Tuesday, April 6, 2010

 タイ人若手作家 ウティット ヘーマムーン อุทิศ เหมะมูล 氏 インタビューその2 です。



 みなさんこんにちは。


 さて、今日は前回ご紹介しました、タイ人作家ウティットさんのインタビュー続きです。


 それではどうぞ。





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-タイに戻ってから、何か日本について書くご予定はありますか?







Bangkok International Book Fair 2010の主賓国が日本になっているんですが*1、そこで講演会をすることになっています。また、いくつかの雑誌が興味を示していて、15-20回のコラムとして今回の経験について連載する予定です。





-好きなタイ人作家はいますか?








 私の人生の中で一番大切な作家は デーンアラン セントーン (แดนอรัญ แสงทอง)です。彼の作品は私に文学の新しい側面を開くきっかけを与えてくれました。実はタイでは読者が少ない作家なのですが、文学業界ではよく読まれています。

 海外、特にヨーロッパではとても有名で人気があり、様々な言語に翻訳されています。フランスで賞を取ったこともあるんです。このほかにも好きな作家は沢山います。プラープダー ユーン(ปราบดา หยุ่น)さん*2の作品も好きで読んでいます。*3





-タイの人は文学を読まないと聞いたのですが、一方でタイ語に翻訳された外国文学が売れているというのは本当ですか?








-タイ人が文学を読まないという現状は本当ですが、私はこれから読む人が増えていくのではないかと期待しています。子どもの頃から読む習慣を育てることが必要ですね。

 翻訳小説がよく売れている*4というのは本当で、今の流行は韓国の恋愛小説なのですが、それは本当の文学とはいいづらい面があります。








-最後に将来の夢について教えてください。











-一生懸命書くこと、ですね。自分を成長させ前進し、作品の内容の質を上げ、そして新しい世界を読者に提供していきたいと考えています。














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 インタビュー後に撮影させていただきました。








 日本は今回が初めてというウティットさん。お話される言葉や内容が既に短編小説のようで、こういう日のためにタイ語をもっとちゃんと勉強しておくのだった!と心から思いました。


 このブログの内容にも赤を入れていただいたのですが、よく考えたら日本で芥川賞受賞作家にブログ添削してもらうようなもので、、いまさらながら冷や汗です。。。


 15分くらいのインタビューで、上手にお話が聞けなかったのがとっても心残りでした。近い将来日本語でウティットさんの作品が読むるようになる日を心待ちにしたいと思います!




*1:日本側主催者の一つが国際交流基金。


*2:国際交流基金も過去に展覧会のキュレーターをお願いしたり、『をちこち』での対談をお願いしたり、日本に招へいしたり、とお世話になっています。


*3:この日ウティット氏はちょうど、日本滞在中のプラプダー氏とランチのお約束がありました。


*4:この件に関しては『をちこち』30号でちらっとご紹介しました。





Monday, April 5, 2010

 タイ人若手作家 ウティット ヘーマムーン อุทิศ เหมะมูล 氏 インタビューその1です。



 こんにちは。Mです。

 さて、先日本ブログでも紹介しました、ウティット・ヘーマムーン*1開高健記念講演会、私も参加してきました。


 東京での講演会では、主にご自身の生い立ちと作家になるまでの過程についてのお話がありました。周囲が手のつけられないほど悪戯のひどい子どもだったというウティットさんが絵と出会うことで、心の静寂と平穏を取り戻し、お父さんとの衝突を経て進学、苦学し、葛藤し悩みながらここに至った、というお話はウティットさんの作品テーマを理解する上で大きな助けになるお話だったナと私は思いました。








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 奥がウティット氏。手前はコーディネーターの東京外国語大学 宇戸清治先生です。





 さて、講演の忙しい合間に、ウティットさんにインタビューすることができましたので、その内容を2回に分けてお届けします!







 国際交流基金では、開高健記念アジア作家講演会シリーズとして、1989年に亡くなられた開高健氏のご遺族から寄せられたお志をもとに、毎年、日本ではまだあまり紹介されていないアジア作家の方々をお招きし、講演会を実施しています。 実は2001年に招聘した、チャート・コープチッティ(ชาติ กอบจิตติ)氏が日本での講演会の後タイに戻って開高健の『夏の闇』をタイ語に翻訳するよう尽力したのですが、ウティット氏はその本を読み、深く感銘を受け作品にも影響しているのだそうです。*2


 


☆☆☆





-日本の印象はいかがですか?





