを習ったA先生は古い人で、自分の誕生日も太陰暦で数えています。先生の誕生日は「ブッダの満月」と呼ばれるヴァイシャーカ月、つまり、太陽暦4月頃の満月の日です。インドではお釈迦様が生まれた日、悟った日、死んだ日は、みな同じ日で、それが「ブッダの満月」の日です。A先生にバースデーカードを送るためには月の満ち欠けをチェックしていなければなりません*3




A先生は気難しい人で、約束のない日に訪ねて行っても決してドアを開けてくれません。「ベルを3回鳴らして反応がなければメッセージを置いて帰るように」というプレートがドアに埋め込まれています。そのドアが一日中開いていて、弟子たちなら誰でも来てよい、というのが「師匠の満月」の日なのです。バンスリ(インドの横笛)奏者のハリプラサード・チャウラシアさんも、その日には、なるべくコンサートの予定を入れずに、自分の師匠であるA先生のところに挨拶に来ます。ハリプラサードさんはA先生のところから自宅に帰ると、今度は、自分の弟子たちの挨拶を受けることになります。このように、インドでは、この「師匠の満月」を今も大切にしています。




インドの伝統では挨拶する場合、目下の人は目上の人の両足に手を触れ、その手で自分の額や胸に触れます。子供が両親に挨拶する場合もそうです。もっと本格的になると、ひざまずいたり、五体投地をしたりして、自分の額を目上の人の足につけます。目上の人は目下の人の頭に手をかざして祝福を与えます。




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ああああああああ



A先生は弟子が両足に手を触れて挨拶するところまでは受け容れますが、あまり自分が大きく扱われるのは嫌いなので、それ以上の格式ばった挨拶を弟子たちに許しません。先生は自分への挨拶よりも、集まった弟子たちが、自分のお父さんである大師匠の遺影に挨拶をすることを喜びます。A先生にとって「師匠の満月」に自宅を開放することは大師匠への敬意の表現であるようです*4




私にサンスクリット語を教えてくれたV先生も師弟の関係をことさらに強調するようなことは嫌いなタイプの人で、両足に手を触れようとすると「やめろ、やめろ」といって止めましたし、「先生、今日は師匠の満月です」というと「ほう、それがどうした?」と返事をするような人でした。




f:id:japanfoundation:20071121182316j:image:rightそのV先生も、A先生も、弟子たちからお金も物も受け取りません。自分が無償で学んだものを、無償で、誰かに教えるだけです。学ぶことには責任がともなう。その責任とは、教えてもらったことへの感謝の気持ちをもって、もらったものを誰かにあげること。私は、それを、この2人の先生から学びました。




V先生は今年8月2日永眠なさいました。先生が亡くなる4日前の7月29日は「師匠の満月」の日でした。その日、日本にいて挨拶に行けなかった私のことをV先生は思い出して話していた、と、先生の娘さんから聞きました。

V先生への感謝とともに、先生のご冥福をお祈りいたします。

あああああああああああああああ稗田礼三郎



*1:もともとは、神の恵み(収穫)に感謝する日だったようですが、最近ではその宗教的意味合いは薄れ「家族や親戚・友人が集まってターキーを食べること」がメインになっているようです。なんとなく日本のお盆のような感じですね

*2:シタールというのは、インドの弦楽器です。詳しく知りたい方はこちらをどうぞ→

*3:オレペコより:毎年決まっていても、うっかりお祝いの言葉を忘れてしまったりすることも多いのに、月の満ち欠けまでチェックなんて大変ですね・・・

*4:A先生も自宅も撮影厳禁なので、マディヤプラデーシュ州にある大師匠の家の写真。各部屋は大師匠存命時のままに保たれて、近所の子供たちの音楽練習場になっている。ここを訪ねたとき、駅に降り立つと駅員に「君を捜している老人がいたよ」といわれたけれど、そこに知人などいない。あれは大師匠だったのだろうと信じている




Monday, November 19, 2007

 Engrish・・・何がおかしいか、わかりますか???






先週末の金曜日、「まだまだ暖かい日が続いていますね・・・」なんて書いたら、週末あたりから朝晩の冷え込みが急に厳しくなりましたね :゙;`;:゙;`;・o(ロ≦) クシュン!! 


みなさん、風邪など引いていませんか? 





さて、今日はengrish.comの話題。

この間、このブログでもご紹介した、日系人シンポジウムの開催報告が日米センターのHPにアップされている*1のを見て思い出したのですが、このシンポで、「日本が世界に効果的に発信していくために必要なことは何でしょうか?」という会場からの質問に対して、英語力の強化が喫緊の課題であるとして、元CNNアンカーのサチ・コトさんが挙げたサイトが、この、engrish.comというサイト。


(゜-^*)σ ちなみに、english.comとURLを入力しても出てきませんのでご注意!よく見てください。engrish.comですよ!!




