Monday, November 5, 2007

日本研究機関支援プログラム、デリー大学、ネルー大学訪日研修



さてさて、今日はブログ初登場Tさんからの投稿ですよっヾ(▽^  )ゞ


ジャパンファウンデーションでは、世界各国で日本研究の中核を担っている大学や研究所に専門家を派遣したり、国際会議、学会などを通じて研究者のネットワークを広げていただくためのお手伝いをしています。


それが今回ご紹介する「日本研究機関支援」というプログラム。





漢字ばっかりでちょっと堅苦しそうだなぁ・・・o(;△;)oと思ってのぞいてみたら、インドから来日した皆さんの素敵な笑顔がたーくさん(≧∇≦)/ そして最後は涙涙の展開・・・!?





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平成19年度の日本研究機関支援プログラムの一環として、今回初の試みとなるインド人学生による訪日研修が、9月26日から10月6日まで行われました。訪日中、学生は基金の関西国際センターに宿泊し、そこから大阪、京都、奈良を回り、大阪大学や京都大学、また奈良の東大寺や京都の御所などを訪れました。あと京都の四条にある「国際マンガミュージアム」なんて日本のポップ・カルチャーにも触れましたね。*1





今回支援対象となった大学はともにインドのニューデリーにあるデリー大学ネルー大学。両大学ともインドではその創立当初から、ライバルとして、またインドを代表とするエリート校として、インド国内の高等教育を引っ張ってきた由緒ある大学です。デリー大学からの参加はカリヤンモイー・ダスさん、プーナム:タクールさん、ネトラナンダ・サフさん。そしてネルー大学からはスプリティ・セティさん、ディープティ・セティさん、チランジブ・サフーさんが参加しました。





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(右からスプリティさん、デープティさん、ネトラナンダさん、プーナムさん、カリヤンモイーさん、後ろチランジブさんと、私。)








参加者のうちスプリティさん、デープティさん、カリヤンモイーさん以外は今回が初来日どころか初海外経験。何もかもがインドと違い、最初は戸惑いもあったことでしょう。しかしそこはパワフルインド人たち、彼らの輪の中では笑い声が絶えることはありませんでした。





参加者は既にそれぞれの研究分野を持ち、京都大学や大阪大学では自らアポ取りをした上で大学教授と面接に行ったり、インドでは手に入りにくい専門書を購入したりと限られた研修時間を最大限活用しようとする姿に心を打たれました。





特に印象的だったのが、自然科学系出身のネトラナンダさん。研修中、どうしても会いに行きたい先生がいるというので、日本語が全くできない彼が京都大学の防災研究所へ一人で行った時のことでした。京都にある日文研を訪れるのが本来のその日の予定でしたが、京都駅までみんなで行った後、彼が乗るべき電車のホームまで連れていき、「この電車の7番目の駅で降りるんだよ」それだけ言って、彼を電車に乗せ、他の参加者は日文研のある桂駅まで移動しました。





心の中では拭いきれない不安がありましたが、その3時間くらい後に明るい笑顔とともに同じ電車から京都駅に戻ってきた時、彼の手には研究所の先生から渡された大学院進学のための研究課題がありました。「私はこの研究課題を提出して、来年には防災研究所で勉強する。」そう誇らしげに言うネトラナンダさん。教授との面接がよほどうまく行ったようで、彼は再会した友達に捲くし立てるように自分の体験談を話したのでした。「自分で自分の将来を切り開く。」そんなインド人のハングリー精神を見せ付けられた瞬間でした。





f:id:japanfoundation:20071101164101j:image:right研修も無事終わり、最後、みんなと空港でお別れをする際、いつも笑ってばかりのPoonamさんが突然泣き出してしまいました。「お別れは辛いけど、それだけ充実した時間を過ごせたんだね。またどこかで会いたいね。」そうお互いに言いながら、パワフルインド人学生による、笑いあり涙ありの訪日研修は幕を閉じたのでした。


(みんなの周りには常に笑顔が溢れてました。⇒)









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(楽しかった10日間もアッという間に、お別れの時間)




*1:ジャパンファウンデーションの定期刊行誌「をちこち」最新号でもマンガの特集を組みました。麻生太郎元外相の対談も注目されて朝日新聞でも紹介されたんですよ~!詳しくはこちら。ちなみに前号はインド特集でした!





