Wednesday, August 18, 2010

 舞踏の魅力―フェローセミナーレポート




さん、ふろしきワークショップのレポートありがとうございます!


色鮮やかで可愛いですね。「何かを包む」、そのひと手間が贈り手の気持ちを伝えてくれるのだと思いますが、包み方も工夫すれば、頂いたときのうれしさは倍増です(^^*)





そして、ブログリレーも一周ですか。


私、ニャーハからスタートして→Any(ロシア)→キャシーヌンツィア(ローマ)→mioニャー(ベトナム)→という順番でお送りしてきましたが、それぞれ個性的で面白かったですね。


「地球を、開けよう」ブログ、これからもよろしくお願いいたします。


ということで、今日も東京からのレポートいってみましょうー!


Dear Fuki! It was such a cute Furoshiki workshop. Colorful wrapping with Furoshiki will make people happy and excited reminding its sender’s hospitality. Thank you for the report!


I think our first round of blog relay by variety of authors turned out to be quite successful. Now it’s my turn to write from Tokyo!


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■フェローセミナー「身体論と実践:土方巽の舞踏における「身体」と「肉体」をめぐって」■


Fellow’s Seminar : Body theories and techniques: “Shintai” and “Nikutai” on Hijikata Tatsumi’s Butoh





突然ですが問題です。


次の文章、皆さんならどうやって外国語に翻訳しますか?(ポイントは肉体とからだの訳し方!)






「無数の裂目が埋められた肉体の声は、物質の叫びを改めてハンカチにつつむようなものだ。からだの中の文明ではよくそれが起る。(土方巽著『美貌の青空』より「肉体に眺められた肉体学」から抜粋)






身体、からだ、体、肉体、体躯・・・


英語では全てbodyと訳すことができるこれらの言葉。


日本人は無意識に、でも結構繊細に使い分けている身体の概念を研究しているイタリア人の方がいらっしゃいます。


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カティア・チェントンツェ(Katja CENTONZE)さん、約1年前に来日し、早稲田大学の演劇博物館で舞踏の身体論を研究されている日本研究フェロー*1の一人です。帰国前のお忙しい時間の合間を縫って、国際交流基金で舞踏の身体論に関するセミナーを行って下さいました!


The lady in the picture is Ms. Katja CENTONZE, a researcher from Italy staying in Japan for almost one year as our Japanese Studies fellow. She has been researching on Body theories of Butoh in the Tsubouchi Memorial Theatre Museum, Waseda University. At the end of her fellowship period, she held a small seminar in JFIC and was joined by many audiences interested in the world of Butoh. This is the report of her seminar.





**日本研究フェローシップとは** *1


国際交流基金は、海外での日本に関する研究を支援するために学者や研究者を日本に招へいしていますが、そこで招へいされた人たちをフェローと呼んでいます。(フェローシップは奨学金制度のことですが、他に「仲間」や「分かちあうこと」といった意味もある言葉ですね。)22年度は200名近い日本研究者が世界中から来日し、人文科学分野(文学、歴史など、いわゆる文系全般)の研究を行う予定です。招へい者リストはこちら。研究テーマを眺めるだけでも面白いですよ~。





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大入り満員の会場―スペースけやき。舞踏の映像上映も含めて約1時間半の濃密なレクチャーでした。





冒頭に引用した文章、セミナーでカティアさんが読んで下さったものですが、私は日本語でもすぐ頭に入ってこなくて・・・


あらためて意識すると難しいですね~。


「はい、とても複雑です。でも日本語の身体論、肉体論が、どこまで複雑になることができるか、そこに関心があって研究を始めました。私は、土方のダンスを生で見たことがないので、大体テキストから調べましたが、後は映像を観たり、土方を知っている人や、いろんな人から話を聞きましたね。」


そうか。外国人だからこそ、自分の言語感覚を頼りにせず、客観的な分析を深めていけるのかもしれません。


It is very difficult to explain the difference between "Shintai" and "Nikutai", two different words, both meaning "body" in English, especially in relation to Butoh. What made you choose this theme?


―It is a very complicated idea indeed but that’s what fascinated me. To what extent can the analysis concerning Shintai and Nikutai be deepened? Now I know that it is a never ending research…!





