Monday, March 27, 2006

 春樹をめぐる冒険



M:こんにちは、松岡です。


あっという間の3月で、もう来週からは新学期、新年度の4月ですね。


オフィスのあるアーク森ビル近辺は、ちょっとした桜の名所です。


今日、通勤途中で見てきましたが、かなり咲いていましたよ。





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僕の予想によると、明日、明後日あたりが最も見頃ではないかとにらんでいます。*1





この週末は、例の中島さんと一緒に「春樹をめぐる冒険 ― 世界は村上文学をどう読むか」のお手伝いに、東大・駒場キャンパスに行ってきました。


かなりの数の来場者でしたよね、中島さん。







N:せやねえ。私と松岡さんは入り口前に立って会場案内をしていたんですが、一般の読者・研究者・学生・編集者・記者などなどいろんな人が来場なさっていて、500人入れる講堂が2階席までほぼ満員になってました。テレビカメラもかなり来てたしね。*2


で、松岡さんはシンポジウムを聴いてみて、どないやったん?








M:出たり入ったりで全ては見られなかったのだけど、僕は一番最初のセッションでの会場からの質問が、ひとつ印象に残ってますね。確か、村上春樹の作品では毎回「少女(あるいは若い女性)」が何らかの形で出てくるが、英訳を読むとそのこの「セクシャリティー」が強調されてしまっているような気がする、といった内容でした。


この「少女性」というのは、海外でうけている現代日本文化の一つの特徴なのでしょうかね。


確かに宮崎駿さんの作品ではヒロインが登場するし、また2004年のベネチア・ビエンナーレ建築展の日本館では「OTAKU」文化をテーマにした展示で、そこでも「少女」が多数登場していましたね。


実は2000年の同建築展では、磯崎新さんが「少女都市」というテーマで日本館の展示をしていたんですよね(過去の日本館展示内容はこちら)。








N:へえー、「少女」ってのはオモロイ観点やね。現代美術やマンガ・アニメ、舞台芸術の世界なんかでも、「少女性」はここ何年間か一つのキィタームになってるらしいし。

実は私はほとんど外にいたもんやから、ネットでいくつかシンポジウムの様子がわかるブログを探してたのよー。*3




id:kane_katu:20060325さん*4id:QueSera:20060325さん*5bananafish@another spaceさん*6northern lightsさん*7イート・イン・サム・ブックスさん*8などなど・・・皆さんの記事を興味深く拝見しました。


最初のリチャード・パワーズさんの講演もちょっと長めだったようだけれど、その分、いろんな注目要素が盛り込まれてたみたいやねー。








M:東京プログラムはこの週末でしたが、村上さんの母校の神戸高校での神戸プログラムと、作品とのゆかりもある北海道プログラムは3月29日(水)ですね。どうやら東京プログラムの模様は、3月26日の毎日新聞他でも色々と取り上げられているようですね。


皆様ぜひご確認を。




*1:君の予想かいな?!と密かに突っ込んでみるテスト。


*2:近日、ニュース23で観客へのインタヴューなどが放映される予定です。また、NHKBSではシンポジウムの内容が一つの番組になるそうです。


*3:ちなみに、リチャード・パワーズさんの基調講演の内容は来月号の『新潮』に掲載されるんだとか。これも読んでみるつもりです。


*4:kane_katuさんの記事はかなり網羅的で、拝見していて1日目の様子の全体がよく判りました!途中のパネルディスカッションについて書いてくださってるのもとても嬉しかったです。


*5:QueSeraさんの記事は参加者(海外の翻訳者)や観客の方々の様子に目が行き届いていて、開場の雰囲気がどことなく伝わってくる不思議な感じがしました。確かにあの面子の飲み会なら、私も徹夜してもいいかも・・・。


*6:bananafishさんは文芸翻訳家だそうです!翻訳家の方の視点からあのシンポジウムはどう見ていらっしゃったのか、詳細なレポートを後日UPしてくださるとのことなので、大変楽しみにしています!