Friday, November 2, 2007

NC研修事業めじろ押し(後編)



こんにちは。NCニコですヾ(*゚∇^*)ノ

10月31日の日記に引き続き、日本語国際センター(通称「NC」Nihongo Kokusai Center)*1より「NC研修事業めじろ押し(後編)」をお送りします。


日本文化紹介バージョンアップ企画」第2弾(現代邦楽コンサート)の余韻も覚めやらぬうちに第3弾プロジェクトとして、空手デモンストレーションをNC内ホールで行いました(-д(-д(`д´)д-)д-)





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教えてくださったのは(社)日本空手協会埼玉県本部の皆さんで、大人から小学校3年生まで、総勢14人で来てくださいました。小学生の中には、全国大会でベスト4までいった方もいました!同協会埼玉県本部の神田副理事長が解説し、技の型の紹介に始まり、1対1での取り組みなど、勇壮な姿を皆さんで披露してくれました。とくに面白かったのは護身術で、たとえば「後ろから羽交い締めにされたらどうしますか」「腕を強く捕まれてしまったらどうしますか」といった問題が与えられたとき、素人だとどうにもこうにもならないのですが、空手の技を使うと見事にするりと振りほどくことができたりするのです。





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研修参加者からも数名が、護身術を先生から直に教わりました。神田副理事は、「相手を振り払ったら、相手と戦おうとせず、まずその場から逃げることが大事だ」と念を押していました。デモンストレーション終了後もなかなか興奮が冷めやらなかったのですが、記念写真を撮り、無事終了となりました。空手のデモンストレーションをNCで行うのは始めての試みでしたが、今回の成功を踏まえ、神田副理事からは「ぜひ定期的に開催したい」とのありがたいお言葉をいただきました。(ο^ ^ο) にっこり





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今日も研修参加者インタビューをしたいと思います。ご紹介するのは、ドミニカ共和国の日本・ドミニカ文化センター日本語学校で教えていらっしゃるラモス・アリスメンディさんです。



NCニコ(以下、「NC」):アリさんは、こないだの現代邦楽コンサートで出演した演奏家たちがドミニカ共和国で公演したとき、きてくださったのだそうですね。


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アリスメンディ(以下、「アリ」):はい。サントドミンゴ公演に行きました。初めは僕の教えている学校の日本人の先生が新聞に公演のお知らせが載っているのを教えてくれて、生徒たち50人くらいと一緒に聴きに行ったんです。日本に関するイベントは全部行くようにしていますから!その前の年にあった、和太鼓「小太郎」の公演も聴きに行きました。


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NC:東京打撃団の「小太郎」も聞いてくれたんですか?実はあの公演も私が舞台芸術課のとき担当していたんです。まさかあれらの公演を聴いてくれた方にここ浦和でお会いできるとは思ってもみませんでした。ご縁ですね。…ところでアリさんはどうしてそんなに日本語がお上手なんですか?いつから勉強し始めたのでしょうか。





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アリ:5~6年前からです。子供の頃に空手・合気道の道場に通っていたことがあって、日本の文化にはもともと興味があったのですが、大学では日本語を教える学科がなかったので、2年間、日本語学校に週1回通いました。その後は、教師として教えるようになりました。


NC:2年勉強しただけで、そんなに上達したなんてすごいですね。他に何か秘密があったのでは?日本人のお友達がたくさんいらっしゃるとか?

