Friday, February 29, 2008

 ピラミッドを借景に、大空を凧が舞う!



みなさんこんにちは、オレペコです。




f:id:japanfoundation:20080208135126j:image:left突然ですが、こーいう写真、最近新聞でご覧になった方、いらっしゃいませんか?割と多くのメディアで取り上げられたので、記憶に残っている方もいらっしゃるかも*1





実はこれにはジャパンファウンデーションの活動が絡んでいるんです。日本の皆さまにはなかなか見えにくい海外事業。少しでも具体的なイメージを持っていただければ、ということで、今日はカイロからの報告をお届けします!





~~~~~~~~(゜-^*)↓~~~~~~~~~~~





こんにちは。スッカル@カイロです。




ジャパンファウンデーションのカイロ事務所*2に赴任して2ヶ月がたちました。「エジプトとの文化交流を盛り上げたい」と気合が入りますが、ここは文明発祥の地。歴史的文化遺産の宝庫に来たからには、それらをまずは堪能したいという気持ちも自ずと沸いてくるというもの。ピラミッドは、そのなかでも筆頭のマスト・アイテムですが、私は赴任早々にジャパンファウンデーションならではの「役得」なピラミッド体験をすることになりました。





それは、 w(*゚o゚*) ピラミッドで凧揚げ (*゚o゚*)w





2月8日、KKギザの三大ピラミッドをバックに、何百もの凧が青空を優雅に舞いました。発案者は石川薫駐エジプト大使。この魅力的なアイデアにジャパンファウンデーションが賛同し、凧の専門家、大橋ご夫妻を日本から招いてこのイベントを企画しました。





f:id:japanfoundation:20080208135606j:image:right加したのは、エジプトと日本両方から子ども達を中心に100名くらい。自分たちで作った凧を揚げる子もいれば、大橋さんが持ってきてくれた色・形さまざまの凧を揚げてみる人たちもいます。糸を伝って大気の流れを感じ、その変化にあわせて凧を自分の力で操作するというシンプルな行為が、なんと楽しいことでしょうか!私自身も、気がつくと主催者である立場を忘れ、大空相手に凧揚げに没頭していました。





めつけは、大橋さんの発明した「アーチ凧」。これは連凧の一種ですが、二箇所から揚げて空にアーチをかけるのがユニークです。発明のポイントは二つあって、ひとつは一直線の連凧とちがって、切れても飛んでいってしまわない点。もうひとつは力が分散されるので何百もの凧をあげても人力だけで支えられる点です。大橋さんは、これまでに湾岸戦争直前のクウェート・タワーや、壁崩壊前後のベルリンなどでこのアーチ凧を揚げており、とうとうピラミッドという長年の夢を果たしたのでした。ピラミッドをバックに300個、連凧の間隔が1.5mですから半キロほども広がった連凧のイメージは壮観でした。おそらくは、これが歴史上初めてのピラミッドでの連凧揚げであり、今後もこのような機会はそう簡単には訪れないとでしょうから、なかなかな歴史的事業であったと言えるかもしれません。





回凧の専門家に日本から来ていただいたのは、ただ凧を揚げてもらうためではありません。自分で創った凧を揚げるほうが喜びはひとしおというもの。子ども達に凧を作ってもらうワークショップを企画しました。





とつは当地日本人学校で。桃太郎や龍やピカチュウの図柄をウォッシュプリントした縦30cm×横15cmほどの和紙に、生徒たちがマーカーで色をつけていきます。絵ができたら、竹ひごを、セロテープで接着。上から3分の1程度のところに空いている小さな穴に凧糸を結びつけ、最後にしっぽをつけてできあがり。この和凧が、後日、ピラミッドで軽々と舞い上がりました。





f:id:japanfoundation:20080209104027j:image:leftう一つのワークショップは、城壁に囲まれたダルブ・アル・アハマルという地域に住むエジプト人の子ども達対象で、こちらは大橋さん発明のビニール素材の「インベーダー凧」に思い思いの絵を描きました。このダルブ・アル・アハマルですが、地域再開発の一環でゴミの山を掘り返したら、十字軍から街を守ったという城壁が出てきたことで俄かに注目を集めたコミュニティです。その後、アガ・カーン財団の支援を得て、住民の意識向上を通したコミュニティの活性化がすすめられています。このワークショップを実施するにあたって、街づくりの将来を担う子ども達に、ものづくりの楽しさを味わってもらいたい、というささやかな願いをもっていました。コミュニティに隣接する公園で嬉々として凧揚げに興じる彼らの姿を見て、その願いは達せられたように思います。





くまで印象論ですが、日本の子ども達は学校教育のなかで図画工作の訓練を受けていて、とても器用に先生や見本の模倣をすることができます。一方、エジプトの子ども達の多くは切ったり貼ったりといった作業にはぎこちなさがあって、大人のサポートが必要な子が多くいたけれど、色を塗るとか絵を描くという面では、個性的な表現が多かったように思います。







回お招きした凧専門家、大橋栄二・瑛子ご夫妻*3は、1年の半分以上は凧の実演、指導で世界中を飛び回っています。f:id:japanfoundation:20080208124942j:image:left世界中に友人をもち、そのなかには凧の世界大会で有名なマレーシア、ジョホールの藩王もいらっしゃるとのこと。その快活ぶりから70代とは信じがたいお二人の健康の秘訣は、「好きなことを思う存分楽しむこと。」夫婦が同じ楽しみを共有しているお姿に学ぶところ大でした。





て、こうしてワークショップに子ども達とともに参加したカイロ事務所のスタッフは、晴れて大橋師匠の免許皆伝、凧指導をどんどん展開するようお達しを受けました。そこで、2月27日と28日、カイロの民間文化団体の5周年記念フェスティバルでブース出展し、折り紙と凧作りのワークショップを運営しました。パンフレットを置いているだけの他のブースとは段違いにたくさんのお客さんが集まってくれて、みんなで凧づくりと折り紙を楽しみました。ただし材料の調達に問題あり。竹ひごがないので、市場調査の結果見つけたのが、ケバブ串。ちょっと重くて、オリジナル作品より飛びが悪くはありますが、一生懸命走ればフワリと浮かび上がります。 (完)


----------------


竹ひごの代わりにケバブ串とは、なんともエジプトらしいですね!


今後の展開が楽しみです。そのうち、お手製の凧で遊んでいる子ども達をエジプトのあちこちで見かけるようになったりしてo(^^)o


JFブログ「地球を、開けよう」では、今後も世界各地でのいろんな事業をご紹介していきます。お楽しみに~。





~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




*1:たとえば産経新聞や、毎日新聞のウェブニュースに掲載されました。あと、ブログでこの事業に関する日記を書いてくださっている方もたくさんいらっしゃいます。たとえば、そのまたそのうえさん、CurryBeansさん、姫林檎さん、tkayaan39さん、tkakt_v3さん、馬事豆腐さん、tori279さん、ahirukotekitaiさんなどなど。やっぱり、ピラミッドと青空と、凧と・・・という風景は、多くの人にとってすごく印象的なんですね!


*2:ホームページはこちら。英語とアラビア語の2バージョンがあります。右から左に書くアラビア語の画面、全く読めませんが(苦笑)、見ているだけで雰囲気が感じられておもしろいです。ぜひ訪れてみてください!(こちら


*3:大橋さんの凧をご覧になりたい方は、こちらのサイトで。





Wednesday, February 27, 2008

来週、福岡で、出会ってみませんか。






みなさんこんにちは、オレペコです。


今日は、梅が見ごろの大宰府観光(!)と併せてぜひ足を運んでいただきたいシンポジウムを紹介しましょう。        



(゚∇^*)ノ日系アメリカ人リーダーシップ・シンポジウム


 「日系アメリカ人との再会 -移民100年の歴史を越えて-」   


  日時:2008年3月6日(木)14:00~16:00(13:30開場 入場無料)


  会場:アクロス福岡 国際会議場 (福岡市中央区天神1-1-1)


  主催: 国際交流基金日米センター(CGP)、全米日系人博物館


  共催: (財)福岡国際交流協会(財)福岡県国際交流センター


  後援: 福岡県、福岡市、在福岡米国領事館


 ※パネリスト、申し込み方法等詳細はこちらをご覧ください。


f:id:japanfoundation:20080227161057j:image:rightこのシンポジウムの参加パネリストは3名ですが、実は今回のシンポは全米各地において様々な分野で活躍している日系人のリーダーの方々に、日本との関係を深めてもらう目的で実施している「日系アメリカ人リーダー招へいプログラム」*1の一環として行われるものなので、この時期、13名もの日系アメリカ人の方々が日本にいらっしゃいます*2





「きっといろんなバックグラウンドの方がいるはず!」


「どんな方がいらっしゃるのか、シンポジウムの(見どころならぬ)聴きどころも知りたい!」


ということで、早速担当者のTさんにこっそりお話を伺ってきました。すると、「オーラル・ヒストリー」「伝承プロジェクト」「JAJA」・・・等いろんなキーワードが飛び出してきましたよ!





―今回の訪日前に、みなさんLAに集まってオリエンテーションをやりましたよね?Tさんも参加されていましたが、どのような内容だったんですか?


政治・経済・文化といった、日本全般に関するレクチャーのほか、日系人の歴史についても専門家の先生にお越しいただいてお話いただきました。最近は日系人の世代交代がどんどん進んでいることや、歴史的な経緯から、好むと好まざるとに関わらず「日本人であること」よりも「アメリカ人として現地コミュニティに溶け込んでいくこと」を選んだ方たちも多く、必ずしも日本について詳しい知識を持った方ばかりではないんですよ。





―参加者の略歴を見ていると、様々な分野で活躍されている方ばかりですが、その活動の一端を紹介していただけますか?


