Tuesday, October 25, 2005

「相対化されるアメリカ ~講演会より~」



こんにちは、後藤愛です☆ミ


松岡くんは先週土曜からウィーン出張ということで、木・金はたまっている仕事を死ぬ気で片付けてました。無事に旅立ててよかった!!

さて、私はというと、先週金曜は、日帰りで京都に行き、「立命館京都アメリカ研究夏期セミナー10周年記念講演会・シンポジウム」を傍聴してきました。*1そこでのハーバード大学入江昭教授の基調講演が大変興味深かったので、少しだけですがここで紹介したいと思います。





少しでもアメリカ研究や歴史研究に携わった人にはすでに大変なじみの方と思いますが、入江先生は日本の高校を卒業後、アメリカに渡り、1961年にハーバード大学にて歴史学博士号を取得され、以後シカゴ大学歴史学部で長年教鞭を取られたあと、1989年からはハーバード大学歴史学部教授。今は立命館大学の客員教授でもいらっしゃいます。

入江先生は「トランスナショナル・アメリカ」というタイトルで、「トランスナショナル」*2を、これからのアメリカを読み解くひとつのキーワードに挙げられました。グローバリズムとの理論的対比もあったのですが、特に印象深かった点を紹介します。





アメリカにおける「アメリカ史」は、特にヨーロッパとの対比において、伝統的に例外主義(Exceptionalism)と、勝利主義(Triumphalism)に特徴付けられると言われます。つまり、他国は皆失敗してしまったことを、アメリカは「例外的に」達成した、という考え方です。例えば自由の獲得、民主主義の徹底などが「勝利」として説明されます。

この伝統に対し、現在、アメリカの歴史を世界史の中で相対化する動きがあるそうです。例えば、2006年度のアメリカ全土の大学においては、アメリカにおける黒人の闘争史、ジェンダー史、移民受入の歴史などアメリカ史そのものを扱う講義と比べ、「世界の中のアメリカ」という相対的史観を扱う授業への教員募集が増えているといい*3、入江氏はこれを「革命的」と表現します。さらに、アメリカの出版社からも「グローバル化とアメリカ」「トランスナショナルなアメリカ」などといった企画が既に複数立ち上がっており、3,4年後にはこれら企画の成果として、こういった図書が店頭に並ぶことになりそうとのことです。「世界の中での自国の位置を考える」、というスタンスは、日本人にとっては取り立てて書くほどのこともない、言ってみれば当然のことという感じもしますが、アメリカにとっては大変大きなトレンドの変革だそうです。


留学や仕事を通じた交流の機会も増え、日本でも独自の「アメリカ論」をお持ちの方も多いと思いますが、今回入江先生のお話にあったような「アメリカ国内での『アメリカ論』」は、日本にいる私たちにはなかなか届かないのではないでしょうか。皆さんの「アメリカ論」再考の刺激になれば、幸いです!





PS 入江先生には、輝かしい研究業績もさることながら、アメリカという地で、今日のイチローや松井のように、自分の能力を発揮し活躍してこられた姿は、本当にすばらしいと思いました。まだまだ未熟な私が入江先生を目指すのはなんとも気が引けることではあるのですが、それでも、「私もこれから頑張るぞぉ!」と、勇気をもらってしまいました!!




*1:事業に関する調査の一環でした。こういう知的好奇心を刺激される機会があることが、この仕事の魅力だなぁ、、、としみじみ。


*2:国家を超える、という意味での『超』国家主義


*3:多文化主義からの要請を受け、過去10数年の間に、歴史の講座はマイノリティの歴史を積極的に取り上げてきてはいますが、あくまでも「アメリカ内」の歴史であったと言えるでしょう





