Wednesday, November 29, 2006

サイエンスアゴラ2006に行ってきました。






以前告知していたとおり

11月26日(日)に、お台場で行われたサイエンスアゴラ2006*1新旧ブログチームが参加しました!


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数あるプログラムの中で、一際異彩を放つid:argさん主催のワークショップ「研究のより良いウェブ情報発信に向けて」において、(手前味噌ですが)ウェブの特性を活かし、既存の資源を利用した(今のところ)成功しているケースとして基金ブログチームの取り組みを報告させていただいたのです。





三富(以下、三):当日現地に赴いたのは第1期ブログチームメンバーの中島さん、新チームからは三富と潮風。もともとARGさんがJFに訪問された時にお誘いいただいたお話。「サイエンス?」「アゴラ?」と訳もわからぬまま、「ちょっと面白そうだなぁ」と安易に参加を承諾したものの、まだ新ブログチームがスタートして1ヵ月。何を喋ったらいいのか、当日ワークショップ開始1時間くらい前まで、半狂乱で会場付近の某ファーストフード店で打ち合わせしてましたよねぇ。




潮風(以下、潮):そうそう。私も自己最高のサイエンス知識「木星の月の数は6つ」さえ、大間違い*2というほどの科学技術には疎い身。2時間前に会場に乗り込み、場の雰囲気に慣れようとしたら、見事逆に2人して飲み込まれちゃいました。





三:本番では、まず最初にARGさんがウェブ発信について、3段階(開始・運用・終了)に分けた各サイクルについて、具体的な事例を交えつつお話された後、JFブログチームに任された時間は30分。そのうちの大半を一人で喋り倒したのは中島さんで、新チームメンバーは後半の3分弱で現状についてのタドタドしい説明のみ。私にいたっては、震える小声で自己紹介だけの、ワークショップ中、総発語数十数語という大変お粗末な姿を曝してしまったのでした・・・公式デビュー戦いきなりの黒星スタートです。



潮:私も三富さんからマイクを受け取った後の記憶がほとんどぶっとんでます。まぁでもなんとか、JFのブログのここまでの道のりと目指すものを伝えようとしました。


また、発表後の意見交換の場では、参加者の方々からいただいた意見で、ブログを運営していく上での新たな課題が見えたり、また自分達が認識していなかったJFブログの特徴の発見もありました。


例えば、新チームとして取り組むべき課題の1つとしてアクセス数の増加をあげていたのですが、それに対して参加者の方から



情報発信のツールを評価することは大事であり、また難しい。アクセス数という数字だけではその価値が正確に映し出されているのだろうか。単純に数字を伸ばすだけでは、記事の質がはかれないのでは?




アクセス数の中に検索してたまたま見ている人、繰り返し見てくれている人がいるのではないか?




記事への関心として、TBやコメントを参照できるのではないか



などの意見をいただきました。


確かに、たまたまこのブログを発見してくださった人が「面白い」と感じてくれることが一番大事ですよね。数字をあげるために内容を充実させるのでなく、内容が充実したら数字が上がる、、課題解決だけを目指すとこんな根本的な認識すらずれる可能性がある、、と気づきました。まだまだ未熟者です。





三:本当に。今までは単純なアクセス数の増減に一喜一憂していましたが、まずは読者の皆さんが興味を持って読んでくださるブログ作りに専心しなくてはいけませんね。


その他にも、



担当者交代に際して、運用マニュアルなどは用意されているのか?



といったご質問もいただきましたが、実は「運用マニュアル(部外秘)」的なものは全くなく、引き継ぎに際して、一度新旧メンバー+情報センター部長・次長が集まった際に、ブログ設立の経緯や基金ブログのコンセプトなどについてのブリーフィングを受けただけ。それで、後はご自由に☆というのが基金ブログチームのやり方なのです。

マニュアル云々というよりも、むしろ「地球を、開けよう」というブログのコンセプトや、“若手職員の目線で、基金事業の魅力を、延いては国際文化交流の魅力をわかりやすく伝えていく”というビジョンをしっかりと受け継ぐことが大切なんでしょうね。*3


そして、トラックバックを通じたウェブ上のコミュニケーションも確かに重要ですが、こうやってface to faceで、基金ブログの読者やまた基金ブログを知らない人々と話をする機会を持つことの重要さや面白さにも改めて気づかされました。生来インドア派の私ですが、もう少し積極的に外に出て行こうかなぁ、なんて・・・





潮:そう。そして予想以上に私たちの取り組みに注目してくださっている方がいることを知って、これからブログを続けていく上での大きな自信にもなりました!





