国際交流基金マニラ事務所は今年で11年目になりますが、先週7月13日、念願の日本語教室と図書館がオープンしました*1! 今日は、そのオープニングの模様をご紹介します。
そうです、オープンニング・イベントで コスプレ・ショー をやってしまいました。
フィリピン人バンドによるJ-POPコンサートも。当日来られたお客様の多くは、大学や日本語教育関係者。硬派の方々にもとても好評でした。どうしてコスプレ?、と思われるかもしれません。マニラ事務所の図書館では、もちろんメインは英語で書かれた日本関連の図書と日本語の教材ですが、もう一つの目玉として、 900冊の日本のマンガ w(*゚o゚*)w をそろえたのです。『のだめ』や『デスノート』もあります。
それから J-POPを視聴できるコーナー も作りました。
“マンガ喫茶”まであと一歩です・・・笑。
どうしてそんなサービスを始めたかといえば、やはり巷を席捲する日本のポップカルチャーブームがあります。ま、これはフィリピンに限ったことではなく世界的な潮流ですけど、ここにも相当コアなファンがいて、かなり深い世界に浸りつつ、“オンガクソサエティー”とか“ジュージロ”とか、サークルを作ってしょっちゅうイベントを企画して活発に活動しています。雑誌もありますよ。タイトルも文字通り『OTAKU』とか、『COSPLAY』。
それから有名な大学にはだいたい日本文化愛好のサークルがありますが、先日、とうとうマニラ・サイエンス・ハイスクールという所に、フィリピンの高校では史上初となる公式な日本文化サークルが誕生しました。
ということで、巷の高まる勢いに押されて、マニラ事務所でも日本のポップカルチャーの紹介事業にまい進(笑)してきました。特に昨年から色々とイベントを実施しています。日本のバンド「コア・オブ・ソウル」とフィリピンの人気バンドが競演するコンサートや、J-POPポスター展、いまや日本で大人気のコンテンポラリー・ダンス・カンパニー「コンドルズ」公演や、Jホラー映画祭に、ホラー・コメディー・ミュージカルの制作上演などなど。どの事業にもいつも多くの若者がつめかけて満員御礼、熱気にあふれます。
なぜ、これほどまでにポピュラーカルチャーにこだわるのかって?
・・・色々と理由はありますが、二つほど例を出してご紹介しておきます。
これは先日実施した日本映画祭のフライヤー。
深田恭子と土屋アンナ主演の 「下妻物語」 です。
ロリータ世界にひたるフカキョンと、原付バイク暴走族のアンナによる愉快な友情物語ですが、インパクトある絵柄が成功して話題を呼び、マニラでは計5回の上映でしたが多くのお客さんが押しかけて、特にフィリピン大学フィルム・インスティテュートでの上映会では、ほとんどいっぱいにならない800人収容の劇場が超満員になりました。
でも、この映画、英語タイトルが 「Kamikaze Girls」 だって知ってました?実は私も企画を決めてから知りました。フィリピンはご存知の通り、第二次世界大戦で日本人やフィリピン人など150万人以上の犠牲者を出した激戦の地です。しかも、神風特攻隊が最初に出撃した土地でもあるのです。一昔前なら、このタイトルといい、劇中に出てくる“特攻服”といい、フィリピン人の中で、どうしてこんな映画を上映するのかと批判する人が現れたことでしょう。でも今回はそうした話題はまったくなく、多くのフィリピン人が笑いに包まれたり、あまりのシュールなギャグに??となったりしていました。もちろん過去の悲劇を忘れてはいけませんが、ポピュラーカルチャーには、同時代に生きる私たちに国や民族や言葉などの違いを超えた親近感を与えてくれて、過去の歴史や様々なしがらみなどを相対化する力があると思うのです。
もう一つ別の例を紹介します。先日、フィリピンの最南部、ミンダナオ地方のバシラン島という所をたずねました。もしかしたら聞いたことがある人もいるかもしれませんが、フィリピンの南部は分離独立主義運動の一派や、アルカイーダなどとの関連がとりざたされているテロリストのグループが活動していて、実はこの島も、テロリスト・グループの一つである「アブサヤフ」の拠点なのです。実際は大きな島なので危険な場所ばかりではないのですが、その島のモスクで出会ったモスリムの高校生と話していたら、 「花より男子」 が好きだと言うのです。
“テロリストの島”と「花より男子」では、なんともかけ離れたイメージだと思いますが、世間では危険地帯とか“キリングフィールド”なんてレッテルをはられているような場所でも、日本のマンガを読んで、その世界に憧れている若い人たちがいっぱいいるのです。マンガに代表される日本のポピュラーカルチャーの良質な部分は、戦後半世紀以上続いた平和のたまもの。紛争や貧困など、苦しい状況にある人たちにも確かに夢や希望を与えている、誇るべき日本の文化だと思います。
そんなポピュラーカルチャーを大切に、楽しみに待っている多くのフィリピンの若い人たちの期待に少しでも答えられるよう、これからも新しい情報をどんどん発信し続けてゆこうと思っています。
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注:国際交流基金マニラ事務所の活動、裏情報、フィリピンのカルチャー/アートシーンにご関心のある方は、ぜひこちらのブログにもアクセスください。
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