こんにちは。今日は世界の○○感謝の日シリーズの第4弾。*1
今回はお隣り韓国のとある日について、潮風の正面デスクで、日々一緒に仕事をしているNさんからの投稿です。
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「サジャンニム」は「社長様」、「ブジャンニム」は「部長様」、そして「ソンセンニム」は「先生様」。「ニム」は「様」という意味だ。目上の人を敬う韓国人の国民性が、言葉からも感じられる。
私はかれこれ9年間、日本語教師の仕事に携わってきた。そしてこの「先生様」の国、韓国にも2年間滞在した。「大事にしてもらう」と誰でも悪い気はしないものだ。だから!?韓国は教師にとって住み心地のいい国である。(もちろん他にも、学生が熱心とか・・・日本語学習者層が厚いとか・・・人情味あふれているとか・・・近いとか・・・言い訳がましく言えばいろいろ理由はあるが。)
朝いつも通り教室に入ると、なんだか学生たちがニヤニヤしている。出席を取っていてもいつもより声が元気だ。
「朴さん、昨日、何かいいことがありましたか?」
「先生、昨日じゃありません。今日です。」
「(おおっと、はっきり否定するね~)・・・あら、そうですか。いいですね。今日、これからいいことがありますか?」
「はい。あります。先生は今日が何の日か知りますか?」
「朴さん、「知りますか」じゃなくて「知っていますか」ですよ。もう一度言ってください。(何度言っても覚えんね~。一応私も教師だし、訂正しとかんとね)」
「今日が何の日か知っていますか?」
「はい、いいですね。・・・今日?う~~ん、知りませんね。何の日ですか?」
「韓国人は先生を大切にします。」
「はい。(だから?)」
「先生は人形が好きですか?」
「え?人形?(唐突やね~)いや~あまり~・・・(子どもじゃないしね~)。どうしてですか?」
「・・・・・(ちょっと困った表情)。先生これ、プレゼントです。」
そう言って朴さんは、かわいい犬のぬいぐるみ(左写真)をくれた。他の学生たちもケーキや花束をどんどんくれた。とりあえず、「私が教師だからプレゼントもらえる日らしい」・・・ということで理解した。その日は、直接クラスで教えていない、ただ顔見知りの学生たちからもたくさんのプレゼントをもらった。まさに「ほっくほく」の1日である。
一般的には花が多いという話を聞くが、当時は私も「うら若く、まだまだかわいげのある女の先生」だったので、圧倒的にぬいぐるみが多かった。私はそのぬいぐるみを紙袋にぎゅうぎゅう入れて持ち帰り・・・その日から部屋はちょっと乙女チックに様変わりした。
後になってよくよく聞いてみると、5月15日は韓国では「先生(師匠)の日」ということで、師を敬い、日ごろ教えてもらっていることに対して感謝の気持ちを伝える日になっているらしい。実際、韓国人は「師は一生師である」と言い、卒業したからといってその敬う心を忘れるわけではない。ずっと自分に知識を授けてくれた人として尊敬し、大事にする。その気持ちは本当に、熱くて・・・・・厚い。
韓国人は全般的に日本人よりもよくプレゼントを贈り合う国民だと思う。「恋人同士の記念日が多い」ということは最近日本でも知られているだろう。男性陣は記念日を覚えることのみならず、プレゼント選びや渡すときの演出を考えるのも大変そうだ(「ちょっとそれはやりすぎでは・・・」と日本人なら引いてしまいそうな演出も多々目にし、耳にした)。
しかし恋人がいない私でも!普通に生活している私でも!
「給料をもらった」と言ってはぬいぐるみやCDをもらい、ただの飲み会の帰りに「今日の記念に」と言っては花束をもらい・・・・。日本人の私から考えるとにやり!?と勘違いしてしまいたくなるくらいプレゼントをもらう(本当に勘違いだったけど・・・)。そういうわけで、彼らはプレゼントをあげ慣れているし、もらい慣れている(と思う)。しかし、当時の私は・・・道で彼氏に「これかわいい~、買って~」とおねだりしている韓国女子と違い、「派手な花束」や「うさぎちゃん、くまちゃん、わんちゃんのぬいぐるみ」をもらうことにはあまり慣れてなかった。だから、やたら照れてしまったのをよく覚えている。
でも・・・私たちも、ちょっとは自分が一生師として仰げる人物を思い返してみてはどうだろうか?そしてその人に自分の感謝の意を伝えてみては?それは必ずしも「学校の先生」という職業人でなくても、自分にとって智を授けてくれた人であればいいと思う。日本人にとっては少し照れくさいことかもしれないが、「言葉で、態度で気持ちを伝える」のが得意な韓国人に倣って、たまには感謝を形にしてみるのもいいのではないだろうか?「ありがとう」を伝えることはお互いとても気持ちがいいものだから。
(おまけ)
最後に、そのぬいぐるみの行く末を。中でもとびきりかわいい顔をしていた朴さんにもらった「わんちゃん」は、私の帰国とともに甥っ子の手に収まり、「わんわん」と名づけられた。よだれにまみれ、枕がわりにされ、洗濯機でガラガラ洗われ・・・それでも甥っ子の「ママに叱られたときは、わんわんとねんねするの。ねー。」という言葉に支えれられ!?
・・・・先日、甥っ子に電話をかけて「一緒に寝てるわんわんの写真送ってよ」と頼んだところ、「もう一緒には寝てないもんっ」と言われた。彼も4歳。わんわんに助けてもらわなくても自分の力で乗り越えられるようになったらしい。子どもの成長はメザマシイ。
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