三:ワークショップ冒頭で、ARGさんに「独立行政法人としてありえない、感動的なブログ!」とご紹介いただいて、正直照れちゃいました。また、第1期の先輩たちが創り上げたブログの火を途絶えさせてはならない、というプレッシャーも感じますね。




潮:まさに。今回のような機会を与えてくださった上、誉めていただいて…。嬉しいと同時に、2期目として奮い立ちます。ぶっちゃけ、ブログチームに志願したときはそんな特異&注目されている事業だなんて思っていなかったわけですが、私たちが伝えたい文化交流の魅力以外に、このブログを通じて「一見分かりにくい事業やお堅い組織」*4を素直に伝えることができるのであらば、全力でがんばるしかない!!と。





三:私もこれから、ガツガツ国際文化交流の魅力・JFの魅力を発信していきたいと思います。





潮&三:みなさん、今後の新ブログチームに、ご期待くださーい

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*1:11月25日(土)~27日(月)まで、お台場で行われていた独立行政法人科学技術振興機構主催のサイエンスコミュニケーションのイベント。およそ10の会場で、「“米村でんじろうサイエンスプロダクション”によるサイエンスショーとSqueakコンテスト」や「SFによる科学コミュニケーション―『日本沈没』を題材に」といったシンポジウムや講演会、ワークショップや映像体験までさまざまな催しが行われていました。ちなみに、サイエンスコミュニケーションとは、科学のおもしろさや、科学技術をめぐる課題について、多くの人々に伝え、共に考え、人々の意識を高めるような活動の全て総称のこと。


*2:本当は木星の衛星の数は63だそうな。当日三富さんに自慢してたのに、全然違う


*3:会場でのARGさんの発言の受け売りですが、身に染みました。


*4:自らこの表現もナンですが


*5:懇親会で歓談するARGさん、中島職員、三富職員





Tuesday, November 28, 2006

◎インターン生特集◎その14 川口さんの場合 & ”春樹本”への反響その2



みなさんこんにちは、オレペコです(^ー^)ノ☆*.。


今日は海外で活躍するインターンの方からの報告です。今年(2006年)は日豪交流年 なので、現地でも様々なイベントが行われているようです。それでは、どうぞ!






立命館大学院国際関係研究科の川口です。9月22日より11月30日までジャパンファウンデーションシドニーにてインターンシップをさせて頂いております。





まだインターンシップ期間中ではありますが、ブログを書かせて頂きたいと思います。国際交流基金、シドニーでのインターンシップの受け入れをして頂けたことは大変に幸運だったと思います。今年は、日豪友好協力基本条約署名30周年ということもあり、オーストラリアと日本の両国で日豪の相互理解と相互協力を深めるイベントが数多く実施されています。日本の祭りや都市交流、さまざまな展覧会が催されていますが、私が主に携わらせて頂いているのは日本映画祭です。今年で10年目記念ということもあり、19本の日本映画が上映予定です。オープニングフィルムには『ALWAYS三丁目の夕日』、また『下妻物語』や『ジョゼと虎と魚たち』などの新しい作品も多く上映されます。見たいと思っていて見ることができなかった作品も多くあったので、このプロジェクトに参加できたことはとてもうれしいことでした。





