Friday, November 30, 2007

 「をちこち」フランス特集号いよいよ明日発売!






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こんにちは『をちこち』編集担当の西納です。最近東京はめっきり寒くなってきましたが、皆さんお元気でしょうか。『をちこち』第20号の制作を終えて、ボジョレーヌーヴォーのグラスを傾ける機会も得て、人間的な生活を取り戻した今日この頃、12月1日の発売を前に今号の紹介をさせていただきます。





2008年は日仏交流150周年、また2007年は基金の海外拠点の一つパリ日本文化会館開館10周年です。『をちこち』第20号では、フランスを特集しました。








日本人の多くにとって、フランスは欧州の中でもなんだか親近感を感じる国ではないでしょうか。ファッションやグルメ、旅行など、いろんなメディアで楽しく紹介されることが多いフランス。何をどう取り上げてフランス特集をしようか、編集部でもだいぶ検討しました。その結果、やはり基金らしく(!)今回は「文化」を正面から取り上げることにし、テーマを「フランス 都市の文化力」として特集を組みました。(詳しい目次はこちら





文化大国、という枕詞も似合うフランスですが、文化大国を構成する“文化都市”と言いましょうか、パリのみならず特に地方都市がどのように文化によって活気づいているか、普通の人々の普通の生活にどのように文化が普通にあるのか、といったことを紹介していく特集になっています。





巻頭対談の2名は、最近『世界文学全集』(河出書房新社)の刊行で話題を集めている池澤夏樹さんと、在仏30年を超えフランスの様々な素顔を執筆活動を通じて日本に紹介してくださる飛幡祐規さん。フランスでの日常生活において感じられる文化、社会観・価値観、教育などについて語ります。





その後は、4つの街を取り上げて、様々な文化の在り方をレポートします。歴史遺産と現代芸術が融合するダイナミズムを活かした都市政策を展開するリヨン。経済的に衰退していた街に文化事業によって活気を取り戻したリール。治安の悪い場所の環境を向上させた国立ダンスセンターのあるパリ近郊のパンタン。フェスティバルに活気づく人口5万人の小さな地方都市シャロン・シュル・ソーヌ


それぞれの地域の様子が分かる写真をたくさん盛り込んで、読み応え・見応えのある号となりましたので、是非読んでみてください☆








さて、今号から(10月~)、新たなメンツが『をちこち』編集部に加わりました。せっかくなので、ちょっとここで登場してもらいたいと思います。


『をちこち』第20号の制作、お疲れ様でした。振り返ってみていかがでしたか?



はじめまして。『をちこち』サブ担当の内田です。『をちこち』流の編集スタイルは初めてということで、手探りしながらの作業でした。それだけに、完成本を手にしたときは感激もひとしお、やっぱり「嬉しいなぁ・・・!」という気持ちがこみあげてきましたね。写真の選定や原稿の校正など、すべての工程に関わるので手作り感があるというのでしょうか。編集スタッフはもちろん、色んな方の思い入れのつまった、温かみのある雑誌だと感じました。



特にお気に入りの記事はどれですか?



A:池澤夏樹さんと飛幡祐規さんの巻頭対談は、それぞれユニークな視点を持ち、ほかにも多くの執筆をされているおふたりが、フランスに移住して感じたリアルなフランスの文化を語るという贅沢な内容だと思います。私はこれをきっかけにお二人のほかの著作を読み始めて、さらにディープなお二人の世界にはまりました。『をちこち』の記事を入り口にして、そんな楽しみ方もお薦めですよ。



読者へのメッセージ、ひとこといただけますか?



私自身がまだ一読者の気分で楽しんでいますが・・・、『をちこち』は知的好奇心を十分に満たしてくれる、他にはない切り口が魅力の雑誌です。毎号新しい「発見!」をお届けしますので、どうぞご期待ください。



というわけで、『をちこち』のフランス特集号、どうぞお楽しみに!





Thursday, November 29, 2007

国際展を考える・・・Part2



一昨日、松岡さんから


横浜トリエンナーレ2008公開シンポジウム 「国際展にいま問われているもの」


についての報告がありました。そういえば。偶然みかんも「国際展」についてのシンポジウムに行ってきたのです~。




一昨日まで新宿パークタワーで開催していた「第1回リスボン建築トリエンナーレ帰国展」*1。ご覧になった方はいるかしら??えーっ、リスボン?そんなのあったんだ、という人も多いかもしれません。

Trienal de Arquitectura de Lisboa(Lisbon Architecture Triennale)の公式サイトはこちら。*2





実は、日本での帰国展開催にあたり、3日連続の記念シンポジウムがあったんです。


その初日11/23(祝)に開かれたシンポジウムのテーマが、





「国際展×東京」。




パネリストに五十嵐太郎さん、北川啓介さん、暮沢剛巳さん、寺田真理子さん*3を迎え、司会はシンポ企画者の大西正紀さん。各々の視点から「国際展」をめぐるディスカッションが繰り広げられました。





たとえばトップバッターの北川さんは建築家かつ出展者の立場から、五十嵐さんはコミッショナーとしての立場から発言。リスボン建築トリエンナーレは、今年初めて開かれたトリエンナーレで、全体テーマ「URBAN VOIDS」のもと、地元ポルトガル、オランダ、中国他、12カ国が展示を行いました。




北川さんいわく、日本の展示空間は、会場の中である意味「目立っていた」のだそう。*4





・・・なぜかって??