*7:northern lightさんは修士論文でパワーズさんの作品を取り扱ったのだそうです。(前のQueSeraさんの記事でも同じように感じたのですが)ニューロサイエンスと村上文学、とか、「作品の構造自体に意味がある」という辺りは個人的にも関心のあるポイントなので、仕事をウッチャリしてでも詳しく聞いておけばよかったなー、と反省しきりです・・・。


*8:1日目はいらっしゃることができなかったのですね。申し訳ありません。2日目の翻訳論についてのワークショップのお話、興味深く拝見しました。1日目の「表紙カバー」のセッションでも翻訳者の方々それぞれの想いが止められなくて、皆さん話しすぎてしまいそうになっていらっしゃいました(笑)。しかし、その様子を見て、村上作品やその翻訳に込める翻訳者の方々の想いや苦労話に非常に魅力を感じていたので、記事を拝見してその一端を知ることができました。ありがとうございました。





Thursday, March 23, 2006

JFへの会社訪問会(第4回)




こんにちは。


中島裕介です。


舞台を引退して、ジャパンファウンデーションの職員となって今年で3年目。


あいかわらず、ブログを触れ回る生活を送っています。


と、最初から人のネタ*1を借りる中島です。*2




さて、3月6日にスタートしたJFへの会社訪問会*3ですが、今日(3月17日)で第4回目(すでに東京会場で2回、大阪会場で1回行っているので)となりました。


今日の訪問会の事前登録者(参加予定人数)はなんと120人!ところが今、JR常磐線・中央線・地下鉄千代田線が止まってしまっていて、まだ到着していない方が結構いらっしゃるようなので、10分、スタートを遅らせることになりました。


今?今、実はこの記事を会議場で書きながら、訪問会が始まるのをみなさんと一緒に待っているのです。f:id:japanfoundation:20060317110311j:image


あ、少し人が増えてきましたね。座席が9割方埋まってきたようです。およそ10分遅らせてのスタートです。





会社訪問会は




  • 会社説明ビデオの上映(10分)

  • 採用についての説明(10分)

  • 若手職員への質問コーナー(20分)

  • 質疑応答(20分)


の4つのパートからなっています。





会社説明ビデオについては、日本各地の国際交流イベントにブースを出しているときにはそこで上映しているので、ご覧になった方もいらっしゃると思います。今日、皆さんにご覧いただいたのはそのショートヴァージョンです。f:id:japanfoundation:20060320224902j:image


ここで紹介されている内容は




  • ジャパンファウンデーションについての説明

  • 北京日本学研究センター*4や日本語教育と、北京日本文化センター*5

  • 宮本亜門さん演出の「太平洋序曲」やそれに絡めたトークイベントと、ニューヨーク事務所

  • イラン・テヘランにて行われた山下泰裕さんによる柔道のレクチャーや知的交流のシンポジウムと、中東派遣ミッション


といった事業について。





加えて、人事課の野田さんからJFと採用についての補足説明を行います。f:id:japanfoundation:20060320224903j:image


例えば、「時期的な都合上、応募書類に添付していただく証明書が大学等から発行されない場合には、その旨を別途記載していただき、発行され次第JFへ送ってください」というような補足ですね。





そして、若手職員への質問コーナー。こちらは文化芸術、日本語、日本研究・知的交流の3つの事業部門から1人ずつ、総務や経理などの管理部門から1人、合計4人が登場します。


今回登場するのは、




  • 松岡さん 管理部門(情報センター)

  • 西納さん 日本研究・知的交流

  • 藤居さん 日本語

  • 服部さん 文化芸術


の4名で、最初は、皆さんから予め頂いていた質問に答えていくのです。その内容はというと・・・



Q.何にやりがいを感じますか?


A.(西納)地理的にスケールが大きく、様々な分野の専門家と付き合いができるようになってくるのは嬉しいです。


若いうちから重要な仕事を任せてもらえるし、より高いレベルの仕事を目指して自己研鑽を積みたいと思える仕事です。





Q.なぜJFを就職先に選びましたか?