まず、シンポジウムのパネリストでもあるトム・イケダさんは、オンライン上で「日系人の歴史の伝承プロジェクト」というものを立ち上げていらっしゃいます。このプロジェクトは、高齢化が進む日系一世、二世へのインタビュービデオや写真などの資料をデジタル化して保存していくプロジェクトで、これにより、日系一世、二世の体系的な歴史編纂に取組んでいらっしゃるんです。ちなみにトムさんは、シアトル出身で、マイクロソフト(がまだベンチャー企業であったころ)のご出身!そのご経験を存分に生かしてこういった活動をされているわけです。


オレペコDenshoサイトを覗いてみると・・・1996年からの活動で、既に約550時間分ものオーラル・ヒストリーや、約9,000点もの写真、資料などがアーカイブ化されているようです。日系一世、二世の方々から直接お話を伺える期間には限りがあるということを考えると、、、とっても貴重な資料ですね。ちなみにこれらの資料は、学校での授業で利用したいと考える方や日系人の歴史を研究していらっしゃる方々等にも広く提供されています。見てみたい方は、こちらへ。





それから、スタン・ナカゾノさん。


この方は、作家であり、編集者であり、映画製作者でもあるという、マルチな才能をお持ちの方なのですが、2004年に、ニューヨークにおける「若手日系米国人」と「在米日本人」のコミュニケーションをもっと深めることを目指すJAJA(Japanese-Americans, Japanese in America)をつくられました。日本人あるいは日系人がたくさん住んでいるニューヨークでさえ、それらの人々の横のつながりが非常に弱いことに驚いたことが、JAJA立ち上げのきっかけなんだそうです。加えて、戦争前後に移住したいわゆる「伝統的な」日系人のほかに、最近になって移り住んだ「新しい」日系人、それから一定期間のみアメリカで暮らす在留邦人など、「日系」とひとくちに言ってもいろんな性格の人たちが混在する世の中になってきたので、同じ「日本」の血を引く人たちどうし、もっと開放的で多様なコミュニティーを作りたい、という思いがあるようですよ。





―ジャジャ(JAJA)ですか!かわいい名前ですね(笑)。さて、最後になりましたが、シンポジウムの聴きどころを教えてください。




今回のシンポジウムでは、先ほどご紹介したトムさんが、伝承プロジェクトに基づいた日系アメリカ人の歴史の概観をお話してくださいますし、サチ・コトさん*3とマーク・ヤマカワさんはルーツが今回の開催地、福岡で、そうしたことも含めたパーソナル・ヒストリーをそれぞれの切り口で語ってくださることになっています。





これまで5回実施してきたシンポジウムでは、「アジア系アメリカ人の多様性:連帯に向けて」、「多文化共生実現への道:マイノリティの視点から」等々、現代の課題と絡めたテーマについても議論してきたのですが、福岡から移民が渡って一世紀以上の年月が流れた今回、原点に立ち戻って「日系アメリカ人との再会」というテーマで実施できることは、非常に意味があることだと感じています。日本のみなさんにも是非知っていただきたいストーリーがたくさん出てくると思いますので、ぜひお運びください (^▽^)/


・゜゜・。・゜゜・。・゜゜・。


Tさん、ありがとうございました!


お申し込みの詳細はこちらにあります。


申し込み締め切りは3月5日(水)です。みなさんのお申し込みをおまちしています!!!




*1:プログラムの概要、これまでの実績などはこちらのサイトをご覧ください!


*2:ロサンゼルスのUTBというテレビ局のサイトでも、こんな風に紹介されていますよー⇒こちら


*3:この方は、前回のシンポジウムでもスピーカーとして参加されていました。そのときの情報は、こちら!また、シンポジウムでサチ・コトさんが触れていた、”engrish.com”に関する記事は、こちら





Tuesday, February 26, 2008

冬の越後を旅してきました。



こんにちは、みかんです。2月ももうすぐ終わりですね。


我が家では梅の花が咲き始めました。





都内では春の足音も近づいていますが、実は先週末、まだ真冬の新潟に行ってまいりました!この寒い季節に一体何をしに…?




越後妻有トリエンナーレってご存知でしょうか。簡単にいうと、アートによる地域活性化の取り組みです。三年に一度、十日町、中里、津南、松之山、松代、川西という6つのエリア(なんとその広さ、760平方キロメートル)で展開される現代美術の祭典で、2006年には第3回の越後妻有トリエンナーレが開催されました。*1


トリエンナーレは通常夏の時期に開催されるのですが、今年は2月に冬のアートツアーというイベントがあり「これは面白そうだ!・・・」思い切って休暇で訪ねてみることにしたのです。








こんなに雪が深いとは!


f:id:japanfoundation:20080217082526j:image:left





バスに乗っていると、こんな雪景色が延々と続くんです。


雪に慣れていない私たちは、移動だけでも大騒ぎ。現地でお借りした長靴を履き、こわごわと雪の坂道を歩きます。


そんななか、心あったまるのが、なにより集落の元気な皆さんとの触れ合いだったんです。どこに行っても「さあどうぞどうぞ、入ってください。」という雰囲気で、旅行者の私たちをもてなしてくれます。


地元は高齢者が多くなっていて、屋根で雪掘りをしている方を見ても、若い人は本当に少ない。おじいちゃんやおばあちゃんが、いわゆる「現代アート」に誇りと親しみを持って、訪れた者を案内してくださるのです。かつて自分の通った小学校や同じ集落の住民がいた民家――きっといろんな思い入れのつまった空間なのだと思います。放っておいたら見捨られてしまったかもしれない場所。そこには今、アートによって再生されたことに喜びを感じる表情がありました。





こんなワークショップを体験しました。


f:id:japanfoundation:20080216150051j:image:right





アートツアーは、かまくらを使ったピンホールカメラ、雪原を橇で走るプロジェクトなど、建築をはじめ冬でも楽しめるスポットを数箇所見て回ったのですが、面白かったものの一つが空家を改修した写真館。


写真家の倉谷拓朴さんが遺影を撮影してくれるんです。


スタジオはこんな感じ。生きているうちに自分の遺影を取ってもらう、近しい人たちに見つめられる自分の姿を想像する、そんなことなかなかないですよね!アーティストたちの作品は、私たちが日常気づかずにいるような、新鮮な感覚を呼び起こしてくれたように思います。





文化交流について、少し考えてみたこと。


ジャパンファウンデーションでの仕事を始めてから、色んなところで質問を受けることがあります。修学旅行の生徒さんから、企業から、NGO団体から、世間から、友人や家族からも、です。


「なぜ文化交流なの?」極端な場合は「食べ物や医療、教育も十分に保証されていない人が世界にはたくさんいるのに、文化に税金を?」と厳しく突きつけられることもあります。「文化や芸術って、所詮余裕があるからできるんじゃないか…?」「役に立ったか、貢献したのか、数値にならない価値をどうやって評価するのですか?」と聞かれることもありました。


どれも、ジャパンファウンデーションはじめ、文化交流に携わる者が真摯に考え続けなければいけなければならないことだと感じています。


なぜこんなことを書いているかというと・・・今回越後妻有を訪れて、アートの持つチカラを改めて肌で実感したのです。


ツアーのガイドさんからは、トリエンナーレの始まった頃は、現代アートなんてわけもわからず、作品設置にも反対する集落が多かったと聞きました。しかし、今では人々によってアートがその地に根づき、地域がアーティストによって再発見されている。それは、一度妻有を訪ねれば、きっと皆さんにも感じていただけます。


共感が広がるアートだからこそ人と人が結びつく。


そんなところにも、まだまだ文化の可能性があるんじゃないかな、と思った旅でした。








都市や地域に活力を与えるアートについて、ジャパンファウンデーションでは、


都市を刺激するアート」と題したイベントを行います。


入場無料、詳細はこちらのサイトをご覧下さい。皆様のご来場お待ちしております。





日時:2008年3月9日 日曜日 13時30分から17時(予定)


会場:金沢21世紀美術館




*1:ちなみにジャパンファウンデーションではその功績をたたえ、アートディレクター北川フラムさんを2007年の国際交流奨励賞として表彰させていただきました。





Friday, February 22, 2008

[世界からの]割り込み乗車は常識!?世界の電車マナー



皆さん、こんにちは。満員電車での通勤に今日もヘトヘトの三富です。




先日オリコンが電車やバスでの通勤中、イラッとくる他人の行動について1都6県に住む20代~40代の働く男女に対して行ったアンケート調査では、65.2%の人が乗車時にちゃんと並ばず、割り込んで乗車することを挙げているそうです*1


その他、上位には、携帯電話で話している(57.1%)、足を広げて座席に座っている(52.9%)、化粧をしている(32.4%)などがありました。




上位にランキングされているものに限らず、驚くべきマナー違反を目にすることが度々ありますが*2、それでも日本を訪れる外国の方々からは、車内がきれいであることや電車が時間通りに運行することのみならず、「日本人の乗車マナーは素晴らしい!」といった話を聞くことがあります。





最近車内や改札口周辺で乗車マナーを啓発するポスターをよく目にするように、日本においてもモラルの低下が叫ばれていますが、それでもなお「日本人の乗車マナーは素晴らしい」と海外の人々に言わしめるのには、理由があるはず!!