理由の一つとして複数の作家によって密度の濃いサブカル的な空間が出現していたこと、また展示に携わって作業をする人たちの人数がとにかく多かった!らしいのです。良い意味でのごちゃごちゃ感のある東京風景かもしれません・・・。

資金も限られていた今回のトリエンナーレで力を発揮したのが、大学でも教鞭を執っておられる北川さんのもとの大学院生の皆さん。大勢が動き回ってちゃくちゃくと進められる展示作業は、それ自体が日本のキャラクターを象徴しているようでもあった、とのコメントには、なんとなくうなずけるような気がしました。*5








美術評論を専門とする暮沢さんからは、なぜ今「建築」のビエンナーレ、トリエンナーレが世界で広まりつつあるのか?ということについてのコメント。美術展では、例えば絵画作品そのものがプレゼンテーションされるのに対して、建築展では、建築そのものが展示できるというわけではない―つまり模型であったり、写真や図面であったり、建物そのものでないというある種の制限が避けられないわけですが「国際展」という形態は、その制限を緩めることができるのでは、ということでした。


というのも、ヴェネチアに代表される国際展は都市そのものを舞台に、街の通りで、市民の間で、流動的に展開していくものだからです。都市計画や町おこしと密接につながった「国際展」だからこそ、建築の展示のあり方にも可能性を開いてくれる。この意見はパネリスト間でも共有されていた様子です。





まだ第1回が開かれたばかりのリスボンですが、今後の展開が楽しみです。みかんもいつか見に行ってみたいなぁと。


はるか西の果てで見る東の日本像ってどんな感じなのでしょう?それだけでもわくわくします。





それにしても、日本の建築界、なんだかんだいって盛り上がっている印象を受けました。


21世紀の「国際展」はまだ始まったばかり。ジャパンファウンデーションも、日本で、海外で、国際展を通じた文化交流の可能性を皆さんと一緒に探っていけたらと思います。


ではでは、今日はこのへんで!




*1:ジャパンファウンデーションではポルトガルでの展示を助成しました。


*2:ポルトガル南部のリスボンで、5月31日から7月31日にかけて行われた国際建築展。会場はアルヴァロ・シザ(Álvaro Siza Vieira)によるパビリオン。もともとは1998年のポルトガル万博のために設計されたもの。シザの空間で展示できる、ということ自体が、関係者にとっては同展の大きな魅力になっていたのだとか。たかがハコ、されどハコ。


*3:オランダ建築博物館勤務を経てキュレータとして活躍中の寺田さん。Y-GSAという横浜国立大学大学院建築都市スクールの取り組みを紹介しておられました。創造都市として知られる横浜を舞台として、ここにもまた行政と研究機関と建築家がコミュニケーションをとりながら新しい動きが生まれているようです。クリエイティブシティ論についてはJF発行の「アート戦略都市」もご覧下さいませ。


*4:展示会場の様子はこちらのサイトでも紹介されています。


*5:ビジネスのスタイルにお国柄があるように、展示や、おそらく建築の完成していくプロセスひとつとっても、国によってさまざまなのでしょうね。今年度に開かれる某展覧会では、1月の開催だというのにまだオープンの日程が決まっていない!という例もあるようで、こんなことも日本だったらなかなかありえないお話です(^-^;





Wednesday, November 28, 2007

 晩秋の北浦和より♪



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こんにちは、NCニコです。秋・・・というかもはや冬ですね。日本語国際センターNihongo Kokusai Center)の中庭もご覧のとおりきれいに色づいていて、本当にいい季節を迎えたなと思います。中庭には小ぶりな日本庭園があって、大きな鯉が泳いでいます。


o@(^-^)@o。





f:id:japanfoundation:20071127120217j:image:right:w250日本庭園のとなりには而学堂(じがくどう)という名前の日本式家屋があり、海外の日本語教師の方々の研修プログラムの中で、生け花や書道、茶道、着物の着付けなどのデモンストレーションを行っています。また、庭にはテニスコートとバレーボールコートがあり、研修の合間に疲れた心身をリフレッシュできるようになっています。





f:id:japanfoundation:20071108151222j:image:left:w250←ときにはこんな風に中庭で授業が行われていることもあります。まさに秋の日の青空教室、です。NCニコの座っている執務スペースからちょうど見えたので「あら、ステキ☆」と思い、窓越しについシャッターきってしまいました