A.(服部)前は現代音楽の音楽事務所で働いていたのですが、マンパワーも予算も限られた中で、採算性も扱っていくことに難しさを感じていました。


その点、JFでは「政策」や「公益性」という視点で事業に関わっていくことができる点で魅力を感じています。


ちなみに、JFでは収益や集客ではなく「事業評価」で事業のよしあしを図っていきます。


他の事業部門や管理部門に異動になることもありますが、広い視点から文化に関わっていけることが面白いです。


(野田)その話に絡めて、JFの扱う文化が非常に多岐にわたることに加えて、海外事務所では少人数で一つの事務所を運営していくことがよくあるので、事業部門と管理部門のどちらの能力も必要です。だいたい、3~4年のサイクルで部門や事務所を異動しながら、職員としての経験を積んでいくことになります。





Q.入社前後でJFに対するイメージがどう変わりましたか?


A.(藤居)新人は、入社後しばらくは先輩職員の補助業務をこなしながら仕事を覚えていくのかと思っていたのですが、JFは、入社後の数日の研修のあと、すぐにいくつもの大きな責任ある仕事を担当として任されることに驚きました。


現在もまだ3年目ですが、担当するプロジェクトに自分の考えや判断をどんどん反映させることができ、とてもやりがいを感じています。





Q.将来どんな仕事がしたいですか?


A.(松岡)最近は日々の業務に追われて、新しい仕事が出来ていないけれど、これからもっと自己研鑽を積んだり研修を受けて、海外のことや日本のことについて伝えて、お互いに知らない者同士をつなぐような仕事がしたいと思います。

(野田)研修というワードが出ましたが、JFでは何種類もの研修があります。例えば、採用直後に10日~2週間、各部署の事業の概要や基本的な仕事の進め方を学ぶ新人研修や、自主的に外国語を学ぶ職員に補助を出す自主外国語研修、海外の大学院に留学して特定の研究テーマについて研究させる制度*6などがあります。



といった感じ。f:id:japanfoundation:20060320224901j:image





そして、その後は訪問会の会場から若手職員への、直接の質疑応答です。



Q.JFの事業は公益性を求められるわけですが、それを仕事とすることで自分のものの見方・考え方がどう変わりましたか?


A.(服部)文化というものを扱っているので長期的な視点でないと成果が見えにくい場合もありますが、だからといって集客や収益という即時的な成果を無視してよいというわけではありません。その分、具体的な目標設定は難しく、一口に「公益性」といってもどのような事業が実際に求められているのか、バランスの取れた幅広い視野から考えることが必要だと感じるようになりました。


(西納)「公的機関だからこそできて、一般企業にはできないこと」、「文化を育んでいく上で、重要だけれど見過ごされてきたニッチ」、そういうものを探すように意識するようになりました。





Q.中途採用であったことに不安はありませんでしたか?


A.(服部)中途採用で入社している人や大学院を出てから入社した人もたくさんいるので、不安になったり困ったりしたことはありません。





Q.仕事の中で「壁にぶつかってるな」と思うことはありましたか?また、それはどんなことでしたか?


A.(松岡)私は入社してからずっとJFの年報を担当しているのですが、JFがどんな事業をやっているのか知らないので、何をどう聞いていけばいいのかよくわからなかったんです。


それで、忙しい管理職の方に、事業の内容についてメールで聞いたら、直接呼び出されて怒られたこともありました(笑)。それ以来、できる限り直接担当者のところに足を運んで、直接話すようにしています。


でも、そういう経験をしたから社会人として必要な気遣いも知ることができたし、職場のみんなに顔を覚えてもらって、仕事がスムーズに進むようになったと思います。





Q.仕事を進める上で心がけていることはなんですか?