海外での電車・バスの乗車マナーはいったいどうなっているのか、国際交流基金の海外事務所の方々に、現地の事情を聞いてみました。





まずは、ニューヨークから。



ニューヨークでは、混んでいる電車や閉まりかけのドアに無理して乗り込んだりする光景はあまり目にしません。さっさと諦めておとなしく次の電車を待つことが多いようです(エレベーターなどでも同じです)。


時間に余裕がある(時間にルーズ?)から為せる業でしょうか。





日本ほど「他人の目」を気にするお国柄ではないので、我々から見ると車内の雰囲気も自由。現地の人に聞いても、そもそも「車内マナー」に相当する単語がない様子。


駅の構内ではアーティストのパフォーマンスも頻繁で、それが車内で行われることもあれば、演説をする人、物乞いなども出没します。





ニューヨークの地下鉄は24時間走っているので便利な一方、時刻表というものがないため、時間が読めずに困ります。ホームの端に立って、電車の来る方向をじぃーっと眺めている人を多く見かけます。





また曜日や時間によって、電車が止まらなかったりホームが違ったりということもよくあります。降りたい駅を通過してしまったり、待っても待っても乗りたい電車が来なかったり・・・。そうした車内放送が聞き取りにくいのも特徴でしょうか。





また地下鉄は道路のすぐ下を通っているため、夏の暑い時期など地表の熱がそのまま伝わってきて、駅はとても蒸し暑くなります。






つづいてジャカルタから。



「整列乗車って何ですか???」



ヾ(;´Д`●)ノぁゎゎ





そしてサンパウロ



ブラジルでは、(予想に反し?)乗車前の整列は習慣として定着しているようです。


しかし!ドアが開いた途端、一人も降ろさせない勢いで車内に雪崩れ込みます(これは予想通りでした・・・)。このアンバランスな感覚に、規律正しい日本人は、初めはなかなか馴染めないようです。





携帯電話は、話したくとも、メトロの多くの駅で改札からホームに降りた時点で電波が入りません。この辺りはインフラの要改善点とも思いますが、おかげで、携帯で大声で話す乗客は見当たりません。その代わり通常のおしゃべりが異様に大声というオチはありますが、ご愛嬌です。





整列や携帯電話以外のマナーに関しては、可もなく不可もなくといったところです。メトロ内に設置されたTVでマナー講座のようなCMも見受けられるのは、感心します。





また、メトロでなくバスでの習慣ですが、料金は前払い制で、車掌にお金を渡すと奥へ通してくれます。高齢者や幼児、身体の不自由な方などは、料金なしで車掌席の手前にある数席に座ることができます。微笑ましい光景です。


しかし幾度か車掌ウォッチングを続けた結果、車掌によっては、高齢者から料金を徴収している人も・・・!


本当にブラジルは、ルールがあるのかないのか分からないところが奥深いです。






最後にカイロからは、電車やバスではなく、タクシーについて興味深い情報が寄せられました。



先日、とあるホテルで食事をして、ホテルのゲートからドアマンにタクシーを呼んでもらったところ、やってきたのが何の変哲もない普通の乗用車。通勤帰りの中年サラリーマンという風情で、どこがタクシー??どうやら、カイロでは副業として私用車をタクシーにして小金を稼いでいる人たちがいて、特にホテルなどに寄生することによって、見た目にはタクシーとわからなくとも問題なく営業できているのです。






(~ヘ~;) 所変われば、乗車マナーや交通事情もさまざまです。外国の方々からは、まだまだ評価されている(らしい)日本の乗車マナーですが、将来日本を訪れる外国の方々に眉をひそめられることのないよう、これからも乗車マナーの改善に努めていかねばなりませんね。





さらに、サンパウロからは日伯交流年に関する追加情報が!!


ちなみに本年は日伯交流年で、本ブログでも話題に取り上げられましたが*3、メトロ運営機関同士でも交流が行われます。





まず東京のメトロ。本年4月23日(水)に、皇族、両国外務大臣・首脳などによる政府公式記念行事が予定されています。





同日程に合わせ、東京メトロが交流年の宣伝を企画しているようです。


次にサンパウロのメトロですが、こちらは本年6月(移民船笠戸丸が100年前にサントス港に入港した月)に、駅および車内で交流年の宣伝広告が実施されます。



東京メトロの日伯交流年に関する宣伝企画とはどんなものなのか?ちょっと楽しみですね。都内にお住まいの方、またこの期間中東京にご旅行・ご出張の予定のある方。東京メトロの宣伝広告に注目してみてください。




*1:詳細は、こちら。ちなみに、(社)日本民営鉄道協会も「駅と電車内の迷惑行為ランキング」を発表しています。こちらでは、3年連続「座席の座り方」が迷惑行為のNo.1として挙げられています。


*2:この間は、朝の混雑する通勤電車内で、アンメルツヨコヨコをおもむろに鞄から取り出し、首筋に塗りたくる人を目撃しました。オイオイ・・ (;´д`)ノ 微香タイプだったのが唯一の救いでしたが・・・。


*3日本とブラジル、新しい100年がいま・・・





Thursday, February 21, 2008

『日本語教師必携「レアリア・生教材」』シリーズ



皆さま、突然ですが、「レアリア・生教材」ってなんのことだかご存知ですか?


たとえば、こういうものや


f:id:japanfoundation:20080221152407j:image


こういうものも「レアリア・生教材」です。


f:id:japanfoundation:20080221152445j:image








「レアリア・生教材」とは、ことばの教育の場で使われる

「実物」、授業のために作られたものではない、「ほんとうのもの」のことを指します*1





今日は、このような「レアリア・生教材」を使った国際交流基金制作の、





f:id:japanfoundation:20080221151351j:image:left


『日本語教師必携「レアリア・生教材」アイデア帖』


 発行:スリーエーネットワーク http://www.3anet.co.jp/


 著者:国際交流基金


 税込1,890円




















f:id:japanfoundation:20080221151715j:image:left


<新発売>


『日本語教師必携 すぐに使える「レアリア・生教材」


 コレクションCD-ROMブック』


 発行:スリーエーネットワーク


 著者:国際交流基金


 税込み3,150円


 (全国の書店でご購入いただけます)

















をご紹介したいと思います。





皆さん、語学の授業で、教科書に載っていた地図やレストランのメニューのイラストを見ながら”How can I get to~?”とか、”I’ll take~”などの練習をした記憶がありませんか?





「レアリア・生教材」を使った授業では、イラストの代わりに本物の地図が、本物のメニューが使われます。それには、どんな効果があると思いますか?





日本語の授業でも、本物を使うことによって、現実のコミュニケーションに近い状況でことばの勉強をすることができるのです。日本語を学習する人は、「日本の街はこんなふうになっているのか」「日本のレストランではこんなものを食べられるのか」など、現実の日本に関する情報を得ることができるのです。





それだけではなく、日本に実際にあるものに触れることは、「これは何に使うのだろう」「どうしてこういうものが必要なのだろう」「こういうものが必要とされる背景は何なのだろう」と、日本の習慣や考え方、自分の背景にある文化との違いや共通点を考えるきかっけにもなります。





ただ「本物」を使って勉強をするだけ、のように見えるかもしれませんが、ことばを教える/学ぶ中で「レアリア・生教材」を使うことは、文化理解や、異文化の中で自分の立場を見つけることの第一歩となり得るのです。 だいじなとこ!f:id:japanfoundation:20080221153308j:image:right








そう考えながら見渡してみると、私たちの周囲には「レアリア・生教材」があふれています。街を歩いて目にする看板から、郵便受けに入れられるチラシ、駅の路線図に食品パッケージ、雑誌や新聞の記事……。そればかりか、ペットの写真や旅行先で撮った写真、家にある雑貨、夏祭りの音や虫の音なども「レアリア」なんです。





ただ、こんなに材料がある上に、その利用法は本当にさまざまです。教える立場の先生方も実際にどのように授業で使ったらよいのか、迷ってしまうことがあると思います。日本語の先生でなくても、外国人の友達にちょっと日本語を教えたい、日本のことを知ってもらいたいと思ったことはありませんか?





そんな時に役立つ「レアリア・生教材」のいろいろな使い方を提案するのが、


国際交流基金制作『日本語教師必携「レアリア・生教材」アイデア帖』(以下、『アイデア帖』です。





目次をご紹介すると…




1.食品のパッケージ


2.チケットの半券


3.薬の箱や袋


4.料理メニュー


5.折り込み広告やチラシ


6.雑誌の公告のためのページ


7.路線図


8.自治体からのお知らせ


9.旅行パンフレット


10.贈り物のパンフレットやカタログ


11.占いの記事


12.ファッション雑誌


13.料理のレシピ


14.四コマ漫画


15.テレビ欄


16.日本の土産物や珍しい物


17.自分の家族やペット、旅行の写真


18.案内板や標識、看板の写真


19.自分で録音した音


20.自分で撮影した映像


21.新聞の記事


22.ラジオやテレビの番組


23.インターネット

24.「みんなの教材サイト」*2






さらに、この本に載っているのはこれだけではありません。


日本語の先生たちの体験に基づいたコラムも載っていて、日本語教育という立場を離れて読んでも「なるほど!」と膝を叩いてしまう興味深いものばかりです。


でも、実は身の周りにあふれるものの中から、使えるものを選び、いざというときのために保管し、整理しておくのはとても難しいことです。また、海外で教える先生方は特に、「レアリア・生教材」の入手自体に苦労なさっているのではないでしょうか。




今月発売されたばかりの『日本語教師必携 すぐに使える「レアリア・生教材」コレクションCD-ROMブック』には、約500点の「レアリア・生教材」が電子データのかたちで収録されています。『アイデア帖』を見て、やりたいと思った授業がすぐにできる、そんなコンセプトで作られたのがこの『コレクションCD-ROMブック』です*3





勿論、『アイデア帖』で紹介されている全ての「レアリア・生教材」を収録することができたわけではありません。毎日毎日目を皿のようにして素材を探し、選び、募集し、掲載許可をお願いし、また一方でカメラを片手に街に繰り出し、ご協力者を募って映像や音声を制作……「レアリア・生教材」としてこれらをまとめるのは決して簡単なことではありませんでした。だからこそ、ここに収録された「レアリア・生教材」は、日本語教育に関心を持ってくださり、ご協力くださった多くの皆様のご厚意の賜物なのです。





皆さん、ぜひ一度お手に取ってみてください!