映画祭のお仕事というのも、主にはフィルムの手配をメールや電話でやりとり、映画祭の会場のセッティング、映画祭に参加して頂けるボランティアの方々のスケジュールを決めるなどというものになります。ボランティアチーフになるという機会を与えて頂いたので、今は約30人ボランティアの方々の助けをかりながら会場のデコレーション、チラシの配布などのマーケティング、予告編の上映などをしております。地理感覚や英語での仕事に自分の力のなさを痛感する日々ではありますが、できる限りのことはしていきたいと思っております。シドニーにきて2ヶ月弱でチーフになってしまったという話をするとボランティアの方々は、本当に親切にマーケティングに最適の場所や、いつなら人がたくさん集まるか、どこでチラシを配ったら効果的なのか、またシドニーの観光にまで連れていって頂くというお世話になりようです。





オーストラリアという土地柄なのか、ジャパンファウンデーションという場所柄なのか、インドネシアやネパール、もちろん日本やオーストラリアの方々がボランティアには参加して下さっています。街中をみまわしてみても、世界各国からシドニーにきて暮らしているのだなぁと感じることがよくあります。様々な国の人々が混在し、多文化主義の代表ともいわれるオーストラリアで文化交流のお仕事に関わらせて頂いているということもあり、多文化の共生の可能性を考える機会によく出会います。同化主義とは異なる、異文化の共存を実現させるためには、お互いの文化を認め合うこと、文化の多様性の許容が求められるのではないかと思っております。そういった意味で、日本の文化の普及や文化交流を行っているジャパンファウンデーションにいることができる意義をふまえながら、映画祭というひとつの大きなイベントに意味を考えていきたいと思っております。ジャパンファウンデーションのインターンシップに参加させて頂けているというこの貴重な時間を無駄にしないように残りの時間を有意義に使いたいと思っております。



多文化主義に関する考察の部分は、実感のこもったコメントですね!海外事務所で文化交流の仕事に携わる醍醐味を見事に表現してくださっているなーと感じます。インターン期間も残りわずか。更に貴重な経験を重ねられることを祈っています!


********


話は変わりますが、『世界は村上春樹をどう読むか』については、ほんとうにたくさんの反響があるようですのでこちらもちょっとご紹介!まずは真紅さん。せっかくシンポジウムにご応募いただいたのに残念ながら抽選に漏れてしまったそうなのですが、



私は参加は叶わなかったが、こうして一冊の本になった記録を読むだけで、会場の熱い空気が伝わってくるようだった。本来黒子であるはずの翻訳者が一人の作家の吸引力によって一同に会し、自分たちが魅せられたその文学世界を語っているわけだから、村上春樹ファンにとっては面白くないわけがないだろう。翻訳者は、一番熱心に、深く作品を読み込んでいる読者であるはずだから。(中略)彼らの翻訳という作業への情熱と、村上作品への敬意と愛が隅々にまで感じられる。興味のある方には、是非手にとっていただきたいと思う。


真紅のthinking days



と感想を述べてくださっています。また、Smile Seedさんは、



内容は、アカデミックで堅苦しい箇所もありますが、世界各地で発売される春樹作品の「タイトル」や「表紙写真」なども載っており、なかなかおもしろく読めます。


笑顔種


とのこと。そうなんですよ、各国の翻訳本の「表紙」は必ずしも小説の内容からイメージされたものとは限らないのですが、世界の方たちが抱く”日本のイメージ”がわかって面白いです*1


リチャード・パワーズ氏の基調講演に感銘を受けた方もまた、ちらほら。(夜明け前午前5時さん.、Soshuさんsenshin2006さんogawamaさんなどなど)。





いやあ、これだけ反響があるとほんとにうれしくなりますね。ヾ(〃^∇^)ノ♪ まだ読んでいない皆様、いますぐ書店へ(笑)!!!




*1doshinさんも、カバーデザインの面白さにふれてくださっています!





