Friday, October 31, 2008

気分は「プラダを着た悪魔」!?フィリピン・ファッションウィーク潜入取材






皆さん、こんにちは。


ご無沙汰している間にフィリピンに赴任しました三富です。





今回は、ちょっと意外なフィリピンの一面をご紹介すべく、10月22日にオープニングを迎えたフィリピン・ファッションウィーク(2009年春夏コレクション)についてお話しします。





「え?途上国のフィリピンに、ファッションウィーク?!」なんて驚く方も多いかもしれませんが、そうなんです。フィリピンにもあるんです!!





f:id:japanfoundation:20081023130918j:image:left このフィリピン・ファッションウィークは、フィリピン最大のファッションイベントとあって、急遽潜入取材をすることとなった私の気分はもう「プラダを着た悪魔」の主人公のよう・・・





と、ちょっぴり浮かれて会場入りしたものの、仕事を終えてからショーに立ち寄ったヨレヨレの私は、着飾ったファッショニスタたちに囲まれて場違いも甚だしく、あまりに煌びやかなその場の雰囲気に気後れしてしまいました( ̄□ ̄;)!! その煌びやかさたるや、もう・・・。私は開場ギリギリまで、設営スタッフを装うか、さもなくばしばらくトイレに隠れていようかと思ったくらいです | |д・) ソォーッ





そんな裏話はさておき、10月22日から18日間パサイ市のSMX Convention Hallで開催さていれるフィリピン・ファッションウィークには、ベテランから若手まで、フィリピン全土のファッションデザイナー100名以上が参加します。オープニングの22日には、フィリピン伝統のテキスタイルを使用した作品群なども紹介されており、フィリピン特有の素材を現代のファッションの中に活用し、その価値を再評価しようという試みも見られました。





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会場となったSMX Convention Hall




私が見たショーは、オープニングの最後を飾るJeffrey Rogador、Jerome Lorico、Ralph Ngの3名の若手のデザイナーによるPremiere Collection Aというもの*1





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実は、この3名のうちのジェロームさんは、2007年に国際交流基金の招きで、第45回全国ファッションデザインコンテスト(杉野学園主催)に参加し、奨励賞を受賞しています。以来、彼は、将来のフィリピンのファッション界を担う若手デザイナーとして、今回のフィリピン・ファッションウィークへの参加など、正にとんとん拍子にキャリアを積んでいます。




ジェロームさんは、日本から帰国後、Manila Bulletin紙のインタビューで、「日本のようなパワーとリソースのある国から学び、それをアジア全体で共有することが大事なんだと思う。各国で不足するリソースや技術などが補完されれば、(既に確立され、多くのアジアのデザイナーが傾倒しがちな欧米ファッション界のゴールや方向性に対して)アジア地域の文化的・経済的事情を上手く反映した固有のゴールや方向性を発展させることができる。」とアジアのファッション界興隆の可能性について話しています*2





フィリピンでは、ファッション業界も含め、才能のあるアーティストの多くが海外に流出するという「頭脳流出」が顕著ですが、今回のショーではジェロームさんのように、フィリピンのみならず、アジア全域のファッション界の将来を見据え、その発展に寄与しようと意気込む若いデザイナーたちの溢れるエネルギーを目の当たりにすることができました。




*1Styleanywhere.wordpress.comにコレクションの作品などが出ています。


*2“Focus: A Japan immersion is an eye-opener for a talented young designer”2007年11月30日付Manila Bulletin紙





Wednesday, October 29, 2008

 JFSCウェブサイトに「出雲-ベツレヘム~音楽の架け橋~」がアップされました!






JFSC(ジャパンファウンデーション・サポーターズクラブ)のウェブサイト


出雲-ベツレヘム~音楽の架け橋~」という記事がアップされました。





これは出雲に住む音楽家とベツレヘムに住む音楽家との交流に関する1つの記録です。


インタビューに応じてくださったのは出雲芸術アカデミーのファゴット奏者、木村恵理さん。





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ベツレヘム音楽アカデミーの学長であるサリーム・ゾグビさんが


ジャパンファウンデーションの「文化人招聘事業」で出雲芸術アカデミーを訪問したことに端を発する


この現在進行形の交流の記録を1人でも多くの方に読んで頂けたらと思っています。





個人と個人が出会い、つながり、関係が継続し、その関係が深まっていく。


その関係が、生きていく上での刺激となり、また同時に自分を暖かく包んでくれる。





この告知を読んでくださった方、ぜひ「出雲-ベツレヘム」をご一読ください!





Monday, October 27, 2008

海外日本語教師長期研修インタビュー~ルーマニアのサンドラ先生~






日本語国際センターのNCニコです。10月2日に国際交流基金賞受賞者アンジェラ・ホンドゥルさん*1が紹介されていましたね。実はNCでは今、ホンドゥル先生のお弟子さんともいうべきルーマニアの日本語教師の方が、教師研修プログラム(長期研修)に参加されています。





サンドラ・ルチア・イストラテさんは、ルーマニアのヒペリオン大学で日本語を教えていて、9月からNCに滞在しています。先日、国際交流基金賞授賞式にご出席のためホンドゥル先生が来日され、授業見学や図書館見学のためNCにいらっしゃった際には、お二人の日本での再会が果たされました。


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サンドラさん、ホンドゥル先生の受賞を知ったとき、ヒペリオン大学では皆さんどんな反応でしたか?