*1:「レアリア」が「もの」であるのに対し、その「もの」に書いてある情報を読み取る場合に「生教材」として区別することもあるそうです。


*2:「みんなの教材サイト」…日本語教材作成の素材をインターネットで提供する、国際交流基金運営のウェブサイトです。詳しい利用方法は、サイト内「はじめての人へ」をご覧ください。


*3:[ご注意] これらの資料の著作権は全て資料提供元にあり、本書・CD-ROMはこの提供元から許可を得て使用しています。これらを無断でほかの出版物やウェブページ、電子教材などに利用することは著作権の侵害になります。





Monday, February 18, 2008

アメリカを沸かせた、2つの”Super”なイベント♪






みなさんこんにちは、オレペコです♪


昨日の日本は、「東京マラソン」で沸きましたねー!わがジャパンファウンデーションからも、フルマラソンの部に4名、10キロの部に1名が参加し、見事完走しました。しかも3時間台で走った人が二人も!!!ジャパンファウンデーション職員、元気です! └(∇≦)┐=з└(∇≦)┐=з└(∇≦)┐=з





さて。


国中大盛り上がりつながりで(←強引 (^ー^ι))、今日は、アメリカでの二つの"Super"なイベントをご紹介しましょう。NY事務所のガテン系(?)、I先輩からレポートが届きましたので、どーぞ。





.*:゚・'゚゚:。'・.*:゚・'゚゚:。'・.*:゚・'゚゚:。'・.*:゚・'゚゚:。'・.*:゚・'゚゚:。'・


f:id:japanfoundation:20080218111535j:image:right2月初旬、アメリカ中を沸かした二つの"スーパー"なイベントがありました。


2月3日の「スーパーボウル」と2月5日の「スーパーチューズデー」です。




スーパーボウルとは、アメリカン・フットボールNFLのチャンピオンを決める試合です。アメリカではいろいろなスポーツが盛んですが、中でもこのスーパーボウルは「全米最大のスポーツの祭典」とも呼ばれていて、例年視聴率は40%を超えるほどの人気(*゚с゚*)で、アメリカ中がこの一戦に熱狂します*1





42回目の今年は、ニューイングランド・ペイトリオッツ(ボストン)とニューヨーク・ジャイアンツの間で戦われました。今シーズンのペイトリオッツは非常に強く、18勝0敗でスーパーボウルまで勝ち進んできました。一方のジャイアンツはワイルド・カードからの決勝進出でしたから、当然ながら事前の予想ではペイトリオッツ断然有利と言われていました。しかも無敗で優勝した例はこれまでに一度しかないため、マスコミの注目は史上二度目の快挙が達成されるかに集まっていました。





NYに赴任して初めて迎えるスーパーボウル。せっかくならみんなで一緒に盛り上がろうと近所のスポーツ・バーで観戦することにしました。店内は当然ジャイアンツ・ファンでいっぱい。普段でも熱狂的なファンで盛り上がっているスポーツ・バーですが、年に一度のスーパーボウルにしかも地元チームが出場し、ましてや相手が宿敵ボストンのチームとくれば、試合開始前から相当にヒートアップしていました。





しかし試合の方は、前評判通りにペイトリオッツが終始支配する展開。


第4Qでジャイアンツが一時逆転しますが、残り2分で再び逆転を許すと、流石に意気消沈して店内は落胆の溜息に包まれました。




f:id:japanfoundation:20080218104851j:image:rightそんな諦めムードも漂い始めた最中、残り1分で奇跡のスーパープレーが生まれます!襲い掛かるQBサックをかいくぐって投げたロング・パスを、(頭を使って)見事にキャッチ!次のプレーでタッチ・ダウンを奪い、残り35秒で大逆転*2!!!


そのままジャイアンツが勝利すると、店内は歓喜の渦、狂喜乱舞、阿鼻叫喚!!!みんなで抱き合って勝利の喜びを分かち合いました。表には店や家で試合を観戦していたファンが通りに溢れ出し、ニューヨークはまるで年末のカウントダウンのような大騒ぎが深夜遅くまで続きました。





ちなみにこのスーパー"ボウル"、英語では"BALL"ではなく"BOWL"と書き、日本の「~杯」のような意味です。「オレンジボウル」や「ローズボウル」といった具合に、その土地の特産品を名前に付けることもあり、そこから日本の大学生と社会人の日本一決定戦は「ライスボウル」と名付けられました。





スタジアムに集まった観衆は7万人以上。実は試合が行われたのは「フェニックス大学スタジアム」で、その名の通り大学の施設なんです。アメリカの大学のスケールの大きさを感じます。





(/゚ ゚)/○~\(゚o゚\)





f:id:japanfoundation:20080218175820j:image:rightさてスーパーボウルの興奮冷めやらぬ2月5日、今度は大統領選挙の山場である「スーパーチューズデー」を迎えました。今年は4年に一回の大統領選挙の年です。1月3日のアイオワ州での党員集会を皮切りに、11月4日の大統領選挙までの10ヶ月間、アメリカ中が選挙、選挙で大騒ぎになります。みなさんご存知の通り、今はその第一段階として、共和・民主各党の大統領候補者を決めるための選挙(予備選挙と党員集会)が行われています。




党大会に出席して大統領候補者を決めるのが「代議員」と呼ばれる人たちです。各州でその代議員を選ぶ選挙が行われていますが、スーパーチューズデーとは、この選挙が集中する日のことを指します。今回2月5日には、共和党は21の州で、民主党は22の州で一斉に選挙が行われ、この日一日だけで定員の半数近い代議員が選ばれました。「代議員を選ぶ」と言っても、代議員は各候補者に直結しているため、どの候補者が何人の代議員を獲得したか、が争われます。結果次第では、この時点で候補者が事実上決まることも多いため、スーパーチューズデーは非常に重要な戦いなのです*3





この日に向けて、激しい選挙活動が展開されていました。


新聞に選挙の記事が載らない日はありませんでしたし、ニュース番組は、朝と夜のほとんどの時間を選挙関係の報道に当てています。中でも注目を集めているのが、ヒラリー・クリントン候補とバラク・オバマ候補の民主党の候補者争い。両陣営とも巨額の選挙資金を投入して派手なPR合戦を展開していました。大量のテレビ・コマーシャルが流され、またどちらも有名人を味方に付けることに必死です。





ヒラリー側に、スティーブン・スピルバーグやジャック・ニコルソン、ダナ・キャランが付けば、オバマ側にはオリバー・ストーンにマイケル・ジョーダン、スティービー・ワンダーと豪華競演。





また相手を批難しあうネガティブ・キャンペーンが行われるのも大統領選挙の特徴でしょう。マスコミの報道も加熱気味で、普段あまり感情を表に出さないヒラリー候補が少し目を潤ませた程度で「あのヒラリーが涙を流した」と大々的に報じられる始末。





f:id:japanfoundation:20080218110945j:image:left2月5日の当日は、もちろん朝から選挙一色。各局とも凄い熱の入れ様で、開票が始まると共に次から次へと当選予想を発表していきます。この日は20以上の州で選挙が行われたわけですから、あまりのめまぐるしい展開に、見ている方は疲れきってしまいました。結局民主党は、ヒラリー候補とオバマ候補がほぼ互角で、候補者争いは今後の戦いに持ち越されました。一方の共和党は、ジョン・マケイン候補が他の候補者を大きく引き離し、指名獲得を確実なものにしました(写真は、選挙会場の様子)。











第44代アメリカ大統領が誕生するのは来年の1月20日。


初の女性大統領か初の黒人大統領か、それとも共和党政権の存続か?


まだまだ熱い戦いが続きます。









さて、ここからはちょっとした「うんちく」。


アメリカではこれほど重要な選挙をなぜ平日の火曜日に行うのでしょう?大統領選挙も「11月第一月曜日の次の火曜日」と決められています。





これは選挙制度が確立し始めた19世紀中頃には有権者の多くは農民で田舎に住んでおり、また投票所の数も少なかったため、日曜日に教会の礼拝に参加してから出発しても十分投票に間に合うように火曜日に設定した、というのが起源だとか。それが今では地方議員の選挙など、多くの選挙が火曜日に行われるようになっているそうです w(゚0゚*)wヘエ~。





"Choose Day(=選ぶ日)"だから"チューズデー(Tuesday)"というわけではないようです・・・w( ̄▽ ̄;)w<<




*1:ちなみに、今年のスーパーボウル中継は、視聴率43.3%で、9,750万人が観たと報じられています。紅白歌合戦並みですね、、、


*2:奇跡の瞬間はこちらで見られます⇒ http://www.youtube.com/watch?v=PiXQqxcWR8k


*3:アメリカの大統領選挙って何度仕組みを説明されてもなかなか理解しづらい複雑な仕組みですよね、、、ちょうど、在京アメリカ大使館のHPに詳しい解説が載っていますので、こちらもご参考まで⇒





Friday, February 15, 2008

”ゆるキャラ”探訪は続く






先週ご紹介*1した、ジャパンファウンデーション幻のゆるキャラ「アジアくん」「リカイちゃん」。あのウルウル瞳☆にこめられた、JFの広報魂はご紹介したとおりですが、なんと最近、また新たなキャラがひっそりと誕生したというトクダネ情報を、ブログチームではキャッチしました。果たして彼らは「アジアくん」「リカイちゃん」の意志を継ぐものなのでしょうか!?