セミナーにはカティアさんのお友達や恩師の方々、舞踊関係者も沢山いらっしゃり、充実した日本滞在を送られたことが伺えました。先日は大野一雄さんの告別式に参列されたとおっしゃっていましたが、他には日本にいる間どんなことが印象に残りましたか?


秋田弁で土方巽の『病める舞姫』を朗読するイベントに出たことは本当に勉強になりました。また今年1月には、「ダンスが見たい!新人シリーズ8」というフェスティバルに審査員の一人として参加しました。日本にいるといろいろな活動のきっかけがあります。そういったイベントを通して知り合った人たちは皆心が広く、仕事だけでない深い付き合いや経験ができたと思っています。今日のセミナーに来て下さったパフォーマーの首くくり拷象さんも私は大ファンだし、また土方巽の写真を撮られた細江英公先生も来てくださり、本当にうれしい。自分は恵まれていると感じます。」


―During my stay in Japan, I was involved in the project of reading Hijikata Tatsumi’s work "Yameru Maihime" in Akita dialect. And also I took part as a member of the jury in the New Figures Festival Die Pratze "Dansu ga mitai!8 (I wanna see Dance! 8)". There was a lot of opportunities in Japan to explore my interests and experiences even beyond my research. I was blessed to make an acquaintance with kind friends through these events.





イタリアにいた頃から、舞踏の公演やワークショップの企画をしていたと聞きますが、舞踏に関心をもつきっかけは何だったのでしょうか。


「14歳の頃だったと思いますが、偶然舞踏の写真をみて、これが本当の舞踊だと感じました。もともと映画やパフォーミング・アーツには関心があったのですが、ヴェネツィア大学で日本語学科に入ったことで、舞踏と再会し、研究テーマとして考えるようになりました。」


「舞踏の影響ってすごいんですよ。舞踏がなかったら今の西洋のダンスはなかったくらい。舞踏が西洋に紹介された70・80年代以降から、西洋のダンスに空間を意識した体の使い方や振付が増えています。舞踏はアンチ・ダンスなどと言われ、20・30分立っているだけの"踊らない踊り"がありますね。体の使い方が大切なのだと思うのですが、表現しないことが表現になっているんです。で、なにもしてないその人を、やっぱり見てしまう。そしてそれから、体から風景が見えてくる。とっても面白いですね。」


―I love performing arts in general and when I started studying Japanese language at University Ca'Foscari, Venezia, I chose Butoh as my theme. Butoh is often mentioned as Anti-Dance. There is a performance in which a performer merely stands still for 20-30minutes. But the body of the performer still captures the attention of the audience and we are somehow forced to see him. It is through his body that we see the senary. Very, very interesting.





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今回、初めて日本語でレクチャーするということで、セミナー前かなり緊張されていましたが、終了後は笑顔で参加者と歓談。あちこちで引っ張りだこ!で、この後の打ち上げも深夜まで盛り上がり、お人柄を感じました。


最後に、今後の予定や希望を教えていただけますか?


「また奨学金などを探して、日本に戻ってきたいです。まだ日本での研究が残っているし、日本にしかない資料や、見たいものや、インタビューしたい人が居ます。


それから日本とイタリアの交流をしたい。舞踏のイベントの企画も。日本とイタリアのダンスは文化的に合うと思うんですよ。ヴェネツィア大学でシンポジウムを行ったときも、出席者がとても喜んでくれたので。」





また日本でお会いできる日も近そうです!


終始とても謙虚で、インタビューにも丁寧に答えてくださったカティアさん。


今回はどうもありがとうございました。今後いっそうのご活躍と、日伊交流の架け橋となってくださることを期待しています。


またお会いできることを一同楽しみにしています!


After the seminar she was surrounded by her friends one after another. It seems that she has spent a fruitful time in Japan and succeeded in her research.


Katja-san, thank you very much for your time!


We wish you all the best in your professional and private life, and we look forward to seeing you again!





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次は、モスクワのAny★


猛暑とスモッグのため、事務所が臨時休館したとか。今はどんな様子でしょう???


よろしくお願いします!


The next author is Any in Moscow! How is the atmosphere in the town?


Deha yoroshiku onegaishimasu!





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