受賞のお知らせがあったときはちょうど夏休み期間で学生は学内にはいなかったのですが、私はすぐに学生にEメールを送って知らせ、みんなで喜びました。



そうですか(^-^)

ヒペリオン大学日本語・日本文学科について、様子を教えてください。*2



教員はホンドゥル先生と私のほか、ルーマニア人の先生1人と日本人のボランティアの方1名で、全部で4名です。大学は3年制になったところですが、今現在、学生は1年生が約30人、2年生が17人、3年生が8人です。人数が学年によって違いますが、日本語は勉強するのが難しく、進学するのも大変だからです。また、去年から修士課程も設置されました。





私は1、2年生の日本語文法の授業のほか、日本文化についてのルーマニア語での講義も担当しています。



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サンドラさん自身が日本語や日本文化について学び、教えるようになったきっかけは?



日本に惹かれるようになったのは、子供の頃、父にいけばなの本を見せてもらってからでした。昔、神経科医だった母の伯父が東京の大学で教えていたことがあるのですが、船で日本からルーマニアに戻ってきたときに絵や本、そのほか日本のいろいろな小物などを持ち帰ってきました。そんなわけで日本の物が私の家にはたくさんあり、両親も私もずっと日本が大好きでした。





高校生の頃から独学で日本語を勉強し始めましたが、当時、国立大学の日本専攻は7年に1度しか入学のチャンスがなく、私は残念ながら入ることができませんでした。いったんはドイツ語専攻として入学しましたが、2年後、私立大学の日本専攻コースに編入したのです。





卒業後、しばらく英語を教えていましたが、日本語を教える仕事がしたくて職探しをしているうち、ホンドゥル先生に出会ったのです。そして4年前にヒペリオン大学に職を得ることができ、初級を教えることから始めました。



ホンドゥル先生とはそんなに深いご縁があったのですね。


もしかして、サンドラさんが今回、長期研修プログラムに参加することになったのも…?



はい、ホンドゥル先生の影響です(笑)。先生にこのプログラムのことを教えてもらって、応募しました。私はもっと学生たちにたくさん日本語で話しかけ、日本の文化について話すことができるようになりたくて、本当にこの研修に参加したかったのです。






ルーマニアでは日本の文化について、どんなことを教えているのですか?






歴史や文学などです。日本の文学作品から簡単なテキストを一部もってきて、授業で学生と読んだりします。ただ、最近の学生たちの興味関心はアニメやマンガに向いていて、ブカレストにあるアニメのクラブにしょっちゅう通い、日本語会話を身に付けている人も多いです。私はアニメのことは詳しくなく、むしろ伝統文化に興味があるのですが…。





大学の授業以外では、私の自宅に学生たちを呼び、ちらし寿司や味噌汁などの日本料理を作ってパーティーをしたりすることもあります。そんなときは学生たちも、とても喜びます。






ルーマニアに「アニメのクラブ」というのがあるんですね。どんな場所なのか、気になります…。サンドラさんご自身は、日本の伝統文化の特にどんな分野が好きですか?



なんでも好きです。歌舞伎、狂言や和太鼓の公演、そして文学も…。昔の日本人の生活や、性格にとても興味があります。たとえば武士の性格、平安時代の女性の性格などです。源氏物語でいうと、紫の上が好きです。源氏物語は学生のとき読みましたが、実は日本語では読んだことがありません。英語でしか読んでいなくて、ごめんなさい、、。



そんな!日本人でもみんなが読んでいるわけではないと思います。むしろ、こちらが恥ずかしくなってしまうくらいです。。


…長期研修プログラムは3月まで。あと5ヶ月ありますね。日本にいる間に達成したい目標はありますか?






この研修で与えてもらえるものは全て私の助けになるものばかりです。とにかく、なんでも吸収したいと思います。日本で勉強ができる嬉しさの反面、教授法の授業などで自分がきちんと対応できるかどうか心配しだすと、いつも夜も眠れないほど緊張してしまいます\(>o<)/





知らない言葉もたくさんあり、授業の課題もたくさんあり、電子辞書で新しい単語を調べるだけでも毎日大変ですが、この研修は私にとって一回きりのチャンスだと思っているので、頑張りたいです。



サンドラさん、授業後の時間を使ってお話を聞かせてくださり、本当にありがとうございました.。.:*・☆


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*1:ホンドゥル先生のプロフィールはこちらをご覧ください→http://www.jpf.go.jp/j/about/award/08/profile.html#02


*2:ルーマニアの日本語教育事情については、こちらに紹介されています→http://www.jpf.go.jp/j/japanese/survey/country/2007-2008/romania.html