A.(藤居)自分の担当業務をきちんと遂行するためには、その分野の専門知識が必要になることが多々あるので、関わっている事業分野について勉強することをいつも意識しています。


また、語学については必須ですので、さきほど説明された、自主的に外国語を学ぶ制度を利用して勉強するようにしています。


(野田)あとは、どこの企業でも必ず言われる「報告・連絡・相談」の「ほうれんそう」ですかね。これはJFでも大事です。






これで訪問会は一通りオシマイです・・・が!閉会してもそれぞれの職員に直接質問したい方々が並んでいますっ。f:id:japanfoundation:20060320224900j:image


まだまだみなさんの質問も尽きないようですし、その他にいただいた質問にもこちらのブログでできる限り答えていきたいと思います。




*1:最近、はてなに公式ブログができたあのお方です。まあ、名字が似ているというだけなんですが・・・。


*2:出張から帰ってきて1ヶ月が経ちそうですね。近いうちに続き(想定では、次の第3弾を完結編に、そして、目標は番外編として各地のサブカル事情を)を書きたいと思います。
あと、どうでもいいことですが、JFICってJ○ICみたいですね。


*3:OB訪問でもないし、「会社」の古い意味は「同じ志をもって行動する集団」というものなので、とりあえず会社訪問会と呼んでいます。


*4:既に記事にしましたが、北京日本学研究センターはJFが中国の教育部(日本でいうと文部科学省)と共同で運営している、日本研究や日本語教育のための研究・教育機構です。


*5:こちらは北京日本学研究センターとは違う、中国にあるJFの拠点です。図書館やホールを併設しています。


*6:こちらは年1名ほどなんですが・・・・。





Wednesday, March 22, 2006

国際交流基金情報センター(JFIC)がまもなくオープンします



こんにちは、松岡です*1




本日は、4月3日にジャパンファウンデーション本部(東京・赤坂)にオープンする、「国際交流基金情報センター(The Japan Foundation Information Center, JFIC)のご紹介をします*2





ジャパンファウンデーションは2003年5月に、組織発足して以来初といっていいほどの大規模な機構改革を行ないました。その際、今僕が所属している部署「情報センター」ができたのですが、その設置の心は、





「ジャパンファウンデーションが実施してきている様々な活動情報の発信や組織自体の紹介、さらには国際交流にかかわる様々な情報提供機能を強化しよう」




というところにありました。ということで、以前登場した麦谷さんが担当している『遠近(をちこち)』という機関誌の発行やホームページ・メルマガの発信などといった活動をしているわけです*3


こうした経緯の中で、ある意味「ジャパンファウンデーション本部の玄関口になるような場所」という意味もこめて、4月3日にオープンするのが





JFIC





なわけです。


今回の計画では、今まで「国際交流基金図書館」があった場所にラウンジ部分等を加えたフロア1/4強のスペースが対象となりました。


従来の図書館機能は維持しつつ、新たにジャパンファウンデーションの活動情報提供や国際交流に関心のある方々が交流できるスペースなども新たに加え、より情報提供・交流機能を強化していこうと考えてます。


具体的には、






・JFサポーターズクラブ会員向けの定期的なイベントや会員同士が交流できる場づくり


・ジャパンファウンデーションの活動概要がわかる、事業報告ファイルの提供、AV視聴コーナー


・国際文化交流に関連する図書の閲覧






などができる、場所になる予定です。




営業時間も、平日は19時頃までオープンし、加えて第三土曜日も開館する予定です*4





詳細はまた後日語らせていただきますが、まずは4月3日オープンのお知らせでした。




*1:1週間も間が空いてしまいましてすいません m(。-_-。)m 年度末ということで、いつも以上に色々とありまして記事が書けませんでした。しかし、昨日の休みの間ネタを考えてきたので、これからは当分書けそうですので。


*2:JFICと書いて、「ジェイフィック」。


*3:そしてこのブログもその一環。


*4:これまでは平日の17時まででしたが、これで日中働いている方等も来やすくなるかと思います。