Friday, February 29, 2008

 ピラミッドを借景に、大空を凧が舞う!



みなさんこんにちは、オレペコです。




f:id:japanfoundation:20080208135126j:image:left突然ですが、こーいう写真、最近新聞でご覧になった方、いらっしゃいませんか?割と多くのメディアで取り上げられたので、記憶に残っている方もいらっしゃるかも*1





実はこれにはジャパンファウンデーションの活動が絡んでいるんです。日本の皆さまにはなかなか見えにくい海外事業。少しでも具体的なイメージを持っていただければ、ということで、今日はカイロからの報告をお届けします!





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こんにちは。スッカル@カイロです。




ジャパンファウンデーションのカイロ事務所*2に赴任して2ヶ月がたちました。「エジプトとの文化交流を盛り上げたい」と気合が入りますが、ここは文明発祥の地。歴史的文化遺産の宝庫に来たからには、それらをまずは堪能したいという気持ちも自ずと沸いてくるというもの。ピラミッドは、そのなかでも筆頭のマスト・アイテムですが、私は赴任早々にジャパンファウンデーションならではの「役得」なピラミッド体験をすることになりました。





それは、 w(*゚o゚*) ピラミッドで凧揚げ (*゚o゚*)w





2月8日、KKギザの三大ピラミッドをバックに、何百もの凧が青空を優雅に舞いました。発案者は石川薫駐エジプト大使。この魅力的なアイデアにジャパンファウンデーションが賛同し、凧の専門家、大橋ご夫妻を日本から招いてこのイベントを企画しました。





f:id:japanfoundation:20080208135606j:image:right加したのは、エジプトと日本両方から子ども達を中心に100名くらい。自分たちで作った凧を揚げる子もいれば、大橋さんが持ってきてくれた色・形さまざまの凧を揚げてみる人たちもいます。糸を伝って大気の流れを感じ、その変化にあわせて凧を自分の力で操作するというシンプルな行為が、なんと楽しいことでしょうか!私自身も、気がつくと主催者である立場を忘れ、大空相手に凧揚げに没頭していました。





めつけは、大橋さんの発明した「アーチ凧」。これは連凧の一種ですが、二箇所から揚げて空にアーチをかけるのがユニークです。発明のポイントは二つあって、ひとつは一直線の連凧とちがって、切れても飛んでいってしまわない点。もうひとつは力が分散されるので何百もの凧をあげても人力だけで支えられる点です。大橋さんは、これまでに湾岸戦争直前のクウェート・タワーや、壁崩壊前後のベルリンなどでこのアーチ凧を揚げており、とうとうピラミッドという長年の夢を果たしたのでした。ピラミッドをバックに300個、連凧の間隔が1.5mですから半キロほども広がった連凧のイメージは壮観でした。おそらくは、これが歴史上初めてのピラミッドでの連凧揚げであり、今後もこのような機会はそう簡単には訪れないとでしょうから、なかなかな歴史的事業であったと言えるかもしれません。





回凧の専門家に日本から来ていただいたのは、ただ凧を揚げてもらうためではありません。自分で創った凧を揚げるほうが喜びはひとしおというもの。子ども達に凧を作ってもらうワークショップを企画しました。





とつは当地日本人学校で。桃太郎や龍やピカチュウの図柄をウォッシュプリントした縦30cm×横15cmほどの和紙に、生徒たちがマーカーで色をつけていきます。絵ができたら、竹ひごを、セロテープで接着。上から3分の1程度のところに空いている小さな穴に凧糸を結びつけ、最後にしっぽをつけてできあがり。この和凧が、後日、ピラミッドで軽々と舞い上がりました。





f:id:japanfoundation:20080209104027j:image:leftう一つのワークショップは、城壁に囲まれたダルブ・アル・アハマルという地域に住むエジプト人の子ども達対象で、こちらは大橋さん発明のビニール素材の「インベーダー凧」に思い思いの絵を描きました。このダルブ・アル・アハマルですが、地域再開発の一環でゴミの山を掘り返したら、十字軍から街を守ったという城壁が出てきたことで俄かに注目を集めたコミュニティです。その後、アガ・カーン財団の支援を得て、住民の意識向上を通したコミュニティの活性化がすすめられています。このワークショップを実施するにあたって、街づくりの将来を担う子ども達に、ものづくりの楽しさを味わってもらいたい、というささやかな願いをもっていました。コミュニティに隣接する公園で嬉々として凧揚げに興じる彼らの姿を見て、その願いは達せられたように思います。