アリ:日本の友達はたくさんいますが、2005年の愛知万博のときにできた友達が多いですね。愛知万博のとき、メレンゲ*2のレッスンの講師として日本に来たのです。1日に3回、万博のドミニカ館でレッスンが開かれて、そこで講師として教えていました。万博の後も3ヶ月、日本に滞在して名古屋で日本語を勉強しました。講師といっても、ドミニカではみんな踊れるのが当たり前なんですよ。ホームパーティなどでみんな踊りますし、「踊らない子供はケーキを食べちゃダメ!」と言われたりするので、子供たちもみんな自然に踊るようになるんです。メレンゲを踊るのは、日本人にはちょっと難しいようですね、特に腰の動きが…ヾ(~O~;)


NC:そういえば愛知万博のとき、メレンゲのヒーローといわれるセルヒオ・バルガス氏の来日計画があったようなのですが、結局うまくいかなかった話を思い出しました。代わりにアリさんが踊っていたわけですね♪それにしても、2年間、週に1度のレッスンを受けて、3ヶ月日本に滞在して、そこまで日本語が上手になるというのは稀だと思います。


アリ:いえ、そこまで上手ではありません…。でも僕は、日本のドラマを見るのが大好きなんです。インターネットで買って、いろいろ見ました。一番好きなのは「電車男」、あとは「Love Generation」、「Long vacation」など。キムタク大好き!映画も好きですね。「東京タワー」とか。黒木瞳が好きなんです。あとは松嶋菜々子、深田恭子などなど。みんな、英語字幕が付いているので、最初は字幕を見ながら理解して、繰り返し見ているうちに日本語が理解できるようになったんです。


NC:私も見習わなくては( ̄ω ̄;)アリさんが教えている日本語学校の生徒さんたちも、そうした動機で日本語を習い始める人が多いですか?


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アリ:そうですね。僕の学校には生徒が150人くらいいますが、みんな漫画とアニメが大好きで、アメリカからインターネットで買っています。ドラゴンボール、るろうに剣心、NARUTO疾風伝・・・。NCニコさん、”NARUTO”知らないんですか?2年くらい前のですよ~。僕自身は漫画やアニメよりもドラマ・映画のような実写の方が好きですが、そのほか、僕はJ-POPが大好きなんです。L’Arc-en-Ciel、Gackt、LUNA SEA、宇多田ヒカル、倖田來未など。今は研修が大変で、なかなか音楽も聴く時間がありませんが。


NC:研修生活はどうですか?


アリ:大変ですが、今のところまだ大丈夫です。授業と宿題がとにかくたくさんあって。朝9時から5時まで授業を受けて、その後ご飯を食べて、大体夜2時くらいまで勉強しています。遊びに行く時間がないのが困りものですが、それでも土日はあちこちでかけます。僕は日本のお寺や神社を見るのも好きで、今週末は大宮の氷川神社を見に行く予定です。趣味はお寺に関する本を集めることで、将来はドミニカで日本のお寺を紹介する本を書くのが夢です。ドミニカでは宗教といえばキリスト教しかないのですが、日本では仏教や神道が混在しているのが面白いです。



アリさん、ありがとうございました(*^-゚)v ドラマやJ-POPが好きで秋葉原に毎週のように行っているとおっしゃるかと思えば、寺社仏閣に興味をもたれるという面もあるんですね。「金閣寺より三十三間堂や法隆寺が好き」なんて、渋好みな方ですよね。3月までの研修を、楽しんで頑張っていただきたいと思います。





NCでは10月25日に、国際交流基金の活動を応援してくださるJFサポーターズクラブの会員向けのイベントとして、希望者の方をNCにお招きし、研修事業の授業見学会を実施しました。詳細は後日JFサポーターズクラブのウェブサイトでご紹介する予定です。こちらもお楽しみになさってください★,。・:*:・☆゚





ちなみに・・・9月25日9月26日にご紹介した『エリンが挑戦! にほんごできます。』のDVD(+テキスト)1~3巻がオンライン上でも買えるようになっていますので、改めてご案内します。基本的な日本語スキットはもちろん、日本での生活が生のまま見られる映像素材としてもとても面白い内容になっています。ぜひご覧ください。JFサポーターズクラブ会員の方、そして国際交流基金のJFICショップでは割引価格でお買い求めいただくこともできますヨ( ゚ー゚)/





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また北浦和から登場させていただきます。それでは、また!!




*1:10月25日にはJFサポーターズクラブのイベントとして日本語国際センター授業見学会を行いました。発音トレーニングから教材開発研究のクラスまで、当日の様子はこちらでご覧いただけます♪


*2:ドミニカ共和国発祥のラテンダンス





Thursday, November 1, 2007

速報!!!海外日本語学習者298万人!!