ヾ(⌒ー⌒)ノ





あああ





f:id:japanfoundation:20071127155851j:image:left:w250この秋冬、NCでホットな話題はずばり、ラジオ体操です。長いものだと半年を超える研修期間中に、研修参加者の方々が体調を崩すことも結構あるのです。勉強詰めの毎日を送っているとどうしても運動不足になりがち、というのは個人的にも覚えがあります。そんな中で、NCの竹田研修事業課長と岩田専任講師の発案で、少し前から「授業のあとのラジオ体操」が定期的に行われるようになりました。








↓↓↓こんなポスターをあちこちに貼って参加を呼びかけたりもしています。考えてみればラジオ体操って、日本で義務教育を受けた人ならきっと誰でもできる体操ですよね。私の友達で、日本語ぺらぺらで日本文化に造詣の深い外国の人たちに「ラジオ体操できる?」と聞いてみたところ、「できない」という声が大半でした。そういう意味では、海外各国で日本語を教えている教師である研修参加者の皆さんにラジオ体操を覚える機会をもっていただくことは、健康増進という目的以外にも、意味の大きなことかもしれません。


あああああああああf:id:japanfoundation:20071127174553j:image:h250


・・・ラジオ体操によく参加している研修生に感想を聞いてみました。




NCニコ:ラジオ体操はどうですか?あなたの国にも似たような体操がありますか?


研修参加者A:インドネシアにも似たような体操があります。インドネシアのものは音楽がもっと楽しい感じで、ぴょんぴょん跳ねる動きが多いです。でも、日本のラジオ体操も楽しいです。(長期研修)


研修参加者B:フィリピンにはこういう体操はありません。ラジオ体操は初めは順番が全然覚えられなくてわけが分からなくなってしまったりしましたが、気分転換になるのでいつも参加しています。(長期研修)


岩田専任講師:はじめてみたら研修参加者のみんなに大好評で、ひくにひけなくなってしまいました(-ω-;) 休日返上で毎日ラジオ体操ですよー。NCニコさん、写真ばかり撮ってないでもっと体操にも参加してもらいたいですね~!



岩田先生、スイマセン。ポスターづくり(色塗りしました、、、)で、すっかりラジオ体操に貢献したつもりになっていました


m(*TT*)m





ところで、NCには日々、外部の日本語教育関係者、日本研究者等のお客様がかなりたくさんいらっしゃいます。11月はGCC諸国(クウェート、オマーン、UAE、バーレーン)の教員の方々(外務省による招へい)、北米・南米各国の日本研究司書の方々(ジャパンファウンデーションのグループ招へい)、さいたま市日本語教育ボランティアの方々等がいらっしゃいました。





今月の最後のお客様は11月27日にいらっしゃった、カーティン工科大学 Curtin University of Technology(オーストラリア)のジネット・ハケット学長(Prof.Jeanette Hacket)でした。ジャパンファウンデーションの文化人招へいプログラムで来日したハケット学長は11月25日から約2週間の日程で東京、神戸、京都等をまわり、日本国内の大学関係者との懇談等を行います。





当センター副所長から業務内容をご説明させていただいた後、センター施設全体を見ていただくため館内をご案内しました。ハケット学長は



『本当によく整備された施設で、海外から来る日本語教師の人々が勉強するために非常によい環境が整えられている。すばらしい!』



と絶賛してくださいました(o^∇^o)。今回、初めての来日だそうですが、到着されてから数日見た東京の様子を



『街並みの随所にやわらかさ(=softness)を感じる』


とおっしゃっていました。カーティン工科大学(オーストラリア西部の街、パースPerthにあります)には日本語を勉強している学生が約300人いるそうです。さすがオーストラリア*1、日本語学習者がたくさんいるのですね。





f:id:japanfoundation:20071127105259j:image:right:h250ご訪問いただいた記念に、紅葉をバックにスナップを撮らせていただきました。ハケット学長、どうもありがとうございました♪




後になりますが、NCのウェブサイトをリニューアルしましたので、ぜひこちらをご覧いただきたいと思います。これまで何度かご紹介したDVD教材『エリンが挑戦! にほんごできます。』に登場するCGキャラクター「ホニゴン*2」を、思い切ってトップページに掲載しました。皆さんにこれまで以上に親しんでいただける情報発信を目指して、今後も内容の充実に努めていきたいと思います。


それではまた、北浦和からお届けします☆




*1国際交流基金の2006年海外日本語教育機関調査によると、オーストラリアは世界で3番目に日本語学習者が多く、36万人以上の人々が日本語を勉強しています。


*2:オレペコより:浦和のトップページにいる、黄色いキャラクターのことです。ちなみに!!!オレペコも今気づいて確認したのですが、このホニゴンって、日本語(ニホンゴ)の先生だからホニゴンというらしい( ̄▽ ̄;)タラリ・・・まるで、DENIM(デニム)→EDWIN(エドウィン)のようですな・・・