Mです。今日はベトナム最終回です。長らくお付き合いいただきありがとうございました。
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(今日の登場人物)
「ソン」さん
フィン ヴィン ソン(Huỳnh Vĩnh Sơn)
アニメ監督
2009年ベトナム映画祭アニメ部門、最優秀作品賞、監督賞、脚本賞等、多数受賞。ベトナムでの数少ないアニメ監督の一人で、アニメ産業の発展のために精力的に活動中。
(c)Kenichi Aikawa
「ズン」さん
カオ・ヴィエト・ズン(Cao Việt Dũng)
翻訳家/文学理論研究者/編集者
翻訳家としてこれまで、村上春樹の『国境の南、太陽の西』をはじめ、ミラン・クンデラ等世界文学を20冊ほど翻訳。ニャナム出版社の編集者としても活躍中。
(c)Kenichi Aikawa
「ハー」さん
ドー・ティトゥー・ハー (Đỗ Thu Hà)
ジャーナリスト
トォイ・チェ新聞ハノイ支局にて文化欄を担当。文学、映画、建築など広い分野について情報を集め記事を書いている。ベトナムジャーナリスト協会賞他、多くの受賞歴がある。
(c)Kenichi Aikawa
「ティエン」さん
グエン・ヴィン・ティエン (Nguyễn Vĩnh Tiến)
建築家/作曲家/詩人
ハノイ建築大学卒。フランス・トゥールーズ大学院修了。建築会社T&Tの会長兼建築責任者。
受賞歴多数。建築では1994年に技術創作賞VIFOTEC一位受賞。同年、教育訓練省科学研究賞一位受賞。
短編小説では、1991年にTiền Phong紙主催の全国短編小説コンテストで一位を受賞。詩についても、1993年のホーチミン市作家協会主催のコンテストで秀作賞他多数受賞。1994年若手創作勲章を受章、このほかにも作曲家としての受賞も多数。2005年ベトナムを代表する若手10人の一人に選ばれる。また、今年5月にも「2005-2010年を代表する若手20人の一人」に選ばれた。
彼の音楽はこちらで聴くことができます。
(c)Kenichi Aikawa
-ベトナムにはアニメ監督が少ないとお聞きしたんですが、なぜアニメをやろうと思われたのですか?
(ソン)最初は画家を目指していたんですけれども、ベトナムの子どもがアメリカなど外国のアニメを見ているという現状をみて、ベトナムのアニメを見て笑ってもらいたいな、と思ったのがきっかけです。
今回の訪日では、自分の分野とは直接関係ない方々ともお話する機会が持てたのが非常にうれしかったです。そして、今日はマッドハウスを訪問し、今 敏監督とお話することができました。
今監督は、「信念を持って物事を行えば、ベトナムの子どもたちにきっと笑顔をもたらすことができる。信じて頑張ってください。」とおっしゃったのですが、これには本当に勇気付けられました。
-ズンさんは日本に来て何か変化ありましたか?
(ズン)私は、日本に来て、日本の現代文学だけではなくて、古典文学や名作を訳したいなという気持ちになりました。
- 村上春樹の作品は何語から訳しているのですか?
(ズン)フランス語や英語から翻訳しています。実は村上春樹の文学の翻訳を通じて日本のイメージがずいぶんと出来上がっていたんですが、実際とそれが違うことについてはそんなにおどろかなかったです。むしろ今回の訪日で日本のイメージを完全にすることができたと思っています。
村上春樹作品に描かれている日本が日本のすべてじゃないことはもちろん知っていましたけど、そんなにかけ離れたものでもないな、というのが印象です。
-ハーさんはいかがでしょうか?
(ハー) もう、ほかの人がだいぶ話してしまったと思うんですが、ベトナムに戻ったらジャーナリストとして日本について、例えば遺跡保存が進んでいることとか、現代と伝統との融合なんかについて話したいと思っています。外務省に行ったのですが、今日本としては、ポップカルチャーを世界に発信したいということのようで、そういうことも紹介できたらなと思います。
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最後ほんっとに時間がなくて、追いすがるようにお話を聞いたんですが、それでも後お二人、ルオン・ヴィエット・ズンさん(翻訳家でもあり、通訳者。日本の文学作品の翻訳にも携っています。)とティエンさんとはお話することが出来ませんでした。
ティエンさんからは、帰国後に「自分の目で日本人がどのように生き、どのように仕事をして、どのような成果を出しているか見ることができたことが一番印象に残っています。建築からほかの芸術に至るまで哲学が含まれていて、今回の訪問で丁寧に仕事をすること、そして自分の作品に哲学を吹き込むことについて考ています」とのコメントをいただきました。
ベトナムの皆さんとお話していて初めて日本に来た人の日本についての感想というのはとてもシンプルで、「あ、そうだよね、そうだったね。」と頷けるものが多く。自分が生まれ育った国を褒めてもらえるって素直にうれしいことだなあと思いました。
今回キーワードとして何度か出てきたのは「平和」、「伝統的なものと現代的なものとの融合」、「人柄とホスピタリティ」、「文化を大事にする心」だったかな、と思います。
もしかすると、ステレオタイプで陳腐な感想だと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、こういうよく言われるような印象こそが日本の魅力を底支えしているものなんでしょうね。
国際交流基金では、文化人の招へい事業を35年以上続けていますが、海外の方に日本を知っていただくということだけではなく、日本に住む私たちにも日本についての気づきを与えてもらえる、奥の深いプログラムだなと改めて感じました。
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