お久しぶりです、潮風です。


いきなりですが ↓↓↓









機関数       13,639 機関


教師数       44,321 


学習者数   2,979,820 






これ、なんだと思いますか?⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒ (@゚ペ@)  !!!





これは、これは、・・・・

10月31日にジャパンファウンデーションが発表した、*1、世界では日本語教育がどんな状況で行われているかを示す数字です。





名前は海外日本語教育機関調査


前回調査は2003年だったのですが、機関数・教師数・学習者数が全て増加。実はこれ、1970年代からずーーーーと順調に伸びているのです!!!!

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さて、この調査、どうやって行われているのかというと。。。全部アンケートなんです。言うまでもなく、世界の皆様の協力の賜物☆☆そしてぶっちゃけ、かなり地道な作業です。世界中に約2万7千枚配布して、2万枚くらいを回収して、集計して積み上げた数字なんですから。協力していただいた世界中の方々、この場を借りて、ありがとうございましたっ!ぺこ <(_ _)>





この調査の結果概要速報版は、ホームページに掲載されていますので、ゼヒご覧ください。


http://www.jpf.go.jp/j/japan_j/news/0711/11-01.html





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この速報発表にあわせて、昨日は「機関調査記者発表会&パネリスト討論会」が実は行われていまして、パネリスト討論会に以下の3名の方々にいらしていただいていました。*3

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佐々木かをりさん    (株)イー・ウーマン 代表取締役社長


                 (株)ユニカルインターナショナル 代表取締役社長


西原鈴子さん      東京女子大学 現代文化学部 教授


                 元日本語教育学会会長


アーサー・ビナードさん  詩人






パネリストの方々には、発表した調査結果・分析を受けて、日本語教育に関してのお考えなどをお話いただいたのですが、当日会場にいた潮風も、受付に座りながらふむふむと聞いていました。





中でも・・・





佐々木さんは、ご自身がアメリカで日本語を教えていた経験があることを明かしながら、全体として学習者が増加はしているものの、最近の海外のビジネス関係セミナーでは日本の分科会よりインド・中国などのほうに人が集まっていて、日本の魅力が低下しつつあるのでは?との懸念を口にされました。その中で、やはり「言語を学びたい、その国をもっと知りたい」と思うには「人との接触」が大きく影響しているので、「いい先生」を育てることが大事なのでは、と、




また西原さんは、調査の結果から初・中等教育機関*5の学習者が全体の6割も占めることが判明したことに触れて、学習者にとって言語を学ぶ理由が、授業として習わされる「外発的理由」と、自分でその言語を学びたいという意思をもって学習する「内発的理由」の2つもちうること、そして初等教育などの早い段階で子どもたちに外国語学習の機会を与えることは自分の文化のことも知るいいきっかけになることを、





ビナードさんは、学習者数がどれだけ増加しても言語教育は1人1人のレベルで取り組むことが何より大事であり、また元日本語学習者のお立場から、日本語を学んだことによって英語の「cold」を示す概念が日本語では「寒い」と「冷たい」に分けられることを知った、という例を用いながら、言語を学ぶことは自分の中に新しい尺度や考え方を生み、自分のことを改めて知ることができる、と





話されていたことがとっても印象に残っています。


3人の方々は財界人、日本語教育学専門家、詩作家というそれぞれ違う立場でいらっしゃるのに、学習者1人1人にとって、どのようにしたら日本語学習経験がよいものになるのか、という視点をもってらしたように思え、潮風も日本語事業部の一員として非常に共感したのでありマス。





ジャパンファウンデーションは、この調査結果を受けて、日本語教育事業の更なる充実の必要性を認識し、これからもガンバリマス!!  


レッツ━━━━━━o(・∀・)○━━━━━━ゴー!!




*1:調査は2006年11月~2007年3月を対象にしています


*2:クリックして拡大するか、下のHPで見てくださいね


*3:討論会には、JF理事長も参加しました


*4:撮影:柴原三貴子


*5:日本の小・中・高等学校にあたります。国によって卒業する年度が違ったり、小中一貫・中高一貫など一貫教育があったり、様々なようです。