知る人ぞ知るこのサイト、そのURLにもあらわれているように、巷にあふれている奇妙な英語を集めたもので、爆笑ネタ満載。もちろん、ここに掲げられているような「おかしな」英語は、日本にだけ見られる現象ではないのですが、このサイトのFAQにもあるように、実際のところreally funnyで、且つcreativeなものを作る能力(?)は日本がダントツなようです*2。そんな、ある意味「ハイレベル」な間違いの数々を、英語のネイティブスピーカー達にバカにされているのですよ、もっと敏感になったほうがいいですよ、というのがサチ・コトさんのメッセージだったわけです。





でも。。。





これ、ひとつひとつ見ていくと、意外に難しい。( ̄▽ ̄;)!!ガーン


というのも、「なぜ」変なのかについては、ネイティブの人たちにとってはいわば「当たり前」なので、明確には書いていないんです。だから、正直、取り上げられている写真を見ても「???どこが変なのかしら?」なんてのもたくさんあります。

たとえば、こういうの()は分かりやすいですが*3、Tシャツに書かれたいろんな言葉のおかしさは、正直、良く分からないものもあります・・・うぅ。。。





みなさん、今すぐ ご自分のTシャツやバッグの英語、確認してみたほうがいいかもしれません。まるでドリフのコントのように、とんでもない名札をつけて街を闊歩している・・・かもしれませんよ!!!




*1:こちらです→


*2:掲載されるネタは、結構厳しくチェックされているようで、単なるスペルミス程度ではnot funny enoughと一蹴されてしまうようです・笑


*3:英語を読むと、「・・・なので、使用済みのもの(!)をお買い求めください」となっちゃってます・・・(・・;) 





Friday, November 16, 2007

 それぞれの独自性を尊重し、多様性を認め合うこと~アジア・リーダーシップ・フェロー・プログラムより~






f:id:japanfoundation:20071112183855j:image:leftみなさんこんにちは、オレペコです♪


11月も半ばというのにまだまだ暖かい日が続いていますね。気持ちがいいので、オレペコはお昼によくアークヒルズの周りを散歩します。写真はその途中の風景。葉っぱはまだ緑が多いのですが、光が当たるとほら、こんなにきれい癒されます(*^^*)





都心にありながら、緑がきれい.*・゚☆なところ・・・ジャパンファウンデーションがいつもお世話になっている「国際文化会館」もそんな場所のひとつ。今日は、ここ、国際文化会館にて、先週11月6日と7日の2日間に亘って実施された「アジア・リーダーシップ・フェロー・プログラム(ALFP)」の「公開シンポジウム」の様子をお届けしましょう。





■アジア・リーダーシップ・フェロー・プログラム(ALFP)って(・_・?)


ALFPは、アジア諸国のさまざまな分野において、際立ったリーダーシップを発揮している専門家を、毎年6~8名選び、フェローとして2ヶ月間日本に招へいするプログラムです。その他、詳しい内容はこちら()にあるのですが、このプログラムのユニークなところは、個人個人の研究もさることながら、さまざまな知的共同作業を通じたフェロー間のネットワークの形成に最も力を入れているところです。フェローシップというと、個人個人の研究に対する奨学金といったイメージが強いですよね。フェロー同士の横のつながりといえば、年に1回、あるいは数年に1回開催される同窓会程度と考える人が多いのではないでしょうか。





でも、このALFPでは、全員が国際文化会館に滞在し、フェローシップ期間の大半を、ワークショップやセミナーでの討論、地方の現状を視察するフィールド・トリップなどの共同作業に充てます。出身国も、専門分野も異なる専門家たちが、毎年設けられる「全体テーマ」のみを共通項として問題意識をぶつけ合い、共有し、信頼関係をはぐくんでいく・・・・・・ある程度キャリアを積んだ段階でのこのような体験は、それぞれの研究活動にとっても、新たな視点を提供してくれるすばらしい機会となるに違いありません!!!ちなみに今年の全体テーマは:「多様性と調和のアジア:共同体形成への可能性と拡がりを目指して」 でした。





■公開シンポジウム「多様性の中の連帯~排他的な国家から協同する複数のコミュニテイへ~」


オレペコが聞きにいった公開シンポジウムは、言わばプログラムの集大成。全体的な雰囲気として、フェローの間に強い連帯感が感じられたのが印象的でした。二ヶ月も一緒にすごしてきたんですもの、息もぴったりなんですね(゚ー゚)(。_。)ウンウン





で、肝心のシンポ。実はオレペコ、一日目しか参加できなかったんですが(・・;)、  「人びと、国家―誰のための安全保障か」というサブタイトルのもと実施された3時間のシンポジウムで、タイ、中国、日本の3人の専門家が取り上げたのは「人の移動」とそれに伴うさまざまな問題。たとえば、ある国に不法滞在している外国人の間に生まれた子どもの国籍の問題とか、日本の性産業で働く外国人の問題とか。



●国家が持つ”国境”というボーダーだけでなく、人というのは、”異質なもの”について、いとも簡単にボーダーを設定しがちである


●なぜさまざまなものがグローバル化する中で、人権だけはなかなかグローバル化しないのか



タイのシープラパー・ペッチャラメーシーさんの指摘が胸を突きます。また、


日本人フェロー青山薫さんの



●不法就労の問題で難しいのは、被害者か、被害者でないかの区別が難しいこと。必死で救い出したら、今の生活のほうがずっといいので帰りたくない、という人も多いのです。



という指摘は、正に、「誰のための」セキュリティか、という問いそのものでした。





ただ、オレペコが一番印象に残ったのは、実は、ひとりだけ「一国内の移動」の話を取り上げた中国のフェロー、ファン・ジャンシェンさんの発表でした。



●必ずしも国境を越える移動だけが問題を生むのではなく、中国では、今、農村部から都市部への移動がコミュニティに大きな変質をもたらし、さまざまな課題を生み出している。


