Tuesday, September 30, 2008

横浜トリエンナーレに行ってきました!!






こんにちは、みかんです。秋晴れの土曜日、ついに行ってきました!横浜トリエンナーレ2008。


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上の写真、いつもの赤レンガにあの緑が!ワールドポーターズのそばを歩いていたら、通りに緑の旗がそよそよと!そう、横浜の町全体でトリエンナーレが始まっています。もう足を運んでくださった方もいらっしゃいますか? 水沢勉総合ディレクター、キュレーターはもちろん、ボランティアの方々、当ブログの初代チームの一人である松岡さんはじめト


リエンナーレ事務局のスタッフの奮闘により無事オープニングを迎えました。








アーティストのパフォーマンスにはあっという間の人だかり。→f:id:japanfoundation:20080929181806j:image:right





偶然にもメイン会場の一つ、日本郵船の海岸通倉庫(BankART Studio NYK)にて、田中泯さんのパフォーマンスが行われていました。通常は何気ない「小屋」が海沿いにあり、中がアーカイヴスペースのようになっています。





どこからともなく現れた裸足の田中さん、手にヤカンを持って登場。晴れた日だったので、乾いたコンクリートのキャンバスに、水で文字を書くパフォーマンスを行いました。書かれた文字は・・・「風」。ん、当日雨が降っていたら?パフォーマンスも違っていたんだろうなぁ。一回限りの、偶然その場に集った人がドキドキする空気。これはその場にいないとなかなかわからないです!




個人的な感想になってしまいますが、印象深かった作品をいくつか。勅使河原三郎さんの《時間の破片 - Fragments of Time》や中西夏之さん*1 新港ピアのミケランジェロ・ピストレット / Michelangelo Pistoletto (イタリア)《17マイナス1》。その他、今回横トリのポスターにも使われたペーター・フィッシュリ & ダヴィッド・ヴァイス / Peter Fischli & David Weiss (スイス)の《Parts of a Film with a Rat and a Bear》は、会場で、映像インスタレーションと実際のぬいぐるみのネズミ&熊さんにご対面できちゃいます。皆さん、見てのお楽しみ♪








今回のトリエンナーレの特徴でもあるのが、数々の会場で繰り広げられるパフォーマンスなんです。皆さん、ぜひこちらのイベント情報をチェックしてから、会場へいらしてください。その他、会場のチケットブースでも、詳細のイベントプログラム冊子をお渡ししています。お子さんを連れて参加できる「ひよこトーク」や建築家・西沢立衛さんのトークも予定されています。





本当はメインの3会場(新港ピア、赤レンガ、NYK)だけでもご覧いただくにはたっぷり1日かけたいところ。


ですが、ご心配なく!チケットは会期中二日間有効となっています。





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さらに会期中には、インフォメーションセンターであるイエノイエ(写真は夜の様子。平田晃久さんの設計)、黄金町バザールBankART Life2など、多彩なイベントが開かれていますので、こちらもお見逃しなく。


トリエンナーレの感想など、皆さんからのトラックバックもお待ちしています☆




*1:《着陸と着水―XII YOKOHAMA 絵画列による》は以前松涛美術館で展示されたときとはまた印象が違ってBankARTで独特の空間を作っていました。





Monday, September 29, 2008

めかぶ?






今日はまず雑談を2つばかり。





日常、なかなか語学を勉強する時間がとれないとき


僕は柴田元幸編・訳『ナイン・インタビューズ』

を繰り返し聴いています*1







このなかで何度か登場する単語に





machabre





というものがあります。もともとフランス語から入って


来た言葉らしく、「気味の悪い」「ぞっとする」くらいの


意味。「マカーブ」と発音するみたいです。





くだらないんですが僕はこの単語を耳にするたびに


めかぶ」という食べ物を思い浮かべていました。


だじゃれです。すみません。





所変わって、先日。


いつも行くお蕎麦屋さんで「冷やしめかぶそば」なる


メニューを発見しました。はす向かいのお客さんが


注文していたんです。





そのとき突然、「めかぶ」ってどんなものだっけ?という疑問が


頭に浮かびました。「めかぶ」という言葉は知っている。


見たこともある。食べたこともある(はず)。なのに、


イメージが浮かばないんです。「冷やしめかぶそば」は


一押しメニューらしくお店の壁にはポスターまで貼ってあるんですが、


はっきりとは写っておらず、茶色い(黒い?)かたまりにしか見えない。


普段から「machabre」と「めかぶ」が結びついていて


何度も頭の中に登場していたことばなのにイメージが浮かばないんです。





単なるど忘れとも違う。こうして書いてみると、


つまらないことに呻吟しているものだと呆れますが、


食事を終えたあとも考え続けてしまいました。





どうしてこんなことを書いているかと言いますと、


日常の中で何気なく通り過ぎていることが実に多いなぁという思いが


最近強くなっていていたからなんです。





例えば、食事の数時間前に読んでいた『群像』(2008年10月号)


高橋源一郎と町田康の対談にこんなくだりがありました。


これを読んで皆さん、どう思いますか?






