表題の"JOY FACTOR(ジョイ・ファクター)"という言葉を聞いてみなさんはどういうことを思い浮かべますか?
実はこれ、先日、日米センター知的交流課が協力した「イノベーターズ・プロジェクト*1」という「知的交流事業」で出てきたキーワードの一つなんです。それにしても、「知的交流」と「JOY FACTOR」・・・どう結びつくの??? その答えは、担当の稲田さんから語ってもらいましょう!
今日は、"Joy Factor"という言葉についてお話ししたいと思います。
1月19日~21日にかけて日米のイノベータ-約30名が東京に集まり、「リトリート」というイベント*2を行いました。
<「リトリート」の一場面。参加者それぞれが、30年後の一日を想像してパネル作りをしています>
<できたパネルはこんな感じ>*3
また1月23日には、慶応大学にて「社会変革のデザイナーたち~日米イノベーターと語る、個人を動かす仕組みとイノベーション」と題した公開のシンポジウムを開催しました。
<リトリートでディスカッションを繰り返したイノベーターたち>
<シンポジウムでより多くの人とつながります>
これまでは、政府機関や企業、マスコミなど、いわゆる「体制」と呼ばれる側が、「よりよい社会とは何か」あるいは「売れるもの」や「みんなが喜ぶもの」は何だろうと考えて、価値観や商品、サービスを人々に対して提供するという流れが一般的でした。
それが今では、インターネットの発達によって、一人一人が理想やアイデアを表現して、広く発信することができるようになり、それを見て共感する人たちがネットワークを組み、情報を交換したり、知恵やお金を出し合ったりすることでカタチになる。つまり、 一般市民の側からモノゴトを実現させていく という流れが大きくなっている。特にWEB2.0の時代になって、こうしたトップ・ダウンからボトム・アップへの社会構造の変化が加速していくだろうという認識のもと、既に実現しているいろいろな取り組みが紹介されました。
例えば、企業が売り出す商品を決めるのではなく、消費者の声を集めて、本当にほしいものを商品にする「空想生活」や、レコード会社ではなくファンの応援によってCDデビューが実現する「ミュージック・セキュリティーズ」、あるいは、キャメロン・シンクレア氏*4が運営している、貧しい地域や災害にあった地域に対して、その地域・コミュニティが必要としている住居・建物を世界中の建築家からインターネットを使ってアイデアを募集して、自発的な支援活動を組織化するプロジェクトなど、市民の声がカタチになっているとても興味深い事例が紹介されていました。
今回のリトリートのテーマは「Bridging Gaps(ギャップを埋める)」でしたが、これは、体制側と市民側、企業と消費者、提供者と受給者、マネタリー・エコノミー*5とボランタリー・エコノミー、右脳と左脳、など、これまで二項対立の構造をしていた両者の融合がこれからよりより社会を実現するためには必要で、この橋渡しをしていこうという意味が込められていました。
その中で、ソフィアバンクの田坂広志氏が紹介した「Joy Factor」というキーワードがとても印象に残りました・・・(つづく)
「なぜ、"JOY FACTOR"が気になったのか」や、この最先端の議論から担当者の稲田さんが感じとったこと、については、後編でご紹介することにして、今日は、上で紹介されている、「リトリート」と「シンポジウム」について、参加された方の反応をご紹介したいと思います。
まずは、リトリート。
イノベーターのひとり、渋澤健さんは、
参加してちょっとびっくりしているのは、このプログラムから出てくるキーワードが、私が以前から大事に思っていることと同じものがかなり多かったということです。
とし、例として、上の写真でもとりあげた、「30年後」のパネル作りについて
また、私が最近、関心持っているのは「30年投資」です。30年先というと誰も結果はわからなのですが、、、私は、必ず訪れると信じています。
30年というと一世代ですからね。
遠いようで身近なもの。
と、思っているところ、、、、
昨夜のセッションでは、「30年後の貴方を想像してみて、雑誌の写真などを切り抜いて、その一日をポスターボードに描いてみてください」という作業をしました。最初は、イメージが沸かなかったのですが、作業し始めると結構面白かったです。
とのご感想。他にも、印象に残ったキーワードを多々上げてくださった上で、
まあ、つまり日米の「右脳人間」大会ですね。
(以上、渋澤健のオルタナティブ投資日記より)
ITとか進歩的な話って、勝手に「左脳」的なもののように感じていましたが、こうやって具体的な取り組みを見ていると「右脳人間大会」、頷けます。
続いてカメラマンとして参加されたcamelkondoさんは、リアル空間でweb2.0の世界を体験できた、とその様子を記してらっしゃいます。
会議の進め方も示唆的だった。参加者がそれぞれの専門分野から発表をしつつ(インカムをつけての日英同時通訳/最近こういう会議が増えた)、その合間に小グループに分かれてブレーンストーミング的に「アイデア会議」を行う。まずは「まだ気付かれていない世の中のニーズ」を探り、そこから「コアアイデア」を見つけていく。
でも何しろ、その時のスピード感がすごい。ひとつの話しをしていると、それに対する意見/専門知識があらゆる方面からバンバン集まるという感じでそれを、各グループに入ったファシリテ-ターが「よし!それはすばらしいコアアイデアだ!」とか言いながら、さらに盛り上げていく。先日読んだばかりのアイデア会議と同じ。とても生産的、刺激的。このあたりは僕らも広告でいつもやっていることに近い。チームで行うクリエイティブな会議のやり方はどうやら業界を越えるらしい。
(TRAVEL HETEROPIA-広告とアートの間でより)
まさに、ソースをオープンにすれば、そこにいろんな知識が集まってどんどん良いもの、新しいものが生まれていく、というWEB2.0の世界観そのものですね。
続いてシンポジウム。こちらは反応がたくさんあってなかなかご紹介しきれないのですが、yymachidaさんやsocialcompanyさん、にゃむさんほかたくさんの方々が、臨場感あふれるリポートを書いてくださっています。ありがとうございます!
ちなみにこのシンポジウム、実はサンフランシスコのスタジオとも中継でつながっていました。時空を超えた共同作業、ほんとにおもしろいですね。
<スクリーンの両端に映っているのがサンフランシスコのスタジオの様子です>
次回はみなさんが強い印象を受けた"JOY FACTOR"についてお届けします o(^^o)(o^^)oワクワク
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*1:今年、設立100周年を迎えるニューヨーク・ジャパンソサエティ(日米協会)の記念事業です。市民活動家や社会企業家、NGO関係者、アーティストなど、既成の枠に囚われずに、独創的な信念に基づいて日本とアメリカで活躍している「イノベーター」達のネットワーク化を図り、これからのより良い社会の実現に向けて役立てようという企画です。
*2:お互いの活動内容を紹介したり、アイデアを交換しながら親交を深めていく会合のことです
*3:ちなみに、イノベーター達が作成したパネルは、今後ジャパンソサエティのウェブサイトで公開される予定です。彼らが想像した、30年後はこんな生活がしたい、こんな物があったらいいな、をウェブサイトを通じて発信すると、そのアイデアに共感した人がネット上に集まって、実現に向けて情報交換が始まるかもしれない。そうすると、今夢見ていたことを将来ホントに実現させることができるのではないか、ということを実践しようとしています。(←なんか、小学生とかの頃によく、「校庭にタイムカプセルを埋めて、20年後に見に来よう」みたいなイベントがあったりしましたよね?オレペコは、それに似たわくわく感を感じます。)
*4:この人は、04年フォーチュン誌の「世の中をよくした7名」に選ばれています
*5:要するに「お金が儲かるかどうか」ということ
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