●誰もが、豊かになりたいと思って都市に向かうが、実際は、都市部に住んで「何かを失った」と感じている人は多い。人間にとって、何が本当に「豊かな」生活かを見つめなおす必要があるのではないか。



経済成長著しい中国。


豊かさへの憧れ。


オレペコがアメリカ留学中に出会った中国人留学生たちもみな、「富」や「成功」への並々ならぬ意欲に満ち溢れていました。若くて有能な中国人に対するイメージがそんな風だったので、「経済的富を得ることは必ずしも人生の幸せとはいえないよ」と穏やかに、とても流暢な英語で話すファンさんのお話は、なんだかとても印象的だったのです。





シンポジウムは、(一日目だったこともありますが)何か確固たる結論に至ったわけではありません。でも、この日のテーマ「人びと、国家―誰のための安全保障か」について、本当にいろんな角度から(あるいはいろんな立場から)みんなで一生懸命考えることができた、そんな印象です。





最後に、このプログラムが期待する、成果をHPから。



文化や価値観の異なる人々が互いの独自性を尊重し、多様性を認め、そして地域的、世界的諸問題解決に向けたトランスナショナルな取組みへとつながることが期待されています。



今回の経験が、そういった取り組みにつながることを祈りつつ・・・ o(^-^)oヨイシュウマツヲ!


 





Thursday, November 15, 2007

 世界の○○感謝の日シリーズ~バリの神様編~



みなさん、こんにちは。潮風です。





さて、来週には久しぶりの連休ですね U\(●~▽~●)Уイェーイ!


とゆことで(?)、ブログチームは注目しました、「勤労感謝の日」。祝日法によれば、「勤労をたっとび、生産を祝い、国民互いに感謝しあう」だとか。ふむふむ。


じゃ、世界の国々にはどんなことに感謝する日があるんだろう??と湧き出てくる好奇心 (o゚▽゚)o))) ムクムク♪




そこで!!ブログではシリーズ化*1を決定し、JF情報網で調査を開始しました!!


何回連載になるか分かりませんが、ぼちぼちとお送りしますので、お楽しみに~☆





第1回目の今回は、インドネシア・バリ編です。


ご自身が華麗なるバリ舞踊ダンサーでもある、JFインドネシア・スクールのM@Y さんからの投稿です♪





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さて、去る11月10日(土)*2、小説を読んだそこのあなた、テスト勉強で充血しちゃった学生さんたち!!神さまからクレームがきてしまうかもしれませんよ…└(`0´)┘





というのも、バリ島には学問や芸術の神さまであるサラスワティの日Hari Raya Saraswatiというのがあって、読書や書き物が禁じられているのです…!


その日の本たちは、知識を得るために「読まれ、めくられる」のではなく、知識の大切さを再認識したり、より優れた直観力や洞察力を得られるようにと「お供えが捧げられ、感謝され」ます。最近はPCもその対象になっているとか。


                         


バリのお供えもの 1ー本格パージョン↓


見てください、隣に立っているおばあちゃんとの差!主に果物とケーキで出来ていて、お祈りが終わった後、皆で食べます♪       


f:id:japanfoundation:20020925204613j:image:w60                      


バリのお供えもの 2―豪華バージョン↓


f:id:japanfoundation:20000103161344j:image:w200   




その他にも、昨日の11月14日(水) *3、「パゲルウェシの日Hari Raya Pagerwesi」と言って、鉄製品にお供えして感謝する日です。彫刻刀の木彫り職人、車のタクシー運転手、青銅製の楽器・ガムランの奏者、針のお針子さんなどにとっては、特に大切な日ですが、普段、電車やPCなどにお世話になっている私たちにとっても他人事ではありませんね。





青銅製楽器・ガムラン↓ (隙間には・・・?!) 


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「なぜ鉄…?」と思った方!「パゲルウェシ」というのはバリ語で「鉄柵」という意味で、鉄柵は人間を守ってくれるものの象徴なのだそうです。さらには、自分の心の中にも鉄柵を作って、清い心を保ちましょう!という意味もあるようですヨ。





そういえば、人間を守ってくれる住居。バリの人たちは普段から、家のあらゆるところにお供えをして、家の外にいる悪霊が入ってこないよう、家をとても大切にしています。

実際に、友だち宅でお供えをさせてもらったことがあるのですが、家の門の前、石像のあるところ、水周り、家の主人の部屋、踊りの衣装や楽器のあるところ、家の中にあるお寺の入り口、お寺の中の到るところ、外壁に空いた穴(!)*4などなどなどなど…なかなか大変(汗)。これを1日3回繰り返すのですから、バリのお母さんたちはお供え物作りで大忙しです!最近は、市場で出来合いのものを買ってくる人も多いんですけどね。





バリのお供えもの 3―普段使い ↓


ヤシの葉で編んだ入れ物の上に花びらなどを乗せ、キャンディーかクッキーのような甘いものを添えて、お線香を置きます。聖水をパシャっとかけて念を込めれば1箇所クリア!


