Tuesday, August 28, 2007

「ものを書くこと」のススメ Part2






今日は引き続き、小川忠さんインタビューをお届けしましょう(Part1は、こちら)。


単なる日記やつぶやき、感想などを超えて、活字として発信していくということの意味は?---早速、どうぞ♪





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Q:何かに関心を持ったとしても、それを「本にする」というところまではなかなかたどりつかないですよね(・・;) 最近は、ブログやMixiなどのSNSで日記的に自分の感じたことをまとめている人などは、実は結構いると思うのですが、それを「出版する」となると一気にハードルが高くなるような・・・


A:入としては「ブログ」とか「SNS」とかを使って書いていく、というのでいいと思うんです。でも、それをより多くの人に発信したいと思えば、やっぱり「思いつき」を裏付けるための「調査」が必要になってくる。「加工」が必要なんですね。「本」にしていくということはつまり、自分の視点を相対化する試みです。大変な作業ですが、それもこれも「好きだから」こそできるんですよ。つまんなきゃやんないって(笑)。


                         (前列右端が小川さんです)


f:id:japanfoundation:20060822200819j:image:right国際交流を通じて相互理解を深めていくという行為は、人の「先入観」とか「偏見」をひっくり返す、ということだと思います。国際交流の世界で25年間働いてきて、経験則的に言えるのは、人は誰でも、無自覚のうちに偏見や先入観を持っていて、これを満たしてくれるものを書いたほうが喜ばれたりする。安心できるんでしょうね。逆に、その思いを満たしてくれないものは失望されることも多いのです。


でも、ちゃんと裏づけがあれば人は関心を持ってくれます。だから、自分が「おや?」と感じた瞬間をきっかけに「みんなこういってるけど本当にそうなのかな?」と調べまくる。それで、先入観や偏見をひっくり返すような議論が展開できれば、人は読んでくれますよ(笑)。






Q:それにしても小川さんは、若手の飲み会にも必ず参加されていますし(笑)、一体いつ、調べ物をしたり、書き物をしたりされているんだろう?と不思議に思うんですが・・・


A:はは。


片道40分の通勤電車が読書の時間になっています。40分×2×5で、一週間で6時間以上の時間が取れるわけでしょ。貴重ですよ。で、こうした「インプット」を2年間くらい続けてたまったものを、今度は週末を利用して一気に書き上げるスタイルです。書き始めると、大体3ヶ月くらいで書きあがる感じですね。





Q:す、すごい。


通勤時間の利用とかは、わかっちゃいるけど、なかなかできないですよね・・・。


さあ、いろいろお話を伺ってまいりましたが、最後の質問です。今後の野望というか、展望を教えてください!


A:後は、日本のこと、日本の原理主義のことをもう少し詰めて書いていきたいかな。あと、もっと多くの人に発信していこうとするとやっぱり言語の問題がありますよね。実は共著の本で英語のものがもう少しで出るのですが、それも含めて、今後英語での発信を心がけていきたい。





それから、ジャパンファウンデーションの活動分野である「国際交流」をもっと盛り上げていきたいですね。予算がどんどん減って、なかなか難しい時代ですが、こう、わくわくするような事業をやって盛り上げていきたい。そんな感じです。





最後に、これからJFの海外事務所に駐在していくであろう若い職員に伝えたいのですが、JFの海外事務所で働くということは、個人のみならず日本社会にとっても貴重な体験です。なぜなら赴任する国と、2年とか3年、文化を通じてじっくり向き合う機会を与えられるのだから。大使館やメディア特派員は政治、企業の方々は経済中心で、JF海外駐在のように文化を通じて駐在国と接するポストは多くない。文化だから見えてくるものもあるのです。公費で海外駐在しているJF職員は、そうした貴重な体験を、我々を送り出してくれた社会に還元していくべきじゃないかな。皆、がんばって筆をとってください。





(一同)小川さん、今日はどうもありがとうございました!



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<インタビューを終えて>





実はこのあと、ブログチームメンバーと小川さんとで飲みにいって、さらにいろいろとお話をしたわけですが(^^)v、いざ帰ろう、となったときにたまたま近くにあった小川さんのカバンを手渡そうと思ったオレペコそのあまりの重さ に驚いてしまいました・・・まるで中に大きな石がたくさん詰まっているかのよう。この重みが、小川さんにインプットされていく知識の重み、、、帰りは疲れちゃって軽い小説とかしか読んでいない自分がちょっと恥ずかしくなってしまいました(・・。)ゞ





今回、インタビューをしたほかのメンバーも、それぞれ感じるところがあったようです。


まずは、お笑い大好き、三富さん。






 ○印象に残った言葉


「(我々職員も含め)無自覚のなかで偏見や先入観を持っている。」という言葉が印象に残りました。


無自覚だからこそ、誰かに指摘されなくては気づかないことですが、国際交流を裏方で支える職員としては、いろんな情報源から情報や知識を吸収して、偏ったものの見方を正すよう日々努力しなくてはいけないな、と痛感しました。


 ○通勤時間の有効活用について


私の場合、片道1時間半くらいかかるので、年間750時間くらい通勤に費やしているんですよね。この時間も無駄にしてはいけないな、と感じました。(といいつつも、今日もつり革につかまりながらウトウトしてしまいましたが。)



潮風さんは、どうでしょう。



 ○印象に残った言葉


~日常生活の中で、「おや?」と思うことを見つけるのが大事。「本を書く」というのは、その気づきを書き留めて調べていく(学術的な裏づけを取る)ということ。~


人は無自覚の偏見、先入観をもっているが、それを打ち破ることの大切さを話していらっしゃいました。その偏見、先入観を打ち破るきっかけこそが「おや?」と感じることなのだと思いました。そして小川さんの場合は、執筆活動を通して、そのきっかけを多くの人と共有しているのだなぁと。


国際交流基金が行っている事業を始めとして、諸外国からのいろいろなインプットがある昨今。自分の「おや?」を探知できるように、アンテナに磨きをかけていきたいと思いました。





~好きだから。好きなことは苦痛じゃない。~


文章を書く、調べものをする等々について。自分の仕事、自分のやっていることを「好きだから」という理由で語れるオジサンは、かっこいいと素直に思う。(そんなオバサンになれるかな・・・)



最後は、みかんちゃん。新人さんだけに、スポンジのようにさまざまなことを吸収しつつある彼女は、思うところも多かったようです。






お話の中で印象的だったのは・・・ 「98年のインド赴任当時、インドを嫌いな日本人は多かった。でもニューデリーでの駐在経験を経て、インドの悪口は言いたくないと思うようになった。また相手を理解しようとする努力をした」という言葉でした。

今や誰でも海外に出かけるのが容易な時代。同じような気持ちになったことあるある!という方も多いのでは?必ずしも好きなわけではないけれど、インドを悪く言われると、思わず弁護したくなるような気持ち。ある国を知るとそう思うのはごく自然な気がします。

今まで全然知らなかった国も、たとえばひとりの友達に出会ったら「あっ、○○さんの国だ」と思わずTVのニュースが目に留まったりしますよね。ヽ(^^ヽ)最近では、実際に訪れたことがなくっても、シアトル⇒イチロー、ボストン⇒松坂、なーんてTVのおかげで急に異国の地が身近になったりもしました。

ジャパンファウンデーションの事業もそんな皆さんにとってのきっかけの一つになれば、と改めて思いました。偶然見た一本の映画、一冊の本、そんなちょっとした出会いによって、人の輪が世界に広がっていったら素敵ですよね。



うーん。


これだけいろんなことを考えるきっかけを作ってくださった小川さん、改めて、ありがとうございましたっ!





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