くまで印象論ですが、日本の子ども達は学校教育のなかで図画工作の訓練を受けていて、とても器用に先生や見本の模倣をすることができます。一方、エジプトの子ども達の多くは切ったり貼ったりといった作業にはぎこちなさがあって、大人のサポートが必要な子が多くいたけれど、色を塗るとか絵を描くという面では、個性的な表現が多かったように思います。







回お招きした凧専門家、大橋栄二・瑛子ご夫妻*3は、1年の半分以上は凧の実演、指導で世界中を飛び回っています。f:id:japanfoundation:20080208124942j:image:left世界中に友人をもち、そのなかには凧の世界大会で有名なマレーシア、ジョホールの藩王もいらっしゃるとのこと。その快活ぶりから70代とは信じがたいお二人の健康の秘訣は、「好きなことを思う存分楽しむこと。」夫婦が同じ楽しみを共有しているお姿に学ぶところ大でした。





て、こうしてワークショップに子ども達とともに参加したカイロ事務所のスタッフは、晴れて大橋師匠の免許皆伝、凧指導をどんどん展開するようお達しを受けました。そこで、2月27日と28日、カイロの民間文化団体の5周年記念フェスティバルでブース出展し、折り紙と凧作りのワークショップを運営しました。パンフレットを置いているだけの他のブースとは段違いにたくさんのお客さんが集まってくれて、みんなで凧づくりと折り紙を楽しみました。ただし材料の調達に問題あり。竹ひごがないので、市場調査の結果見つけたのが、ケバブ串。ちょっと重くて、オリジナル作品より飛びが悪くはありますが、一生懸命走ればフワリと浮かび上がります。 (完)


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竹ひごの代わりにケバブ串とは、なんともエジプトらしいですね!


今後の展開が楽しみです。そのうち、お手製の凧で遊んでいる子ども達をエジプトのあちこちで見かけるようになったりしてo(^^)o


JFブログ「地球を、開けよう」では、今後も世界各地でのいろんな事業をご紹介していきます。お楽しみに~。





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*1:たとえば産経新聞や、毎日新聞のウェブニュースに掲載されました。あと、ブログでこの事業に関する日記を書いてくださっている方もたくさんいらっしゃいます。たとえば、そのまたそのうえさん、CurryBeansさん、姫林檎さん、tkayaan39さん、tkakt_v3さん、馬事豆腐さん、tori279さん、ahirukotekitaiさんなどなど。やっぱり、ピラミッドと青空と、凧と・・・という風景は、多くの人にとってすごく印象的なんですね!


*2:ホームページはこちら。英語とアラビア語の2バージョンがあります。右から左に書くアラビア語の画面、全く読めませんが(苦笑)、見ているだけで雰囲気が感じられておもしろいです。ぜひ訪れてみてください!(こちら


*3:大橋さんの凧をご覧になりたい方は、こちらのサイトで。





Wednesday, February 27, 2008

来週、福岡で、出会ってみませんか。






みなさんこんにちは、オレペコです。


今日は、梅が見ごろの大宰府観光(!)と併せてぜひ足を運んでいただきたいシンポジウムを紹介しましょう。        



(゚∇^*)ノ日系アメリカ人リーダーシップ・シンポジウム


 「日系アメリカ人との再会 -移民100年の歴史を越えて-」   


  日時:2008年3月6日(木)14:00~16:00(13:30開場 入場無料)


  会場:アクロス福岡 国際会議場 (福岡市中央区天神1-1-1)


  主催: 国際交流基金日米センター(CGP)、全米日系人博物館


  共催: (財)福岡国際交流協会(財)福岡県国際交流センター


  後援: 福岡県、福岡市、在福岡米国領事館


 ※パネリスト、申し込み方法等詳細はこちらをご覧ください。


f:id:japanfoundation:20080227161057j:image:rightこのシンポジウムの参加パネリストは3名ですが、実は今回のシンポは全米各地において様々な分野で活躍している日系人のリーダーの方々に、日本との関係を深めてもらう目的で実施している「日系アメリカ人リーダー招へいプログラム」*1の一環として行われるものなので、この時期、13名もの日系アメリカ人の方々が日本にいらっしゃいます*2





「きっといろんなバックグラウンドの方がいるはず!」


「どんな方がいらっしゃるのか、シンポジウムの(見どころならぬ)聴きどころも知りたい!」


ということで、早速担当者のTさんにこっそりお話を伺ってきました。すると、「オーラル・ヒストリー」「伝承プロジェクト」「JAJA」・・・等いろんなキーワードが飛び出してきましたよ!