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でも、これも全て、外にいる悪霊にも小さなご飯をあげて「家の中に入ってこないでね♡」と慰めてあげたり、ご先祖様に敬意を表したり、大切なものや場所に感謝の意を捧げたりするため。こんな「感謝」の習慣、私たちも見習いたいものですネ゚・:*:・。(´∇`)゚・:*:・。





最後にオマケ:バリの夕焼け ↓


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*1:これまでいろいろなシリーズやっています。
世界のクリスマスシリーズ
世界のハロウィン事情
世界の独立/建国記念日


*2:サカ暦とウク暦という独特の暦に従って決まるため、日にちは毎年変わります。


*3:*2参照


*4:外から悪霊が進入できそうな場所を、くまなくカバーするそうです。





Friday, November 9, 2007

いよいよ始動!ヴェネチア・ビエンナーレ建築展2008






ジャパンファウンデーションWEBサイトでお知らせしましたとおり、

第11回ヴェネチア・ビエンナーレ建築展の日本館コミッショナーが五十嵐太郎さん*1に決定しました。





―出品作家は、 建築家石上純也さん、植物学者大場秀章さん―


本日11月9日(金)、国際交流基金(赤坂)の国際会議場では記者発表が行われています。





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石上さんといえば・・・、先日から東京都現代美術館で始まった「space for your future―アートとデザインの遺伝子を組み替える」展*2に出品中。オープニングの日から早くもブログ上では次々に反響が綴られており、「おっ、これは何としても見に行かなくては・・・!!」(衝動的に)みかんも先週末出かけてまいりました。





出品されている《四角いふうせん》は





ふわり。





1tの巨大な四角いかたまりが宙に浮いているもの。美術館のB1~3Fまでの吹き抜けのアトリウムに、ヘリウムガスによってちょっと歪なアルミの構造体が漂っているのです。各階のバルコニーから眺める人、B1Fから見上げる人、多くの来場者がぽかんと見とれていました。









感覚から思考まで、もういろんな部分が触発されます。是非、また見に行きたい。


mosaik的東京経験値







写真では伝えにくい作品でもあり、どこかに移設するのは容易ではないので、


この展覧会で見ることを強くお薦めしたい。


フクヘン。(ブルータス副編集長、鈴木芳雄のブログ)









実はこの日、偶然にも石上さんご本人が会場にいらっしゃったのです。某建築家に同行していたみかん、この《四角いふうせん》を体感しちゃいました!!通常は監視の方がスティックを持って、巨大なふうせんが隅に寄り過ぎないようにしたり、ゆーっくりと上下、左右に動かしたりと、絶えずふうせんを見守っていらっしゃるのです。





話によると、吹き抜け空間も、窓側は日が差し込むので温度が上がり、その温度の変化によってもふうせんが上がったり下がったり、動くのだそう。そして、実は思ったよりも軽い!んーー、コレは皆さん、必見ですよ。




みなさん、ぜひ週末に足を運んでみてはいかがでしょう?*3




その他にも、100通りの沢尻エリカを出現させたタナカノリユキさんやSANAA*4の《フラワーハウス》模型、フセイン・チャラヤンからカーステン・ニコライまで、建築、ファッション、デザイン、メディアアート、幅広いジャンルの作品が目白押し。








ヴェネチア・ビエンナーレ建築展日本館のテーマが「EXTREME NATURE - SMALL PAVILIONS -」と発表されましたが、最近のアート界、有機的な曲線、植物や細胞の生成を連想させる作品が気になっている人も多いのでは・・・?建築のように一見“ハード”な印象のものが生物学的な柔らかさを持っている、これがまたなんとも不思議な魅力を発揮しています。





本展覧会でも、ブラジルからエルネスト・ネト、パリの建築家ユニットR&Sie(n)+Dなど、展覧会サブタイトルにもある「遺伝子」を感じさせる作品が並んでいます。








記者発表で明らかになった注目の展示については、


後ほどこちらでも少ーしご紹介しちゃいます!!乞うご期待♪


↓↓↓


こちら、本日の様子です!来年のヴェネチアが楽しみですね^o^  f:id:japanfoundation:20071109165538j:image f:id:japanfoundation:20071105120930j:image


Photo(C)junya.ishigami+associates




*1:ジャパンファウンデーション定期刊行誌の「をちこち散歩」コーナーでは、10月号より五十嵐さん、束 芋さん、テッサ・モーリス-スズキさんの連載が始まっています。こちらをチェック。


*2:ジャパンファウンデーションも助成しています。お、チラシにも蝶々のロゴ、飛んでますよ♪


*3:来週の11/16の、フジテレビ art loverでも「SPACE FOR YOUR FUTURE」が紹介されます。午前4:25~の放送ですので、みなさん早起きを^^; 


*4:妹島和世さんと共にSANAAとして活躍する西沢立衛さんも、「をちこち」の最新号19号]に登場。横浜トリエンナーレ2008へのカウントダウン連載として、総合ディレクター水沢勉さんとの対談を収録しています。





Thursday, November 8, 2007

文化大革命 ―作家・李鋭氏の骨に刻まれた記憶を辿る



お久しぶりです。三富です。





ブログチームに参加し、早1年と1ヶ月。


第2期ブログチームの始動とほぼ同時に、ブログノートなるものをつくり、毎月の編集会議の内容や、取材メモ、記事の構想などを書きとめていました。

その記念すべき1ページ目に記された取材メモが、第16回開高健記念アジア作家講演会シリーズ、シンガポールの華人作家・丁雲さんの東京講演でした*1




それから1年を経て、第17回開高健記念アジア作家講演会「中国と私の文学の道-小説を書き始めた頃- 李鋭(リ・ルエイ)講演会」 が11月6日(火)、ジャパンファウンデーション国際会議場で開催されました*2





f:id:japanfoundation:20071107192537j:image:right冒頭、コーディネーターの毛丹青(マオ・タンチン)さんより、次のような挨拶がありました。