まずは彼らからのご挨拶を。





f:id:japanfoundation:20080212232329g:image:w400





なんやねん、こいつら。


って思った方、いくつかヒントが隠されているのでよくご覧ください。この言葉遣い、そして名前の「ケーくん」「シーちゃん」・・・・




そう、彼らはジャパンファウンデーションの西の大拠点「関西(ansai) 国際 センター(enter)」のマスコットキャラクターとして、2007年10月に産声を上げたのですっ。上記で示したようにセンターの略称としてのKCはもちろんですが*2、センターの施設である高層の宿泊棟低層の事務・研修棟や、泉州(大阪南部)名物の水なす玉ねぎをイメージしていたり、コンビでおしゃべり(コミュニケーション)をすることも内包されていたりと、なかなかバックグラウンドが深ーい彼ら。





そこで現在「ケーくん」「シーちゃん」の保護者的存在の、関西国際センターのYさんにいろいろ聞いてみました。



Q.「ケーくん」と「シーちゃん」の誕生のきっかけは?


A.後でご紹介しますが、3月8日に関西国際センター設立10周年記念シンポジウムを開催します。シンポジウムを盛り上げるために、センターのイメージを分かりやすく伝えるためのキャラクターを作ろうということになり、ケーくんとシーちゃんが生まれました。「ゆるキャラ」の定義どおりの名前で恐縮ですが(笑)(参照)、センター内で公募した結果、一番シンプルで分かりやすいので、この名前にしました。




Q.なるほど。関西弁を話すのも親しまれるためなんですよね。で、その二人のセリフはどうやって決まるのですか?特に「シーちゃん」のつっこみは、私(関東人)にはなかなか思いつけないような気がするのですが・・・*3


f:id:japanfoundation:20080213001210g:image:left


A.私も関東人ですが、ケーくんとシーちゃんには、コンビでおしゃべりボケとツッコミという性格付けがされているため、当初は、広報対象であるイベントに関連する内容で、かつセリフがボケとツッコミで、笑いとしてオチがあるようなもの、を無謀にも必死で考えてみました。が、案の定、どうしてもネタが作れず、結局、職場の関西人の協力を得て作成しています。更に、イメージでは、彼らが話すのは泉州(大阪南部)弁ということになっていますので、泉州人の同僚にネイティブ・チェックをしてもらっています。泉州弁は、北摂(大阪北部)や和歌山の方言とも違うのですが、これが私には新鮮な発見でした。





Q.「ケーくん」「シーちゃん」のチャームポイントを教えてください☆


A.やはり泉州の明るいノリでしょうか(笑)。関東人から見ると、「大阪のノリ」というと勿論陽気なイメージですが、大阪といっても北部は都会的な冷たい感じもあるように思います。ところが、泉州は陽気な「大阪のノリ」田舎の素朴さも加わり、明るく暖かい印象を受けます。海外における日本のステレオタイプというと、このような印象とは正反対であることが多いように思いますので、ケーくんとシーちゃんには、この泉州の地から海外に対して、日本の魅力的な一面を発信するシンボルとしての役割を期待しています。






Yさん、ありがとうございました!


さぁ、今後「ケーくん」と「シーちゃん」はどんなJF人生を送るのでしょうか?皆さん、どうぞ温かく見守って、そして二人がイチオシするKCイベントに足を運んでみてください↓↓ 


 



関西国際センター 日本語教育シンポジウム


「ひらく・つなぐ・つくる 日本語教育の現場」


日時:2008年3月8日(土) 10時~16時


会場:関西国際センター(大阪府田尻町)


申込締切:2008年2月29日(金)


詳細はコチラ


f:id:japanfoundation:20080213000806g:image:w250








*1:ジャパンファウンデーション“ゆるキャラ”探訪前編後編


*2:とはいっても、実は関西国際センターの正式英語名称はJF Japanese-Language Institue, Kansaiで、「KC」となっているわけではないんですよね・・・。でも職員間では多用されている略称なのです。ちなみに日本語国際センターは「NC」、だけど英語はJapanese-Language Institute,Urawa。"N"も"C"もどこにもない・・・^^;


*3:たとえば上記の挨拶。意気込みを熱く語るというよりも、ゆるーく。しかもシーちゃんにいたっては「ホンマかいな」と疑り目線・・・なかなかノンネイティブには難しいワザです。





Thursday, February 14, 2008

文化担当官の休日-おまつり大好きセネガル人 その3「行ってみました、本場のタバスキ」






みなさん、再び高須です。


前回前々回と、セネガルの「おまつり」事情をお届けしてきましたが、その締めくくりとして、私自身が昨年末に体験した「本場のタバスキ(=犠牲祭)」の様子をお届けしましょう!を見るとフラフラ・・・という方にはちょっと衝撃的な内容も?!ではでは、ど~ぞヽ(^∀^*)ノ





::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::





てタバスキ当日。


f:id:japanfoundation:20080209221115j:image:rightAC、いまごろひとりで羊と格闘してるかな、と思いながら、別の友人DNの家にお邪魔しました。朝10時すぎに行ったらすでに長屋中ハチの巣をつついたような大騒ぎ。累々と横たわる羊の頭(もちろん身体もついてます)をバルコニーの柵にひっかけて、皮はぎやら解体やらをしているお父さんたち。長い長い腸を引っ張り出して中身(すなわち糞)をしごきだし、手首にぐるぐる巻き付けて洗っている子どもたち。 「ちょっとあんた、それ胆嚢だからつぶしちゃダメよ、肉が苦くなるんだから」なんて言いながら、肉をより分けているお母さんたち。どの家族も総出でおおさわぎ、おおいそがしです。それにしても、羊の胃袋はおなかのほとんど全部を占めるほどヽ(゚ロ゚; )。あんなに大きなものだとは知りませんでした。セネガルの隣国カーボヴェルデのいくつかの島ではヤギや羊が増えすぎて、草木をほとんど食い尽くす獣害をもたらしていますが、あの胃袋だったらさもありなん、と妙なところで納得。





っちの家、こっちの家ときょろきょろしながら見物していたら、DNの息子がそろそろうちも始めるよ、と呼びにきました。DN購入の羊は丸々太って、角もしっかり巻かれて立派なこと。大きい男の子たちがその角をつかんで、中庭の砂地に横倒しに引き据え、ちいさい子どもたちが腹や足をよってたかって押さえつけます。地面に掘られた穴に首を横たえ、衆目のもと喉笛を掻ききられ、悲しげな目をして一声もなく、羊はあえなく刑場の露と消えました。イスラムの教えでは血はすべて地に注がなくてはいけないので、子どもたちは羊のおなかをみんなで何度も押して、喉から血をしぼりだしています。それが終わると、皮一枚でからだとつながった首を柵にひっかけてまずは皮はぎ。大きな包丁を、ときどき玄関の階段のカドを使ってシャッシャッと研ぎながら、まるまる一枚、破ることなく、首もつけたまま、あっという間に剥いでしまいました。 ◎(*(x)*)◎ ◎(*(x)*)◎





f:id:japanfoundation:20061207231316j:image:w250:rightネガルの長屋には、近所の人たちの集う中庭や広場があります。たったいま羊がほふられたところもその広場のひとつですが、この場所は一昨年12月に、国際交流基金主催派遣の和太鼓グループ「は・や・と」がワークショップを行ったところでもあります。セネガルの人にとって、太鼓は節目節目のおまつりにも欠かせないものですが、そのとき集まってくれた人たちも遠い日本からの若い客人を歓迎し、日本とセネガルの太鼓の共演という「突然のおまつり」を心底楽しそうに、みんなで祝ってくれたものでした。今日は同じ近所の人たちが、同じキラキラした目をして、総出で1年のしめくくり。「おまつり大好き」セネガル人の地域コミュニティの強い絆を改めて思った次第です。





すぎからあっちでもジュー、こっちでもジュー、肉を焼く香ばしいにおいがしてきました。広場の一角に火をおこして網を置いて、「ほやほや」の羊を焼く。ここからはお母さんと娘たちが主役です。タバスキのためにフランスから、イタリアから、「帰省」した家族が思い思いに近況をおしゃべりしながら、にぎやかに食事の準備をすすめます。帰省できなかった家族からも電話がひっきりなしにかかってきて、DNはおおいそがし。 「孫に、おじいちゃん長生きしてねって言われちゃったよ」なんて顔をほころばせています。





「さあさあ、熱いうちに食べて食べて」。一番おいしいと言われるレバーとあばら部分の焼きたてに、タマネギを炒めたソースや芥子を添えたものが大皿に盛られ、運ばれてきました。みんなで車座になってすわり、巨大な洗面器みたいな金属のお皿に右手をのばし(左手は使ってはいけない)、三本の指で器用に一口分をちぎって(けっこうチカラが必要)、ソースをつけて食べます。焦げたところが香ばしくて、肉やレバーそのものの味がぎゅぎゅっと詰まっていて、大変においしい。ピリッと唐辛子の利いたタマネギソースがその味を引き立てます。





れ替わり立ちかわりやってくる親戚の人たちに「まあまあちょっと一口、座って座って」と羊をすすめ、肉をつまみながらひとしきりおしゃべり。お酒はありませんが、日本のお正月とほんとうに同じです。親戚の子どもたちは三々五々晴れ着でやって来て、お年玉をもらうまでお行儀よくおとなしく座っています。DNがいたずらっぽく笑って「ちゃんと勉強してるか?」うんうん、うんうん。神妙にうなずきます。おごそかに民族衣装のたもとからコインを取り出して、ひとつずつ彼らにあげるDN。みんな真っ白い歯を見せて、ぱあっと明るく弾けるような笑顔になりました。もらうものをもらったらお礼もそこそこに、次の親戚「襲撃」に出陣。 「お年玉でノートとエンピツ買うんだ」と言っていました。





うこうするうち、はや時刻は6時すぎ。いとまを告げると、「おまえのための幸せのお裾分けだよ」。いつのまにかきちんと包んであった肉とソースを持たせてもらって、暖かい気持ちで家路につきました。来るものをだれでも明るく受け入れ、おいしいものや幸せは独り占めせず、まわりの人たちと喜んで分かち合う、セネガル人の「テランガ」、歓待の心を存分に堪能した一日でした ∩(´∀`)∩ 





えばこの「テランガ」に14年前に魅せられてからというもの、この不思議な豊かさはどこから来るのだろうかと折りに触れて自問してきた気がします。貧しいか貧しくないかときかれれば・・・・物質的にはやっぱり貧しいといわざるを得ない。しかしながらいったん足を踏み入れると、土地とそこに住む人々の心に深く根ざした文化の力というものが、ひろがりと暖かさをもって私たちを包み込み、私たちを圧倒するアフリカというところ。そこに育った知識人たちが、西洋一辺倒からはるかに遠く、自らの「故郷としての知」を模索し続ける土地。市井に暮らす人々の、音楽とともに身体からあふれ出す躍動感と生命力に満ちたしたたかな生活力。「豊かなアフリカ」はまだまだ手ごわく、奥が深そうです。


                                                        (おわり)





Wednesday, February 13, 2008

春です。求人の季節です。






皆さん、こんにちは。三富です。


最近街中でリクルートスーツ姿の学生さんをちらほら目にするようになりました。





思い返せば、あれは3年前~♪


私が就職活動していた頃に比べて、国際交流基金の就職に関する情報も格段に充実してきました。





今春も各種求人情報をホームページ、新卒者・転職者向けウェブサイト上で公開しています。国際交流に関心のある方、世界を舞台に活躍したい方、日本文化を世界に発信したい方などなど、是非この機会にご応募ください!!