高橋:よく考えると、ふだん我々は生きているとき、集中してはいませんね。


町田:思い切り気が散っています(笑)。


高橋:自分ではいつも真剣に生きているような気がしているけれども、


   実はほとんど何も考えないでぼーっとしている。


町田:ええ。ほとんどはノイズとして捨てていますから。


(中略)


高橋:小説は何のために存在するのか、という問いにはいろんな答え方ができる


   と思うんですけれども、「緊張感を持って現実を見てもらうため」という


   言い方が一番しっくりするような気がします。…


(「次なる宿屋」をめざして、『群像』2008年10月号、講談社p.93)





高橋さんは「小説の存在意義」(芸術の存在意義*2)を


「緊張感を持って現実を見てもらう」ことだと言います。


これは裏を返せば、普通の人は日常のなかで周囲の現実を仔細に見、

深く考えることが如何に難しいかということを示唆しています*3


僕はこれがすごく恐いことだと思うのです。





「めかぶ」くらいのことなら、別に支障はありませんが、

たとえば括弧に入るのがユダヤ人*4なら、イスラーム*5だったらどうでしょうか?


「ユダヤ人」や「イスラーム」のことをちゃんとイメージできない、


あるいはイメージできないことを意識しないまま勝手な放言をすることってありませんか?


開き直るわけではありませんが、僕は身に覚えがあります。





村上春樹さんの小説『海辺のカフカ』のなかで、性同一性障害を抱え、


医学的には女性でありながらゲイである大島さんのせりふに、





すべては想像力の問題だ」「ぼくが最も恐れるのは『うつろな人々』だ





というものがあったことを強く覚えています。


このことが僕のなかでジャパンファウンデーションでの仕事とどう繋がっていくのか、


まだ具体的にはイメージできていなのですが、根底の部分で重要になってくるのでは


ないかと思い書き留めた次第です。




*1:今年度のジャパンファウンデーション文化人招へい事業では『僕はマゼランと旅した』『シカゴ育ち』でお馴染み、スチュアート・ダイベックさんが来日される予定です。


*2:例:現在開催中の「横浜トリエンナーレ2008」総合ディレクター、水沢勉氏が語る全体テーマとは…


*3:例:今週発売の『週刊現代』のなかの高橋さんのコラム『おじさんは白馬に乗って』で紹介されている真木蔵人さんが異彩を放っているのはそのためだと思われます。


*4:例:内田樹『私家版 ユダヤ文化論』(文芸春秋、2006年)


*5:例:小川忠『テロと救済の原理主義』(新潮選書、2007年)





Friday, September 26, 2008

【緊急告知】マルコ・ミュラー ヴェネチア国際映画祭ディレクター来日!






こんにちは。恵夢です。




来週10月1日、国際交流基金あげてのビッグイベント*1のひとつ、


国際交流基金賞授賞式が行われます。国際交流基金賞は


ジャパンファウンデーションが設立された翌年1973年から毎年、


国際文化交流により国際友好親善・国際相互理解に大きく貢献した方の中から、


外部有識者による選考委員会によって選考された方へ授賞しています。


36回目の今年は「文化芸術交流部門」「日本語部門」「日本研究部門」の


各部門1名の受賞者が選ばれました。各受賞者のプロフィールなどについては


こちらをご覧ください!





さて、文化芸術交流部門受賞者はヴェネチア国際映画祭ディレクターの


マルコ・ミュラーさん。





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この方は日本映画を高く評価されており、以前ディレクターを務めていた


ロカルノ他の映画祭でも他のアジア映画と並んで日本の作品を紹介しています。


欧米以外の作品を積極的に紹介するだけでなく、国際共同製作を促進するための


基金の設立にも尽力するなど、本当にいろいろな活躍をしていらっしゃいます。


ヴェネチア国際映画祭には今年は宮崎駿監督の「崖の上のポニョ」、


押井守監督スカイ・クロラ」、北野武監督アキレスと亀」が出品されましたね。


マルチな才能、エネルギッシュな活動、何ヶ国語も操れる方ということで


(もともと東洋学と民族音楽学、民族映像学なども研究されたご経験をお持ちで、


中国で研究活動されたこともあるというマルチぶり)、お目にかかれるのを

とても楽しみにしている私たち担当者*2


授賞式は招待者ベースなのですが、受賞記念講演会があり、


どなたでも参加できますので映画に関心のある人、


イタリア語が聞きたい人(同時通訳あり)、是非是非どうぞ!!





日時は10月2日(木)14時から、


場所は東京・九段下のイタリア文化会館


テーマは「日本映画と私」です。


講演会の詳細などはこちらで今すぐチェック!


メールかFAXでのお申込が必要です。





当日の司会は、東京国際映画祭コンペティション部門 プログラミング・ディレクターの


矢田部吉彦さんに引き受けていただきました!!


講演会の後には、おいしいコーヒーの出る(はず)懇親会もあります。


是非ご参加くださいね!!




*1:当日は担当部署の情報センターだけでなく、他の部署から主に若手職員が総動員で受付や会場係もやります。今年は横浜トリエンナーレのオープニングイベントもそうだったし、国際交流基金ってこういうところは結構手作りだなあと思います。こういう肉体労働はときどきあるんですが、他の団体ではどうやっているんだろうと思うことも…。ホテルの宴会場でやる授賞式ですが、司会も情報センター部長が務めているんですよ…


*2:裏話:とにかくお忙しい方なので、事前の連絡がつかず、実はもう明日!!来日されるのですが、日程がちゃんと決まってない……でも授賞を喜んでいただけてよかったです。