この講演会は、皆さんがアジアのなかの中国を知るチャンスであると同時に、中国が日本を知るチャンスでもあります。先ほどご紹介した情景のような、ごくありふれた情景が一人の中国の作家の好奇心をそそり、また旅先においてインスピレーションを与えるのです。


毛丹青的博客「aMAo’s Blog」






毛さんの言葉どおり、私たちにとって、1人の中国人作家の人生のほんの1コマ(ただしとても重要な1コマ)を通じて、中国についての理解を深める素晴らしい機会となりました。





。+.。゚:;。+゚+。::゚。:.゚。+。。+.。゚:;。+゚+。::゚。:.゚。+。





講演では、文化大革命期の上山下郷運動(下放)によって、山西省呂梁山の寒村に送られ、“天国から地獄へ”とご本人自ら形容されるほどの急激な変化を経て、厳しい農村の現実に絶望しながらも、逆境をバネに執筆活動に熱意を注いだ李鋭さんの「小説を書き始めた頃」の記憶を辿ります。





― 1969年1月12日 北京を離れ、山西省呂梁山へ





北京を離れ、生産大隊に入って3年。「一生労働者として生きていくこと」を覚悟した時。だからこそ、何か人に認めてもらえる証を、そしてまるで犬同然のように扱われる自分が真っ当な人間であることを示すために、「書くこと」を決意したそうです。





李鋭さんの決意は、長兄に宛てた手紙に現れています。






「自らの作品が発表されることがない限り、北京には戻らない」





f:id:japanfoundation:20071107192829j:image:leftそして、長兄にも漏らさなかった思いを吐露してくださいました。「発表される作品を亡き父母に捧げたいと思った*3。あなたの息子は消して意気地なしや出来損ないではないことを伝えたかった。」


冬場の農閑期も村に残り、何枚も何枚も服を着込んで寒さに耐えながら執筆活動に専念した李鋭さん。執筆を決意した1972年からの1年間は、初稿を書き上げてからも、7回8回と書き直しを繰り返し、原稿の総文字数は8万文字を優に超えたといいます。





― そして、1974年。





ついに作品が雑誌に掲載されることが決まったとの通知を受けた李鋭さんは、その時の気持ちを「狂おしいほどの喜びと同時に、深い深い悲しみを感じた。」と顧みます。


その年の冬、はじめて戻った北京の実家で、作品が掲載された雑誌を父母の霊前に飾り、頭を深くさげ、人目も構わず思いのたけを涙として流したそうです。





文化大革命という歴史の波に翻弄されながらも、自らの運命に「書くこと」で抵抗しつづけた李鋭さん。


呂梁山での記憶を振り返りながら、小説を書きつづけることは、人生や運命への抵抗、そして歴史に埋没されることに対する抵抗であると、講演をまとめていらっしゃいました。





。+.。゚:;。+゚+。::゚。:.゚。+。。+.。゚:;。+゚+。::゚。:.゚。+。





質疑応答の場面でも、参加された方々からは、「毛沢東は、文革で何を目指したのか?」「文革の本質とは?」「中国は文革を乗り越えて、何を目指すのか?」などと文化大革命に関する質問が集中しました。





「文革を経験した中国の文化人で、文革のことを笑いながら話す人は1人としていない。」との、コーディネーターの毛さんの言葉に、私たちにとっては教科書で学んだ歴史の一幕であっても、その時代に生きた中国の人々にとっては、正に骨に刻み込まれた忘れえぬ記憶であることを痛切に感じました。





李鋭さんは、11月15日まで日本に滞在されます。すでに大阪、東京でも講演をされていますが、今週末には仙台、函館の2都市でも講演会が開催されます。お近くにお住まいの方は是非、足を運んでみてください。








  • 仙台「永遠なるものと消えゆくもの」


平成19年11月10日(土)14:00~16:00


会場:仙台文学館(仙台市青葉区)


URL:http://www.lit.city.sendai.jp/event.html#kaiko2007




  • 函館「漢字による自己表現」


平成19年11月11日(日)14:00~16:00


会場:函館市中央図書館(函館市五稜郭町)


URL:http://www.hif.or.jp/2007/09/111117.html









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講演後、サインに応じる李鋭さん




*1:第16回講演会の様子は、こちら→漂流する新人職員、丁雲氏の講演会に出没


*2tokyo-fashionさんが興味深いエピソードを書いてくださっています(こちら)。ありがとうございます!また、以前余華さんを招いたイベントに参加してくださったMarieさんが、李鋭氏の作品の感想を書いてTBくださいました。ありがとうございます~♪


*3:李鋭さんのご両親は、下放によって呂梁山に送られた後すぐに、相次いで他界されたそうです。





Monday, November 5, 2007

日本研究機関支援プログラム、デリー大学、ネルー大学訪日研修



さてさて、今日はブログ初登場Tさんからの投稿ですよっヾ(▽^  )ゞ


ジャパンファウンデーションでは、世界各国で日本研究の中核を担っている大学や研究所に専門家を派遣したり、国際会議、学会などを通じて研究者のネットワークを広げていただくためのお手伝いをしています。


それが今回ご紹介する「日本研究機関支援」というプログラム。





漢字ばっかりでちょっと堅苦しそうだなぁ・・・o(;△;)oと思ってのぞいてみたら、インドから来日した皆さんの素敵な笑顔がたーくさん(≧∇≦)/ そして最後は涙涙の展開・・・!?