―今回の訪日前に、みなさんLAに集まってオリエンテーションをやりましたよね?Tさんも参加されていましたが、どのような内容だったんですか?


政治・経済・文化といった、日本全般に関するレクチャーのほか、日系人の歴史についても専門家の先生にお越しいただいてお話いただきました。最近は日系人の世代交代がどんどん進んでいることや、歴史的な経緯から、好むと好まざるとに関わらず「日本人であること」よりも「アメリカ人として現地コミュニティに溶け込んでいくこと」を選んだ方たちも多く、必ずしも日本について詳しい知識を持った方ばかりではないんですよ。





―参加者の略歴を見ていると、様々な分野で活躍されている方ばかりですが、その活動の一端を紹介していただけますか?


まず、シンポジウムのパネリストでもあるトム・イケダさんは、オンライン上で「日系人の歴史の伝承プロジェクト」というものを立ち上げていらっしゃいます。このプロジェクトは、高齢化が進む日系一世、二世へのインタビュービデオや写真などの資料をデジタル化して保存していくプロジェクトで、これにより、日系一世、二世の体系的な歴史編纂に取組んでいらっしゃるんです。ちなみにトムさんは、シアトル出身で、マイクロソフト(がまだベンチャー企業であったころ)のご出身!そのご経験を存分に生かしてこういった活動をされているわけです。


オレペコDenshoサイトを覗いてみると・・・1996年からの活動で、既に約550時間分ものオーラル・ヒストリーや、約9,000点もの写真、資料などがアーカイブ化されているようです。日系一世、二世の方々から直接お話を伺える期間には限りがあるということを考えると、、、とっても貴重な資料ですね。ちなみにこれらの資料は、学校での授業で利用したいと考える方や日系人の歴史を研究していらっしゃる方々等にも広く提供されています。見てみたい方は、こちらへ。





それから、スタン・ナカゾノさん。


この方は、作家であり、編集者であり、映画製作者でもあるという、マルチな才能をお持ちの方なのですが、2004年に、ニューヨークにおける「若手日系米国人」と「在米日本人」のコミュニケーションをもっと深めることを目指すJAJA(Japanese-Americans, Japanese in America)をつくられました。日本人あるいは日系人がたくさん住んでいるニューヨークでさえ、それらの人々の横のつながりが非常に弱いことに驚いたことが、JAJA立ち上げのきっかけなんだそうです。加えて、戦争前後に移住したいわゆる「伝統的な」日系人のほかに、最近になって移り住んだ「新しい」日系人、それから一定期間のみアメリカで暮らす在留邦人など、「日系」とひとくちに言ってもいろんな性格の人たちが混在する世の中になってきたので、同じ「日本」の血を引く人たちどうし、もっと開放的で多様なコミュニティーを作りたい、という思いがあるようですよ。





―ジャジャ(JAJA)ですか!かわいい名前ですね(笑)。さて、最後になりましたが、シンポジウムの聴きどころを教えてください。




今回のシンポジウムでは、先ほどご紹介したトムさんが、伝承プロジェクトに基づいた日系アメリカ人の歴史の概観をお話してくださいますし、サチ・コトさん*3とマーク・ヤマカワさんはルーツが今回の開催地、福岡で、そうしたことも含めたパーソナル・ヒストリーをそれぞれの切り口で語ってくださることになっています。





これまで5回実施してきたシンポジウムでは、「アジア系アメリカ人の多様性:連帯に向けて」、「多文化共生実現への道:マイノリティの視点から」等々、現代の課題と絡めたテーマについても議論してきたのですが、福岡から移民が渡って一世紀以上の年月が流れた今回、原点に立ち戻って「日系アメリカ人との再会」というテーマで実施できることは、非常に意味があることだと感じています。日本のみなさんにも是非知っていただきたいストーリーがたくさん出てくると思いますので、ぜひお運びください (^▽^)/


・゜゜・。・゜゜・。・゜゜・。


Tさん、ありがとうございました!


お申し込みの詳細はこちらにあります。


申し込み締め切りは3月5日(水)です。みなさんのお申し込みをおまちしています!!!




*1:プログラムの概要、これまでの実績などはこちらのサイトをご覧ください!