■ 平成21(2009)年度職員募集


国内外の基金事務所で事業の運営にあたる事務職員です。


まずは、エントリーから ((●´∀`)σ  詳細は、こちら


また、マイナビ2009には、先輩職員の声が掲載されていますので、あわせてご覧ください!




さらに、さらに、今月下旬には会社説明会が開催されます!*1

直接職員から基金事業や仕事の内容について話を聞くチャンスです。*2エントリー済みの方は、マイページから予約が可能ですので、お早めにお申込みください。





東京(本部):


第1回目 2月18日(月) 14:00~15:30


第2回目 2月19日(火) 14:00~15:30


第3回目 2月25日(月) 14:00~15:30


第4回目 2月26日(火) 14:00~15:30





大阪(関西国際センター):3月2日(日) 14:30~16:00





■ 海外運営専門員(フランス・中国・インドネシア)


国際交流基金の海外事務所において、事務職員の業務を補助するものです。







業務内容パリ日本文化会館の事業実施(特に舞台公演及び広報)にかかる各種業務


エントリーマイナビ転職(パリ)







業務内容北京日本文化センターの運営・施設管理、事業実施にかかわる業務全般


エントリーマイナビ転職(北京)







業務内容ジャカルタ日本文化センターの運営・施設管理、事業実施にかかわる業務全般


エントリーマイナビ転職(ジャカルタ)





■ 日本語国際センター専任講師


日本語国際センターで実施する、海外の日本語教師に対する研修業務、日本語教材の制作業務、及び国際交流基金が行う日本語教育に関する諸業務を担う専任講師を募集します。詳細は、こちら






Tuesday, February 12, 2008

ドイツ・現代アートの最前線






を代表する美術館の一つが “K21”。(正式にはノルトライン・ヴェストファーレン州立美術館 Kunstsammlung Nordrhein-Westfalen といいます。) えっ、現代美術?興味ないなぁ・・、なんていわず、ほんの少しお付き合い下さい。K21は、ついこの間まで日本人の写真家、杉本博司さんの個展が行われていた美術館なんですよ。



去る2月8日、ケルン日本文化会館では、同美術館のキュレータであるドーリス・クリストフ(Doris Krystof)さんの講演会が開かれました♪テーマは日本の現代美術と建築について。実は、クリストフさんは今秋ジャパンファウンデーションの招へいで日本に滞在された一人。ドイツに戻り、今回日本各地でご覧になったアートの体験を交えたレクチャーをしてくださったのです。*1

それでは、来日中のクリストフさんのお話をちょこっとご紹介します。




f:id:japanfoundation:20071030173251j:image







みかん(以下M):こんにちは、クリストフさん。早速ですが、日本へいらしたのは今回が初めてですか?


クリストフさん(以下KR):いいえ、実は日本とはずいぶん以前から関係があって、これが3度目です。初めて来たのは1993年だったので、もう10年以上前になりますね。


M: そうなんですか。日本には、どんなきっかけでいらしたのでしょうか?





KR: 93年の来日は、国立西洋美術館でピカソ展を行ったときでした。当時私が学芸員として勤務していたK20で行った展示を同館長でいらしたTさんがご覧になって、ぜひ東京にも巡回させたい、ということで実現したのです。その後、日本の現代作家たちに興味を持つようになりましたが、2000年の来日時には、現在ほどアートが日本の街中に浸透していなかったように思います。


M: 7年前…そういえば森美術館もまだオープンしていませんよね。ジャパンファウンデーションのオフィスからも近い六本木のアートエリア、最近は本当に新しい動きが沢山あって興味深いんです。滞在中は、どんな美術館やギャラリーを周る予定ですか?


KR: 森美術館の他、東京では初台のICC、サントリー美術館、21_21Design Sight、東京都現代美術館、今日はこれから小山登美夫ギャラリーへ参ります。それから今回は地方の美術館へ行くのもとても楽しみにしているんです。大阪では国立国際美術館やギャラリー界隈、豊田市美術館、山口情報芸術センター、金沢21世紀美術館、それから直島のベネッセアートサイト。


M: まあクリストフさん、日本人の私でもまだ行っていない場所がありますよ!現代美術のホットなスポット、本当によくご存知なんですね!ところで、もう芋洗坂のギャラリー・コンプレックスには行きましたか?


KR: Imoarai-zaka..? ああ、今日行ってきました! (←インタビュー当日にとてもよかったようで、ちょっと興奮気味。)


M: 気になる作家を発掘いただけたか、興味のあるところですね。日本ではアーティストにも会うのですか?

KR: ええ、幸運にも奈良美智さんと杉戸洋さんに会う予定です。*2村上隆さんにもお会いしたかったのですが、残念ながら都合がつかなかったんです。*3

M: クリストフさんは、2005年に奈良さん*4、杉戸さんの二人展をデュッセルドルフで企画されていますよね。お二人とはすでにお知り合いなのですか。


KR: ええ、もちろん。K21での展示は、「Yoshitomo Nara&Hiroshi Sugito - Over the Rainbow - 」というタイトルでした。


M: 「Over the Rainbow」って、あのオズの魔法使いの有名な曲ですよね?どんなコンセプトでそんなタイトルになったんですか?


KR: この二人は、愛知県立芸術大で学生時代一緒に勉強していた二人なんです。その頃から、いつか二人で展覧会を開こうという強い希望を持っていたそう。それが、ウィーンのクンストハレ(Kunsthalle)とK21で実現することになったんです。オズの魔法使い、ご存知ですよね?たしかこの物語は、カラー図版が使われた始めての児童書なんです。


M: えっ、それは初耳です。その「オズの魔法使い」が奈良さんや杉戸さんにつながるんですか?


KR: 物語は映画化されていますが、ストーリーの始め、ドロシーの住むアメリカ・カンザスの現実世界では、画面が白黒なんです。それが、魔法の国に迷い込んだ瞬間、世界がカラーになるんです。恐らくですが、この色彩についての感覚が奈良さんと杉戸さんを結ぶ一つの要素となっていたのではないでしょうか。


M: 奈良さんの作品、少女を描いた作品がよく知られていることもあるのですが、たしかに柔らかな色彩が“maerchenhaft(メルヘンチック)”な世界を連想させます。杉戸さんの作品、わたしはまだ数点しか見たことがないのですが、劇場のステージで幕があがったところを描いた油彩を拝見したことがあるんです。やわらかな色で、そこから拍手が聞こえてくるような、何かストーリーが紡ぎだされていくような、不思議な作品だったのを覚えています。

うんうん、いわれてみれば、たしかに両者とも「ファンタジー」とか「メルヘン」な世界観・・・。奈良さんは、ドイツでも有名なんですか?