★。、:*:。.:*:・'゜☆。.:*:・'゜★。、:*:。.:*:・'゜☆。.:*:・'゜★。、:*:。.:*:・'゜




平成19年度の日本研究機関支援プログラムの一環として、今回初の試みとなるインド人学生による訪日研修が、9月26日から10月6日まで行われました。訪日中、学生は基金の関西国際センターに宿泊し、そこから大阪、京都、奈良を回り、大阪大学や京都大学、また奈良の東大寺や京都の御所などを訪れました。あと京都の四条にある「国際マンガミュージアム」なんて日本のポップ・カルチャーにも触れましたね。*1





今回支援対象となった大学はともにインドのニューデリーにあるデリー大学ネルー大学。両大学ともインドではその創立当初から、ライバルとして、またインドを代表とするエリート校として、インド国内の高等教育を引っ張ってきた由緒ある大学です。デリー大学からの参加はカリヤンモイー・ダスさん、プーナム:タクールさん、ネトラナンダ・サフさん。そしてネルー大学からはスプリティ・セティさん、ディープティ・セティさん、チランジブ・サフーさんが参加しました。





f:id:japanfoundation:20071101162826j:image:left





(右からスプリティさん、デープティさん、ネトラナンダさん、プーナムさん、カリヤンモイーさん、後ろチランジブさんと、私。)








参加者のうちスプリティさん、デープティさん、カリヤンモイーさん以外は今回が初来日どころか初海外経験。何もかもがインドと違い、最初は戸惑いもあったことでしょう。しかしそこはパワフルインド人たち、彼らの輪の中では笑い声が絶えることはありませんでした。





参加者は既にそれぞれの研究分野を持ち、京都大学や大阪大学では自らアポ取りをした上で大学教授と面接に行ったり、インドでは手に入りにくい専門書を購入したりと限られた研修時間を最大限活用しようとする姿に心を打たれました。





特に印象的だったのが、自然科学系出身のネトラナンダさん。研修中、どうしても会いに行きたい先生がいるというので、日本語が全くできない彼が京都大学の防災研究所へ一人で行った時のことでした。京都にある日文研を訪れるのが本来のその日の予定でしたが、京都駅までみんなで行った後、彼が乗るべき電車のホームまで連れていき、「この電車の7番目の駅で降りるんだよ」それだけ言って、彼を電車に乗せ、他の参加者は日文研のある桂駅まで移動しました。





心の中では拭いきれない不安がありましたが、その3時間くらい後に明るい笑顔とともに同じ電車から京都駅に戻ってきた時、彼の手には研究所の先生から渡された大学院進学のための研究課題がありました。「私はこの研究課題を提出して、来年には防災研究所で勉強する。」そう誇らしげに言うネトラナンダさん。教授との面接がよほどうまく行ったようで、彼は再会した友達に捲くし立てるように自分の体験談を話したのでした。「自分で自分の将来を切り開く。」そんなインド人のハングリー精神を見せ付けられた瞬間でした。





f:id:japanfoundation:20071101164101j:image:right研修も無事終わり、最後、みんなと空港でお別れをする際、いつも笑ってばかりのPoonamさんが突然泣き出してしまいました。「お別れは辛いけど、それだけ充実した時間を過ごせたんだね。またどこかで会いたいね。」そうお互いに言いながら、パワフルインド人学生による、笑いあり涙ありの訪日研修は幕を閉じたのでした。


(みんなの周りには常に笑顔が溢れてました。⇒)









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(楽しかった10日間もアッという間に、お別れの時間)




*1:ジャパンファウンデーションの定期刊行誌「をちこち」最新号でもマンガの特集を組みました。麻生太郎元外相の対談も注目されて朝日新聞でも紹介されたんですよ~!詳しくはこちら。ちなみに前号はインド特集でした!





Friday, November 2, 2007

NC研修事業めじろ押し(後編)



こんにちは。NCニコですヾ(*゚∇^*)ノ

10月31日の日記に引き続き、日本語国際センター(通称「NC」Nihongo Kokusai Center)*1より「NC研修事業めじろ押し(後編)」をお送りします。


日本文化紹介バージョンアップ企画」第2弾(現代邦楽コンサート)の余韻も覚めやらぬうちに第3弾プロジェクトとして、空手デモンストレーションをNC内ホールで行いました(-д(-д(`д´)д-)д-)





f:id:japanfoundation:20070402083303j:image:left


教えてくださったのは(社)日本空手協会埼玉県本部の皆さんで、大人から小学校3年生まで、総勢14人で来てくださいました。小学生の中には、全国大会でベスト4までいった方もいました!同協会埼玉県本部の神田副理事長が解説し、技の型の紹介に始まり、1対1での取り組みなど、勇壮な姿を皆さんで披露してくれました。とくに面白かったのは護身術で、たとえば「後ろから羽交い締めにされたらどうしますか」「腕を強く捕まれてしまったらどうしますか」といった問題が与えられたとき、素人だとどうにもこうにもならないのですが、空手の技を使うと見事にするりと振りほどくことができたりするのです。





f:id:japanfoundation:20070402091339j:image:right


研修参加者からも数名が、護身術を先生から直に教わりました。神田副理事は、「相手を振り払ったら、相手と戦おうとせず、まずその場から逃げることが大事だ」と念を押していました。デモンストレーション終了後もなかなか興奮が冷めやらなかったのですが、記念写真を撮り、無事終了となりました。空手のデモンストレーションをNCで行うのは始めての試みでしたが、今回の成功を踏まえ、神田副理事からは「ぜひ定期的に開催したい」とのありがたいお言葉をいただきました。(ο^ ^ο) にっこり