*2:ロサンゼルスのUTBというテレビ局のサイトでも、こんな風に紹介されていますよー⇒こちら


*3:この方は、前回のシンポジウムでもスピーカーとして参加されていました。そのときの情報は、こちら!また、シンポジウムでサチ・コトさんが触れていた、”engrish.com”に関する記事は、こちら





Tuesday, February 26, 2008

冬の越後を旅してきました。



こんにちは、みかんです。2月ももうすぐ終わりですね。


我が家では梅の花が咲き始めました。





都内では春の足音も近づいていますが、実は先週末、まだ真冬の新潟に行ってまいりました!この寒い季節に一体何をしに…?




越後妻有トリエンナーレってご存知でしょうか。簡単にいうと、アートによる地域活性化の取り組みです。三年に一度、十日町、中里、津南、松之山、松代、川西という6つのエリア(なんとその広さ、760平方キロメートル)で展開される現代美術の祭典で、2006年には第3回の越後妻有トリエンナーレが開催されました。*1


トリエンナーレは通常夏の時期に開催されるのですが、今年は2月に冬のアートツアーというイベントがあり「これは面白そうだ!・・・」思い切って休暇で訪ねてみることにしたのです。








こんなに雪が深いとは!


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バスに乗っていると、こんな雪景色が延々と続くんです。


雪に慣れていない私たちは、移動だけでも大騒ぎ。現地でお借りした長靴を履き、こわごわと雪の坂道を歩きます。


そんななか、心あったまるのが、なにより集落の元気な皆さんとの触れ合いだったんです。どこに行っても「さあどうぞどうぞ、入ってください。」という雰囲気で、旅行者の私たちをもてなしてくれます。


地元は高齢者が多くなっていて、屋根で雪掘りをしている方を見ても、若い人は本当に少ない。おじいちゃんやおばあちゃんが、いわゆる「現代アート」に誇りと親しみを持って、訪れた者を案内してくださるのです。かつて自分の通った小学校や同じ集落の住民がいた民家――きっといろんな思い入れのつまった空間なのだと思います。放っておいたら見捨られてしまったかもしれない場所。そこには今、アートによって再生されたことに喜びを感じる表情がありました。





こんなワークショップを体験しました。


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アートツアーは、かまくらを使ったピンホールカメラ、雪原を橇で走るプロジェクトなど、建築をはじめ冬でも楽しめるスポットを数箇所見て回ったのですが、面白かったものの一つが空家を改修した写真館。


写真家の倉谷拓朴さんが遺影を撮影してくれるんです。


スタジオはこんな感じ。生きているうちに自分の遺影を取ってもらう、近しい人たちに見つめられる自分の姿を想像する、そんなことなかなかないですよね!アーティストたちの作品は、私たちが日常気づかずにいるような、新鮮な感覚を呼び起こしてくれたように思います。





文化交流について、少し考えてみたこと。


ジャパンファウンデーションでの仕事を始めてから、色んなところで質問を受けることがあります。修学旅行の生徒さんから、企業から、NGO団体から、世間から、友人や家族からも、です。


「なぜ文化交流なの?」極端な場合は「食べ物や医療、教育も十分に保証されていない人が世界にはたくさんいるのに、文化に税金を?」と厳しく突きつけられることもあります。「文化や芸術って、所詮余裕があるからできるんじゃないか…?」「役に立ったか、貢献したのか、数値にならない価値をどうやって評価するのですか?」と聞かれることもありました。


どれも、ジャパンファウンデーションはじめ、文化交流に携わる者が真摯に考え続けなければいけなければならないことだと感じています。


なぜこんなことを書いているかというと・・・今回越後妻有を訪れて、アートの持つチカラを改めて肌で実感したのです。


ツアーのガイドさんからは、トリエンナーレの始まった頃は、現代アートなんてわけもわからず、作品設置にも反対する集落が多かったと聞きました。しかし、今では人々によってアートがその地に根づき、地域がアーティストによって再発見されている。それは、一度妻有を訪ねれば、きっと皆さんにも感じていただけます。


共感が広がるアートだからこそ人と人が結びつく。


そんなところにも、まだまだ文化の可能性があるんじゃないかな、と思った旅でした。








都市や地域に活力を与えるアートについて、ジャパンファウンデーションでは、


都市を刺激するアート」と題したイベントを行います。


入場無料、詳細はこちらのサイトをご覧下さい。皆様のご来場お待ちしております。





日時:2008年3月9日 日曜日 13時30分から17時(予定)


会場:金沢21世紀美術館




*1:ちなみにジャパンファウンデーションではその功績をたたえ、アートディレクター北川フラムさんを2007年の国際交流奨励賞として表彰させていただきました。