KR: そうですね。特に美術関係者やギャラリストの間ではよく知られていると思います。杉戸さんは特に関係者には知られていると思いますが、Geheimtipp―これから大いに期待できる作家さんではないでしょうか。

M: 奈良さんや、特に村上隆さんの作品は、ポップカルチャー、今や世界的な人気を誇るジャパメーションやオタク*5とも関連づけられることも多いですが、そのあたりはどのようにお考えですか。ドイツのアーティスト、特に画家に関していえば、非常に政治的、歴史的なテーマを扱う方も多いですよね。それに比べると、日本のアーティストたちの作品は、非常に“軽く”映ったりしないでしょうか。


KR: 残念ながら日本語が読めないので、マンガを実際読んだことはありません。ただ、イメージとして日本のアニメやマンガを目にしたとき、「ピンク」が象徴的な色であるような感じがします。


M: なるほど。ドイツの書店にもMANGAが並ぶ今、日本的なものという先入観などまったく無しにマンガに親しんで育った世代がすでにいると思います。そういったものに何らかのインスピレーションを受けて、作品を制作するアーティストなど、ひょっとしたらいるかもしれないですね。


KR: 今のところ、すぐには思い当たりませんが・・・。ネオ・ラオホ Neo Rauch(1960-)のようにシュルレアリスムとポップを継承するような作家はいますね。新・ライプツィヒシューレを代表する彼の場合は、東ドイツ出身という歴史も背負ってはいますが。


M: クリストフさん、どうもありがとうございました。2週間ほどの滞在ではありますが、ぜひサブカルチャーまで含めた幅広い日本のアートシーンを楽しんでいってくださいね。クリストフさんのような方には、ぜひ日本のアートの新たな一面を発見していただけるのではないかと、期待しています!!







 * *** * *** * *** * *** 




ブログチームでは、これからも海外からやってくる様々なプロフェッショナルたちの素顔を、皆さんにお伝えしていきたいと思います!どうぞお楽しみに。



*1:ジャパンファウンデーションには海外からの文化人招へいプログラムがあり、今までに来日した文化人の中には、あのレヴィ・ストロース Levi-Strauss(1908-)もいたのですよ!その他、今年来日いただいた方々には、ノーベル文学賞作家のジョン・マックスウェル・クッツェー(John Maxwel Coetzee)さんもいました。全国各地でイベントもあるかもしれませんので、ジャパンファウンデーションのウェブサイトを要チェックですよ。

*2:実際には制作の都合で、残念ながら面会できなかったとのことでしたが、今後もきっと展覧会等で関わる機会があるかもしれませんね!!

*3:そのほかにも最近気になる日本人アーティストを尋ねたところ、近藤聡乃さんのお名前が。カールスルーエのZKM(アートとメディアテクノロジー・センター)でご覧になったそうです。近藤さんは、2008年日インドネシア友好年記念事業の展覧会「Japanese Artists meets Indonesia(仮)」に出品いただく予定です。

*4:奈良さんは実はドイツ語がペラペラなのだとか!!それもそのはず80年代終わりからデュッセルドルフの芸術アカデミーで勉強、その後ケルン近郊で制作していたのです。ジャパンファウンデーション職員のMさんは、かつてケルン文化会館赴任中、まだ有名になる前の奈良さんにお会いしたと言っていました!

*5:2003年にジャパンファウンデーションが行ったヴェネチアビエンナーレ建築展(日本館)ではOTAKU展が話題となりました。詳しくはこちらを覗いて下さいね。




Monday, February 11, 2008

文化担当官の休日-おまつり大好きセネガル人 その2「タバスキは、さながらお正月」






みなさんこんにちは、セネガルの高須です。

前回に引き続き、「犠牲祭」の様子Vol.2をお届けします!




*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+




ネガル最大の年中行事は、イスラム犠牲祭「タバスキ」
朝のお祈りのあと、アッラーの名のもとに羊の喉をかっさばき、血を地面に流し、その場で皮はぎ・腑分け・解体を行うという、実に血なまぐさいものですが*1、セネガル人であればだれもが心待ちにしている1年のしめくくりのおまつりです。




f:id:japanfoundation:20080125181747j:image:rightマダン最終日の翌日(これもコリテというおまつりです)から2ヶ月後の新月から数えて、10日目がタバスキ。コーランにちなんだもので、アブラハム(聖書でも同じ)が神の命に従って息子イスマイル(聖書ではイサク)をまさにいけにえとしてささげようとしたその瞬間、天使ガブリエルが羊を持って天から降りてきた。以来、雄羊をささげることとなったのが由来だそうです。そのときガブリエルは、羊の角つかんで一緒におりてきたので、「タバスキの羊は角のある羊じゃないといけない」んだとか。とにもかくにも、この時期になると町中が、白くて角のある羊であふれかえります。広場という広場はどこもかしこも羊だらけ、地面は羊の糞で足の踏み場もないほど。セネガル人のお宅に呼ばれると、台所の裏から突然メエエーという大音声が聞こえて、椅子から思わず飛び上がったりするのもこの頃です。冷蔵庫のある家ばかりではありませんから、羊は当然、おまつり当日まで生かしておくのが新鮮さを保つ秘訣。おまつり直前は値段がはねあがりますから、すこし前に買っておいて、自分の家で子どもたちが羊を養っているうちにすっかり情が移り、タバスキ当日に「ぼくらの羊」にとりすがって「殺しちゃいやだー」、と泣くことも多いとか。




バスキはイスラム暦によりますから、日にちは毎年ずれます。日を決めるにあたっては、政府の専門委員会のおじいさんたち(だいぶん目がかすんでいるとのうわさもあり(-_-;)が、くだんの新月とおぼしきその日にみんなで空を見上げ、 「おい、月は見えないな、ホントにホントに見えないなっ」と各地で確認し、その日から10日後をタバスキの日として正式に発表します。「委員はそろって月が全くみえないことを確認した」なんていう記事が大真面目に新聞に載ります。2007年のタバスキは12月21日となりました。とはいえどうも全会一致ではなかったようで、いくつかの宗派の人たちは20日こそが正当なタバスキであると主張し、前日から路上でいきなり羊を殺し始める人たちもいたりして、市中は若干混乱していましたが、「まあ、もともと20日からおまつりは始まっているようなもんだから」と庶民はいたって鷹揚でした。




人男性であれば、タバスキに少なくとも羊一頭を用意しなくてはいけません。男尊女卑の傾向が強いイスラム教ですが、最近では経済的に自立している女性も、一頭用意するようになってきているとききました。お金持ち(だと思われている人)は親戚にも配らなくてはいけないので、多い人は5頭も6頭も購入します。功成り名を遂げた人が、若い頃に世話になった親戚にずっと羊を送り続けている、というような例も多いそうです。
f:id:japanfoundation:20080124182243j:image:left私の友人ACはギニア国境近くの草深い辺境の村の生まれで、夕飯に米が出たりした日には「ACんちの夕食は今日、米だぜ、米」と村中のうわさになるようなところだそうですが*2、若い頃に少々無理をして甥っ子の英国留学の費用を用立ててやったら、以来その甥っ子は感謝の気持ちを忘れず、毎年英国から羊を買うお金を送ってくるそうです。だからタバスキの羊は買わなくて済んでるんだ、と自慢していました。ちなみにACの息子たちは現在フランスで受験勉強中なので、奥さん(キリスト教徒)は今回フランスに行ってしまい、ACはひとりダカールでお留守番。「今年のタバスキは、ボクひとりでお祈りして、ボクひとりで羊殺して、そのまま肉を冷凍庫に詰め込んで、友だちの家に行って友だちの羊食べて、あとは女房の帰りを待つばかり」とちょっぴりさびしそうでした(´へ`;)




常、タバスキの時期には、各国・各地に出稼ぎや留学に出ている息子や娘が続々と故郷に戻ってきて、盛大におしゃべりしながら料理して、新調の晴れ着を着て、肉をたっぷり食べて、親戚や友人を訪ねあって、またそこでも羊を食べて、子どもにお年玉をあげて・・・・とまさに日本の餅つき、お正月のような光景がまちじゅうで展開されます。「肉好き野菜嫌い」の傾向著しいセネガル人が、「うー、もう肉なんか見たくないよお」と楽しげに得意げに言う日でもあります。夜になると晴れ着を着て門かどをめぐり、親戚やご近所の人たちに、この一年間にさまざまな迷惑をかけたこと、かけたかもしれないことに対して「ごめんなさい」を言い合う(demander pardon)習慣があり、日本の除夜の鐘とも通ずるものがあることを思います。ウォロフ語で「心を洗う」という表現も使うそうですが、なかなか粋な風習だと思いませんか(´ー`*) 。こうして心を洗い、心ゆくまで肉を堪能したセネガルの人たちは、気持ちも新たに次なるおまつり、イスラム新年(タムハリット)へと突入していくのであります。

(つづく!)



*1:要するにこの日一日で、少なくとも成人男性の数だけ羊が殺されるわけです( ̄ ̄;)!!