゚★,。・:*:・☆゚ ゚★,。・:*:・☆゚ ゚★,。・:*:・☆゚


今日も研修参加者インタビューをしたいと思います。ご紹介するのは、ドミニカ共和国の日本・ドミニカ文化センター日本語学校で教えていらっしゃるラモス・アリスメンディさんです。



NCニコ(以下、「NC」):アリさんは、こないだの現代邦楽コンサートで出演した演奏家たちがドミニカ共和国で公演したとき、きてくださったのだそうですね。


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アリスメンディ(以下、「アリ」):はい。サントドミンゴ公演に行きました。初めは僕の教えている学校の日本人の先生が新聞に公演のお知らせが載っているのを教えてくれて、生徒たち50人くらいと一緒に聴きに行ったんです。日本に関するイベントは全部行くようにしていますから!その前の年にあった、和太鼓「小太郎」の公演も聴きに行きました。


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NC:東京打撃団の「小太郎」も聞いてくれたんですか?実はあの公演も私が舞台芸術課のとき担当していたんです。まさかあれらの公演を聴いてくれた方にここ浦和でお会いできるとは思ってもみませんでした。ご縁ですね。…ところでアリさんはどうしてそんなに日本語がお上手なんですか?いつから勉強し始めたのでしょうか。





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アリ:5~6年前からです。子供の頃に空手・合気道の道場に通っていたことがあって、日本の文化にはもともと興味があったのですが、大学では日本語を教える学科がなかったので、2年間、日本語学校に週1回通いました。その後は、教師として教えるようになりました。


NC:2年勉強しただけで、そんなに上達したなんてすごいですね。他に何か秘密があったのでは?日本人のお友達がたくさんいらっしゃるとか?

アリ:日本の友達はたくさんいますが、2005年の愛知万博のときにできた友達が多いですね。愛知万博のとき、メレンゲ*2のレッスンの講師として日本に来たのです。1日に3回、万博のドミニカ館でレッスンが開かれて、そこで講師として教えていました。万博の後も3ヶ月、日本に滞在して名古屋で日本語を勉強しました。講師といっても、ドミニカではみんな踊れるのが当たり前なんですよ。ホームパーティなどでみんな踊りますし、「踊らない子供はケーキを食べちゃダメ!」と言われたりするので、子供たちもみんな自然に踊るようになるんです。メレンゲを踊るのは、日本人にはちょっと難しいようですね、特に腰の動きが…ヾ(~O~;)


NC:そういえば愛知万博のとき、メレンゲのヒーローといわれるセルヒオ・バルガス氏の来日計画があったようなのですが、結局うまくいかなかった話を思い出しました。代わりにアリさんが踊っていたわけですね♪それにしても、2年間、週に1度のレッスンを受けて、3ヶ月日本に滞在して、そこまで日本語が上手になるというのは稀だと思います。


アリ:いえ、そこまで上手ではありません…。でも僕は、日本のドラマを見るのが大好きなんです。インターネットで買って、いろいろ見ました。一番好きなのは「電車男」、あとは「Love Generation」、「Long vacation」など。キムタク大好き!映画も好きですね。「東京タワー」とか。黒木瞳が好きなんです。あとは松嶋菜々子、深田恭子などなど。みんな、英語字幕が付いているので、最初は字幕を見ながら理解して、繰り返し見ているうちに日本語が理解できるようになったんです。


NC:私も見習わなくては( ̄ω ̄;)アリさんが教えている日本語学校の生徒さんたちも、そうした動機で日本語を習い始める人が多いですか?


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アリ:そうですね。僕の学校には生徒が150人くらいいますが、みんな漫画とアニメが大好きで、アメリカからインターネットで買っています。ドラゴンボール、るろうに剣心、NARUTO疾風伝・・・。NCニコさん、”NARUTO”知らないんですか?2年くらい前のですよ~。僕自身は漫画やアニメよりもドラマ・映画のような実写の方が好きですが、そのほか、僕はJ-POPが大好きなんです。L’Arc-en-Ciel、Gackt、LUNA SEA、宇多田ヒカル、倖田來未など。今は研修が大変で、なかなか音楽も聴く時間がありませんが。


NC:研修生活はどうですか?


アリ:大変ですが、今のところまだ大丈夫です。授業と宿題がとにかくたくさんあって。朝9時から5時まで授業を受けて、その後ご飯を食べて、大体夜2時くらいまで勉強しています。遊びに行く時間がないのが困りものですが、それでも土日はあちこちでかけます。僕は日本のお寺や神社を見るのも好きで、今週末は大宮の氷川神社を見に行く予定です。趣味はお寺に関する本を集めることで、将来はドミニカで日本のお寺を紹介する本を書くのが夢です。ドミニカでは宗教といえばキリスト教しかないのですが、日本では仏教や神道が混在しているのが面白いです。



アリさん、ありがとうございました(*^-゚)v ドラマやJ-POPが好きで秋葉原に毎週のように行っているとおっしゃるかと思えば、寺社仏閣に興味をもたれるという面もあるんですね。「金閣寺より三十三間堂や法隆寺が好き」なんて、渋好みな方ですよね。3月までの研修を、楽しんで頑張っていただきたいと思います。