Friday, November 24, 2006

「春樹」への高い関心~みなさんのコメントより~



こんにちは、オレペコです。


世界は村上春樹をどう読むかが出版されてはや1ヵ月以上!たくさんの方がご自身のブログで


感想を書いてくださっていますので、今日はそのいくつかをご紹介したいと思います。





■リチャード・パワーズさん*1の基調講演に感動した声、声、声・・・


春樹作品を「脳の神経細胞の働き」から読み解こうとするリチャード・パワーズ氏の深い深い基調講演に感銘を受けた、との声が多数聞かれます。


たとえば、本郷さんの日記:



わずか27ページの文章に、2時間ぐらいかけて読んでいました。


カフェで読んでいたのですが、息をするのも忘れるぐらい文字の奥へ奥へと入っていくような体験で、ちょっとあたりを見回したりして本から眼を離さないと怖くなるぐらい集中していました。



すごくわかります。とっても深い内容なので、一行一行、意味を確かめながら読まなければなかなか頭にすっとは入ってきませんよね。。。



村上作品を読んだことのある方はよく知っていると思うのですが、彼の小説のなかには、「鏡」「影」「迷宮」「井戸」などの、「あっち側とこっち側」やその境界に関するモチーフが頻出します。僕は村上作品を読んで「ぜんぜん分からないけれど、なぜか深く共感している」という余韻をよく抱きます。その不思議さの秘密をパワーズはその博学で愛情に満ちた語り口で教えてくれて、ああ本当にそうだなあと思い、読みながら、脳の中の神経細胞がぐんぐん繋がっていくのを感じました。


diary/essay その日を摘め



実際会場でパワーズさんの講演をお聞きになっていた金さるさんは次のように書かれています。



ニューロ・サイエンス、脳の10年etc……


講演会ではついていくのが、正直やっと。


あらためて活字で読むと、天才作家が村上作品をどのようにとらえているのか?


なんとなく、わかる気がします。


ノルウェイの森と金の猿~100%村上春樹ヴァージョン~



「できるだけ当日の雰囲気をそのまま記録に残す」というコンセプトで編集した結果、実際シンポジウムに参加された方にも、当日の雰囲気を思い出しながらもう一度読んでいただける、そんな本に仕上がったのことをうれしく思います!ちなみにこの金さるさんは、シンポジウムに参加されたときにも詳細に感想を書いてくださっています。





■「翻訳のおもしろさ」の観点からもたくさんのコメントが、、、


bananafish さんは実は、3月のワークショップに参加した直後に感想を述べてくださっていました






ハンガリーの翻訳者の「翻訳者は犯罪者」とのコメントを受けて、これがワークショップの結論のようなものになったのだけれど、いやまったくその通りかもしれない。



基金職員の中にも、この表現が印象に残った人は多いようです。






結局のところ、個人のストーリーへの解釈によって翻訳もまたちがってくるものなのだ。ということはつまり、翻訳者はじつに責任重大な責務を担っているのではあるまいか。海外文学のニュアンスのひとつをも母国語で伝えなければならないという意味で。


そう考えるとなんだか恐くなりもするが、翻訳する楽しさや喜びの方が困難にまさったりもする。そんな世界各国同業者のアトモスフィアを身近に感じられたワークショップ。「翻訳者というのは基本的に透明であるべき」という柴田氏のコメントが印象深かった。


bananafish@another space



翻訳に携わる方ならではのコメントですね!

このほかにも、「一時期春樹作品に熱中していたけれど今は距離を置いている」方とか、「春樹本は熱狂的には読んでいないけれど、世界で受容されているというこの現象自体には興味がある」方とか、あるいは当日のシンポジウムをお手伝いしてくださったひろこさんとか、本当にいろんな方*2が感想を述べてくださっています。





これでもたくさんのブログ記事の中のほんの一部。。。


今後も機会を見つけてご紹介していければと思います!









最後になりましたが、今回も週末のイベントのご案内です!


11月26日(日)、国際交流基金関西国際センタ^にてふれあい交流祭が実施されます!


当日は当センターをオープンにし、各種日本文化体験・紹介コーナーや、当センター研修生による出身国紹介ブース等が出され、国籍を超えた和気あいあいとした一日となります。お近くにお住まいの方はぜひ足を運んでみてください!





*1:リチャード・パワーズさんは先ごろ、小説The Echo Makerで2006年度のNational Book Awardsを受賞されました!!!


*2ちびえみさん、adawaltさん、sonoさん、mttさん、issatsuさん横浜逍遥亭さん他も感想を述べてくださっています!