かなり久々の登場、しろうさぎです。
(新しい読者の方はご存じないかと思いますが、このブログの初期チームメンバーで、その頃はブログ上でもブイブイ言わしていたんですが(?)、最近はすっかり遠ざかってました。)
このたび、縁あって、蟹江ちゃん担当の部署の事業を勉強のために覗かせてらうことができて、
「か、感動・・・」と思っていたところ、「その報告をブログに書いて!!」とお願いされましたので、遠慮なく、書かせてもらうことになりました。
* * * * *
時は、師走かつクリスマス前。しかも金曜夕方。人々が浮き足立つころ。
正確には、12月19日、午後3時。
四谷三丁目の国際交流基金本部ビル2階には、なにやら不思議な陶器の数々が並んでいます。
日本の『埴輪』も髣髴とさせる、素朴で、温かみのあるこの作品たち。
日本の若手作家の作品?試作品?なんだろう?
なんと、これはアフガニスタン イスタリフ村から来日した
若き2名の陶工(ヌール・アフマッドさんとアブドゥル・マティンさん)が、20日間の日本滞在中に、焼いた陶器なのです。
お皿や器しか製作した事の無いイスタリフ焼では初めての大きさ・初めての造形だそうです。
彼らは、12月上旬に国際交流基金(ジャパンファウンデーション)の招きによって、来日しました。
担当したKさんによると、これは2005年に行われた事業のフォローアップだったそうで、2005年は、計15名が来日、視察中心で陶芸の里などに行ったそうです。
今回は、前回来日者のうちの最若手の2名が呼ばれました。
目的は、
1.日本の陶芸の技術と伝統を、アフガニスタンの陶芸の発展に役立ててもらうこと、
2.陶芸という芸術文化における日本・アフガニスタンの協力構築、だったとのことです。
しろうさぎ自身は、現在、「紛争後の地域における平和のために文化事業が果たしうる役割とは何か」というテーマで、来年初夏に行うシンポジウムを準備していることもあり、今回は、Kさん率いる、このプロジェクトを勉強のために報告会を覗いてきたわけです。
印象は、
1.同じ陶芸という分野で通じ合える、
2.一見、細かいところ、地味なところから、感謝される協力関係が作れる、?続けてゆくためのハードルを如何に越えてゆくかは、担当者の力量・気持ちにずいぶん関わってくる(その意味でも、今回のご担当、Kさん、他の方、お疲れさまです!)。
・・・ただ、わたくし、焼き物についての知識はまったくの素人なので、間違いがないように、と願いながら、書いてゆきます・・・
受け入れにご協力をくださった、永岡泰則先生(岐阜県恵那市串原・李朝陶磁)は、ガス窯による焼き方を今回の研修内容に選んだ理由として、以下を挙げてくださいました。
【永岡先生】・ イスタリフ焼には、体に有害とも言われる鉛が多く検出されてしまう。現在の焼成温度は薪による窯のため焼成温度が900度ぐらいまでしか上がらないが、ガス窯にすることにより1100度以上に上げることが可能となる。高温で焼き上げることは鉛分の検出を防ぐことにも繋がり(鉛分検出の原因は他にも土・釉薬も考えられ、一長一短には改善出来ないが、ガス窯の導入は一つの改善点である。)また現在抱えているイスタリフ焼きが脆いという欠点も改善することが出来る。
・ アフガニスタンではプロパンガスが少しずつ普及してきて、金額もだんだんと安価になってきている。ガスを使えば、従来の薪を使用する窯の場合に問題になっていた、森林伐採をしなくてすむ。エコロジーにも適している。
つまり、日本のものを教えるというスタンスではなく、あくまでも、アフガニスタンの役に立つものを、日本が持っている多くの技術の中から、選らんで、カスタマイズして、伝える、ということなんですね。だからこそ、相手の国にも、長期的な結果を残すことをより期待できる、というわけですね。
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さらに、会の終了後、受け入れてくださった、もう一人の先生、白潟八洲彦(しらかた・やすひこ)先生(愛媛県砥部焼伝統工芸士、一級技能士)と立ち話をすることができました。
おもしろいお話・・・・!
【白潟先生】
「日本の田んぼの『田んぼ足袋』が、アフガニスタンの彼らから見ると、焼き物の土をこねるときに、かかとを守ってくれて、とってもいいって言うんだ。ゴム長靴は、底が強すぎてダメ。足袋がちょうどいいらしい。彼らも買って帰った。高価なものや、最先端技術ではない。一足950円。こんな形で、意外なものが役立つ。感謝される。」
(足袋が、アフガニスタンの陶器を焼く現場で役に立つなんて、おもしろいですね!)
そしてそして、感動したお話・・・!!!!!
【白潟先生】「
今、新しい技術を守っておけば、必ずや、また平和が訪れたときに、海外にもこれだけ知られている場所だから、イスタリフの工芸品を求めて、多くの人が外国からも訪れてくれるものと確信している。
その日のために、今、やっていることが、将来、遠い先にでも、今回来日したヌールさん、マティンさんをはじめ、皆さんの手と記憶を通じて、残っていってくれれば、何か残すことができるのではないか。」
・・・・聞いているこちらも、心がふわーーっと、熱りました。
師と仰がれる方の大きさが伝わってきます。
すでに、2人の師匠と、師弟愛を築きはじめた、陶工たちの友情・愛情。
いつの日か、平和で豊かなアフガニスタンの地に、工芸品が栄え、人々の心を豊かにし続けることを願ってやみません。
もちろん、復興は、決して簡単に達成されるわけではありません。
報告会でも、課題として、伝統技術の維持と現代にあわせた変化をどうやって折り合いをつけてゆくのか、と言う点があがっていました。
また、当日言及はありませんでしたが、どのようにして彼らの自律的な発展を目指した出口(EXIT)計画を実施者として作るか、なども重要な点でしょう。
これら、簡単な答えのない難点を含みながらも、まずは、ひとつの事業が遂行されたこと、
参加者が笑顔でプログラムを終え、何度も「ありがとう、Thank you」と繰り返していたことを心に留めていきたいと思ったのでした。
東京のオフィスにいつつ、世界の平和と復興に思いを馳せた1時間でした。
町中が「ハッピー」になるこの季節。皆さんも、世界中の、遠くて近い人たちとの将来について、少し考えてみませんか。
しろうさぎ
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