NCでは10月25日に、国際交流基金の活動を応援してくださるJFサポーターズクラブの会員向けのイベントとして、希望者の方をNCにお招きし、研修事業の授業見学会を実施しました。詳細は後日JFサポーターズクラブのウェブサイトでご紹介する予定です。こちらもお楽しみになさってください★,。・:*:・☆゚





ちなみに・・・9月25日9月26日にご紹介した『エリンが挑戦! にほんごできます。』のDVD(+テキスト)1~3巻がオンライン上でも買えるようになっていますので、改めてご案内します。基本的な日本語スキットはもちろん、日本での生活が生のまま見られる映像素材としてもとても面白い内容になっています。ぜひご覧ください。JFサポーターズクラブ会員の方、そして国際交流基金のJFICショップでは割引価格でお買い求めいただくこともできますヨ( ゚ー゚)/





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また北浦和から登場させていただきます。それでは、また!!




*1:10月25日にはJFサポーターズクラブのイベントとして日本語国際センター授業見学会を行いました。発音トレーニングから教材開発研究のクラスまで、当日の様子はこちらでご覧いただけます♪


*2:ドミニカ共和国発祥のラテンダンス





Thursday, November 1, 2007

速報!!!海外日本語学習者298万人!!



お久しぶりです、潮風です。


いきなりですが ↓↓↓









機関数       13,639 機関


教師数       44,321 


学習者数   2,979,820 






これ、なんだと思いますか?⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒ (@゚ペ@)  !!!





これは、これは、・・・・

10月31日にジャパンファウンデーションが発表した、*1、世界では日本語教育がどんな状況で行われているかを示す数字です。





名前は海外日本語教育機関調査


前回調査は2003年だったのですが、機関数・教師数・学習者数が全て増加。実はこれ、1970年代からずーーーーと順調に伸びているのです!!!!

f:id:japanfoundation:20071101163804j:image:w500*2





さて、この調査、どうやって行われているのかというと。。。全部アンケートなんです。言うまでもなく、世界の皆様の協力の賜物☆☆そしてぶっちゃけ、かなり地道な作業です。世界中に約2万7千枚配布して、2万枚くらいを回収して、集計して積み上げた数字なんですから。協力していただいた世界中の方々、この場を借りて、ありがとうございましたっ!ぺこ <(_ _)>





この調査の結果概要速報版は、ホームページに掲載されていますので、ゼヒご覧ください。


http://www.jpf.go.jp/j/japan_j/news/0711/11-01.html





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この速報発表にあわせて、昨日は「機関調査記者発表会&パネリスト討論会」が実は行われていまして、パネリスト討論会に以下の3名の方々にいらしていただいていました。*3

f:id:japanfoundation:20071031160531j:image:w300*4






佐々木かをりさん    (株)イー・ウーマン 代表取締役社長


                 (株)ユニカルインターナショナル 代表取締役社長


西原鈴子さん      東京女子大学 現代文化学部 教授


                 元日本語教育学会会長


アーサー・ビナードさん  詩人






パネリストの方々には、発表した調査結果・分析を受けて、日本語教育に関してのお考えなどをお話いただいたのですが、当日会場にいた潮風も、受付に座りながらふむふむと聞いていました。





中でも・・・





佐々木さんは、ご自身がアメリカで日本語を教えていた経験があることを明かしながら、全体として学習者が増加はしているものの、最近の海外のビジネス関係セミナーでは日本の分科会よりインド・中国などのほうに人が集まっていて、日本の魅力が低下しつつあるのでは?との懸念を口にされました。その中で、やはり「言語を学びたい、その国をもっと知りたい」と思うには「人との接触」が大きく影響しているので、「いい先生」を育てることが大事なのでは、と、




また西原さんは、調査の結果から初・中等教育機関*5の学習者が全体の6割も占めることが判明したことに触れて、学習者にとって言語を学ぶ理由が、授業として習わされる「外発的理由」と、自分でその言語を学びたいという意思をもって学習する「内発的理由」の2つもちうること、そして初等教育などの早い段階で子どもたちに外国語学習の機会を与えることは自分の文化のことも知るいいきっかけになることを、





ビナードさんは、学習者数がどれだけ増加しても言語教育は1人1人のレベルで取り組むことが何より大事であり、また元日本語学習者のお立場から、日本語を学んだことによって英語の「cold」を示す概念が日本語では「寒い」と「冷たい」に分けられることを知った、という例を用いながら、言語を学ぶことは自分の中に新しい尺度や考え方を生み、自分のことを改めて知ることができる、と





話されていたことがとっても印象に残っています。


3人の方々は財界人、日本語教育学専門家、詩作家というそれぞれ違う立場でいらっしゃるのに、学習者1人1人にとって、どのようにしたら日本語学習経験がよいものになるのか、という視点をもってらしたように思え、潮風も日本語事業部の一員として非常に共感したのでありマス。





ジャパンファウンデーションは、この調査結果を受けて、日本語教育事業の更なる充実の必要性を認識し、これからもガンバリマス!!  


レッツ━━━━━━o(・∀・)○━━━━━━ゴー!!




*1:調査は2006年11月~2007年3月を対象にしています


*2:クリックして拡大するか、下のHPで見てくださいね


*3:討論会には、JF理事長も参加しました


*4:撮影:柴原三貴子


*5:日本の小・中・高等学校にあたります。国によって卒業する年度が違ったり、小中一貫・中高一貫など一貫教育があったり、様々なようです。