名刺がリニューアル!「地球を、開けよう。」バージョンになりました



松岡です。*1


実はこのたび、ジャパンファウンデーションの国内機関に勤める職員の名刺がリニューアルされました。今までの名刺は真中に大きなロゴマークが入っていたのですが、今回はロゴマークは右肩に収めて表面は通常どおりの名刺にし、裏面に4パターンのイラストを入れました。ここでは蝶のシンボルマークをイラストとして取り入れて、わたしたちのスローガン「地球を、開けよう。」に込められたイメージをデザインしました。


f:id:japanfoundation:20051021225857j:image f:id:japanfoundation:20051021230024j:image f:id:japanfoundation:20051021230107j:image f:id:japanfoundation:20051021230152j:image


(左上からA、B、C、D)





僕の知っている範囲では圧倒的にCが人気あります。何となくこれで性格診断が出来そうですよね。


ちなみに僕はAです(実は一番人気が無い・・・)


皆さんはどれがお好みでしょうか?




*1:ウィーン出発前に書いていきました。





Saturday, October 22, 2005

【イベントのお知らせ】若手職員が語るアジアの魅力



どうも松岡です(久しぶりに出てきて連続登場)。やはりどうしてもこのブログを書いている人間が固定気味だと、書く内容や分野もなんとなく固定化してきますねー。


一つご案内を。


10月29日と30日にパシフィコ横浜で開催される「横浜国際フェスタ」(http://www.festanet.org/)で、ジャパンファウンデーションの若手職員がアジア・ポップ・カルチャーの魅力について語るイベントを企画しています(詳細は以下のとおりです)。もちろん、ぼくも行きます(裏方やってます)。


当日はこのイベントの他にも、2日間にわたってジャパンファウンデーションのブースも出展します。そちらでは、CS放送「LaLaTV」で10月中に放映される「東ティモール交流記~劇団風の子がいく~」を、会場で特別放映します。この番組は、ジャパンファウンデーションが昨年東ティモールに派遣した「劇団風の子」の公演映像を元に制作したものです(LaLaTVでの放映予定日については、<http://www.lala.tv/>をご覧下さい)。





日本ではなかなか紹介されない、アジアの今を知ることができる楽しい機会です。皆様周りの方もお誘いの上、ぜひお越しください。





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◆日時


10/30(日) 13:30-17:00(予定)


◆場所


パシフィコ横浜(2F)・ハーバーラウンジB


http://www.pacifico.co.jp/


◆入場料


無料


◆プログラム(予定)


第一部:「地球で最後のふたり」映画上映


http://www.klockworx.com/chikyu/


監督=ペンエーグ・ラッタナルアーン(タイ)、撮影=クリストファー・ドイル(オーストラリア/香港)、主演=浅野忠信(日本)。


世界各国の映画祭で出会い、お互いの魅力に惹かれて実現した夢のアジアン・コラボーレーシン。浅野忠信さん(なんと、ジャパンファウンデーションのバンコク事務所駐在員という役柄!)は本作で、ベネチア国際映画祭主演男優賞(コントロコレンテ部門)を受賞。アジアの才能が結集し、独特の映像美でタイを活写した本作は、今のタイを知るうえでも、国際文化交流のあり方を知るうえでも、とても楽しめる作品です。皆様、ぜひ、ご鑑賞ください(2004年、日本公開作品)。


第二部:「アジアの現在(いま)を旅するシンポジウム」


~ジャパンファウンデーション若手職員と語るアジア・ポップ・カルチャーの魅力~


ニューデリーで、バンコクで、上海で、アジアを代表する各都市で現地のポップカルチャーと深く接してきたジャパンファウンデーション職員。そんな彼らが、各地の熱い息吹を、CD、ビデオ映像等を交えて楽しく紹介いたします。




  • パネラー:佐藤幸治(元ニューデリー事務所駐在員)


      野口裕子(元在上海日本国総領事館副領事)


      吉岡憲彦(元バンコク日本文化センター駐在員)




  • 司会  :伊藤実佐子(情報センター部長)


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当日は他にもジャパンファウンデーション職員や、活発な活動をしている学生などいろんな方がたくさん来ますので、ぜひ情報交換の場に活用してください。会場ではもしかしたら、なにか飲み物等出るかも・・・。お楽しみに!!