-前から来たいと思っていたので、胸が一杯です。とてもエキサイティングで、一日24時間では足りないと思うくらいです。毎日新しいものに出会い、それでもまだ全然見足りないという感じがします。


 今回色々な場所を訪れ、好きな場所は沢山あります。桂離宮とか、奈良とか・・・。古都京都は静かで美しい街でした。






 講演会でも、日本に来る前と来た後で印象が変わりましたか?という質問に対して、「子どもの頃から日本のアニメには慣れ親しんでいたし、期待通りです。良い印象が増えています。」と回答していらっしゃいました。






-タイ社会の変化は、ご自身の作品にどんな影響を与えているのでしょうか?





-タイ社会の様々な変化については、作家としていつも観察しています。考えさせられることも多くあります。


 私は、タイの変化を否定はしませんが、物事の広い面のみではなく、深い部分もまた知るべきだと思っています。現代社会は一般的に、社会現象であれ、技術であれ、人間関係であれ、物事の表面だけをとらえようとする傾向があるように思います。


 作家は物事の全体像を深く理解するように努力し、作品を通して読者それを伝えなければいけないと考えています。








-作品を読ませていただいて、家族が重要なテーマになっているものが多いと思ったのですが。





-家族や人間関係というのは自分にとって最も興味のあるテーマです。15歳のときに家を出て、家族から離れたという自己の経験があるので、より家族や人間関係について知りたいと思う気持ちが強いのだと思います。






ウティット氏は進路を巡って父親と衝突し、15歳のときタイの東北部コラートの職業専門学校を受験し、猛反対する父親を尻目に家を出た、という経験があります。その後シラパコーン大学(芸術大学)に進学しますが、父親には芸術を学ぶことについては認めてもらえず、そうこうするうちに大学3年生のときに突然の交通事故で父親を失います。


 子どもの頃のある日。父親の自画像を描いていて友達と話をしようと動いた父親に「動かないで!」と自分が命令したとき、父親が素直に従ったことで、自分が力を持ったように感じた、という講演会で話されたエピソードが印象的でした。


 ウティットさんの中では、父親の存在は本当に大きくて、自分の成功を一番認めてもらいたい人を突然失ったことが、ウティット氏が挑戦し続けていくことの原動力になっているのだな、と思いました。



つづきます・・・




*1:1975年タイ中央部サラブリー県に生まれ。絵を描くことが好きで、芸術大学に進学し絵画を勉強する。1999年の卒業後は、映画作りと音楽制作に没頭し、各地の教育機関で上映活動。さらに、マノップ・ウドムデート総監督の映画『銃口の花』で芸術部門監督を務める。2000年、雑誌に映画批評を掲載し始める傍ら、短編小説を執筆し始め、2009年、3作目となる長編小説『ラップレー、ケンコーイ』で東南アジア文学賞とセブン・ブック賞を受賞した気鋭の若手作家。


*2:今回その同じ作家講演会で同氏が招へいされたということにご縁を感じました。国際交流の仕事はいつどこでどうつながるか分からないところも面白いです。





Thursday, April 1, 2010

満開の桜とともに新年度です♡



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こんにちは!一応任期は昨日で終わったけど*1しつこく登場のおひさまです。





4月1日、新年度ですね!今日から新社会人の皆さん、おめでとうございます!!


(*゚▽゚)/゚・:*【祝】*:・゚\(゚▽゚*)

基金も5名(+1名前年度早期入社)の方を新しくお迎えしました。新入職員入社式を終えると、人事課職員と一緒にぐるっと各部署へ挨拶にまわります。*2自分のときは13人と大人数採用だったので、挨拶の順番を待つ間もずっとドキドキしていた記憶があって、なんだか懐かしく思い出すと同時に、気持ちを新たにしました。春はそんな時期ですね♪





さて、冒頭の写真はそんな新社会人をお祝いするかのように満開に咲いている桜@新宿御苑入口です。基金本部が赤坂から四谷に移転してから2回目の春。お昼休みにお花見ができるのって贅沢だな~と思いつつ、入口まで行ってきました。カメラ・三脚やお弁当を持った人たちでいっぱい!団体バスでいらっしゃっている方もいました。風は強かったですが、明るい春の光で素敵な午後になったのではと思います。


どうぞ2010年度も、基金&ブログをよろしくお願いします!!\(^▽^)/


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☆おまけ☆昨年、新宿御苑の中で撮った写真です。今年もこれくらい咲いてるかな?




*1:ブログチームのメンバーは、毎年度任命されています。


*2:これってお役所流儀らしいですが、皆さんの会社ではどうですか?