*2:ちなみに主食はトウジンビエやマメです




Saturday, February 9, 2008

文化担当官の休日-おまつり大好きセネガル人 その1「おまつりは文化の多様性を映し出す」






みなさまお久しぶりです、オレペコです。


大統領選で沸くアメリカ(NY, LA)出張から帰ってきて約一週間。現地のスタッフに、「ちょっと、大統領選の様子、書いてくださいよ~」とおねだりしてまいりました(!)ので、間もなく現地からの報告記事が載せられる予定!!!乞うご期待





さて、その前に。


本日から3回の連載で、イスラムの伝統行事「犠牲祭」の様子を、セネガルからの生き生きとした現地レポートでお届けしたいと思います。第1回目の今日は、 「おまつりは文化の多様性を映し出す」と題して、「おまつり」の背後に見え隠れするセネガルの人々の感性や、広く生活に根付いている”多文化共生”の様子をお送りします。ではでは、どーぞ\(^^)/





:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: (←セネガルの国旗の色を使ってみました~)




f:id:japanfoundation:20080126172942j:image:right前回、「文化担当官のおしごと」をご紹介*1してから、あっという間に9ヶ月w|;゚ロ゚|w がたちました。その間、ダカールでアフリカ初の国際ペン総会が開催されたり(ペン史上最大にして空前絶後、怒涛の3時間遅れの開会式)、「チェド」、「母たちの村」などの作品で知られる映画監督センべーヌ・ウスマンが亡くなったりと、2007年は何かと文化の話題の多い年でもありました。アフリカ音楽の振興と音楽家の保護・育成に多大な貢献のあったママドゥ・コンテも、志なかばにして亡くなりました。ママドゥは私が14年前、初めて友人とともにセネガルを訪れたとき空港で迎えてくれ、セネガル文化の計り知れぬ豊かさを教えてくれた人でもありました。





明けて2008年はTICAD IV(アフリカ開発会議)開催年かつアフリカ交流年。TICAD(Tokyo International Conference for African Development)は5年に一度開催、アフリカ各国元首をはじめとする世界中のアフリカ関係者が一堂に会する国際会議です。今年は、アフリカが潜在的に持っている豊かな生命力と文化力を「元気なアフリカ」として日本に紹介することが大きな目的のひとつ。サイドイベントとして、セネガルの太鼓グループのコンサートをはじめとする、さまざまなイベントが予定されており、5月の横浜はアフリカ一色となりそうな勢いです。わがダカールでも日本企業の協賛を得て、日・アフリカ太鼓奏者による競演を4月下旬に開催できる見通しとなりました。この春は、日本で、アフリカで、躍動するアフリカの「文化の生命力」の炸裂を期待したいものです。





f:id:japanfoundation:20060627202732j:image:rightさて、おしごとの話はこれくらいにして、今回はセネガルの「おやすみ」のことをご紹介しましょうo(*^▽^*)o~♪

いやはや、セネガル人ほど年中何か祝ってる国民もいないんじゃないか、というくらい、彼らはおまつり大好き。それ結婚式だ、赤ちゃんの命名式だ、と家族親戚のお祝い事もさることながら、公休日の多いこと多いこと*2。国民の9割がイスラム教徒ですが、クリスマスも聖母昇天祭も復活祭も、しっかり休みます。もちろんイスラム新年もマホメット誕生日もイスラム犠牲祭も、みんなみんな休みます。

ホテルやレストランの従業員、タクシーの運転手など休日に休めない職業では、イスラムのお祭りの日はキリスト教徒の同僚が働き、キリスト教のお祭りの日にはイスラム教徒の同僚が働く、というような互助システムもさりげなく成り立っているとかw(゚o゚)w オオー! 。また、セネガルではカトリック系の団体が学校を経営することも多いのですが、その生徒の大半はイスラム教徒。学校側も改宗を強制するようなことはせず、あるがままに受け入れて教育をしているので、学校内でも自然とふたつの宗教の文化や習慣が(そしてもちろん休日も)共存しているとききました*3





教間の対話と文化多様性。


このふたつがきわめて日常的に自然に成立するのは、セネガル人の持つ、争いを避ける知恵としての「前向きのいいかげんさ」と、異質なものも柔軟に自分たちの社会に組み込もうとする「明るいおせっかい」な感性によるところが大きいと思います。こうした享楽的適応性が、これまでも社会内部の紛争の発生を抑制してきた、といえるかもしれません。セネガル人が伝統的に争いを好まず、歴史上虐殺やクーデターがほとんどなかった、というのもこうした文化的柔軟性によるのではないでしょうか「冗談関係」がその好例で、ある特定の民族同士、氏名同士、家族構成員同士はどんな失礼なことを言ってもケンカにはならない、という暗黙の了解が存在しており、だれかが一緒にいれば、必ず何らかの「冗談関係」が複数成り立つので、その場での争いを未然に防ぐことになっている、といいます。こうした感性については、初代大統領サンゴールの提唱したネグリチュード(黒人性)などでも述べられていますが、多民族・多宗教・多言語が錯綜するセネガルならではの処世術であるといえましょう。





理屈はさておき、どの民族もどの宗教も、おやすみがうれしいことに変わりはありません(゚ー゚)(。_。)ウンウン。とりわけ一般市民にしてみれば、もらえるもんなら夏でもストーブ、休めるんならいつでも歓迎、といったところ。かてて加えておまつりは、生活の潤い、共存の証し、家族の絆・コミュニティの絆の再確認の晴れ舞台。それならみんなで楽しんじゃおう、とあくまで明るいセネガル人なのであります。


(つづく)




*1:セネガルでの業務の様子を2回に亘ってお届けしました。Vol.1はこちら、Vol.2はこちら


*2:実は日本も負けないくらい多いんですけどね


*3:ちなみに写真は「貝殻島」という島で、セネガルで唯一キリスト教徒とイスラム教徒が一緒に埋葬されている墓地があることでも知られています





Thursday, February 7, 2008

 「をちこち」~世界の「国民的女優」~発売!






こんにちは、『をちこち』編集担当の西納です。


突然ですが、日本の「国民的女優」というと誰を思い浮かべますか?


あるいは「国民的女優」とはどういう存在だと思われますか?





f:id:japanfoundation:20080207170852j:image:left





2月1日に発売となりました『をちこち』第21号では、「世界の<『国民的女優』」と題した特集を組み、世界各国の「国民的女優」を紹介した記事をお届けします。日本/中国/タイ/イタリア/エジプト/米国/イランの各国で、誰が「国民的女優」と考えられるか、またなぜその人物は「国民的女優」になったのか、あるいは、「国民的女優」を選ぶのが困難な国はあるのか。各国の映画事情に精通したメンバーが筆を取り、また熱弁をふるいました。目次はこちらをご覧ください。




皆さまご存じ、通算100を超える映画作品に出演し近代日本映画史と歩みを共にしてきた吉永小百合さんから、アラブ映画祭*1で紹介されたエジプトの国民的女優・ファーティン・ハマーマさんとスアード・ホスニーさん、そしてハリウッド女優の中に果たして国民的女優がいるのか、という議論まで。『をちこち』第21号はノスタルジーを感じる話題づくりや、新たに女優さんを知って各種映画祭を楽しむための手引きとして、ご活用いただけるのではないかと思います。





さて、ここから『をちこち』にまつわる最近のエピソードを3つ。


1.昨日2月6日(木)は、「をちこち」初の試みとして、外部の会場で読者イベントを行いました。第21号の鼎談出席者・四方田犬彦先生、執筆者の韓燕麗[ハン・ヤンリー]さん(中国)、ショーレ・ゴルパリアンさん(イラン)をパネリストにお迎えし、女優話に花が咲きました。





f:id:japanfoundation:20080206071247j:image:right





中国の歴史と共に銀幕での役柄も変化した白楊さん、ショーレさんのお友達で国民からは「親戚のように」愛されているというファテメ・モタメド・アリアさん、「国民的女優」は最近というよりも一昔前に存在していたかもしれないという分析と共に原節子さん、若尾文子さん、吉永小百合さんなどの名前が挙げられ、会場は笑いと頷きが交互におこりました。雪が降ったりやんだりのあいにくのお天気にもかかわらず、会場を埋め尽くすほどたくさんの方においでいただき、本当にありがとうございました。





帰り際に「世界のイケメン特集はしないんですか?」という嬉しいご提案も。もしかしたら今後特集があるかもしれませんし、ないかもしれません(^^)。





2.吉永小百合主演の最新映画「母べえ」が全国公開中です。戦争に翻弄される家族における、しかし苦境に屈しないたくましくも優しい母親の姿が切々と描かれています。最近こういうヒューマンドラマ系に弱い私は結構「じーん」と来てしまいました。『をちこち』第21号において吉永小百合に「国民的女優」の白羽を立ててくださった藤井淑禎先生の記事と併せてお楽しみください。





3.「GOTH ゴス展」が横浜美術館で開催されています。『をちこち』第20号6ページでご紹介した束芋さんの「ギニョる」が見られます。吉永マサユキさんの「ゴス」「ゴスロリ」の強烈な写真をたくさん見た後に、「ギニョる」の360度スクリーンで展開する蠢く映像の中に入ると、意識と身体が共に内部にもみこまれていくような圧巻な体験ができます。ぜひこちらも「をちこち散歩」と併せてお楽しみください!




*1:昨年度のご紹介はこちら





Wednesday, February 6, 2008

ついにできました!2007年度JFオリジナルグッズ!![Part2]






商品開発ワーキングチーム結成! *1






f:id:japanfoundation:20080204123345j:image


あい:そもそもこのワーキングチーム(以下、WT)の結成って、JFオリジナルグッズの新商品社内公募とエビちゃんの声がけがきっかけだったね。





neige:入社して間もない頃だったから、JFってこんな風に社内公募してグッズ作るんだ~って思った。





エビちゃん:せっかくだから、同期で一緒にアイディア考えて、応募したら楽しいなと思って、みんなによびかけたんだ☆ 




みかん:そんな話をたまたま事業開発戦略室(以下、戦略室)の富岡室長*2にしたら、WTとして企画から開発まで実際にやってみない?というお話を頂いたんだよね。





子羊003:そうそう、「JF☆GIRLS2007」とか言って(笑)始動したのが6月くらい。








アイディアの泉から湧き出たものは…?


ヨネさま:社内応募で募ったアイディア、刺激を受けたな~。文具、カレンダー以外にも日本紹介ツールセットとか、JFオリジナルCDとか、たくさんあったよね。





子羊003:うん、そこから戦略室の方々と協力して何を商品化するか考えていったけど、話を進める内に、ただグッズを作るだけじゃなくて何かJFらしさを加えたいってことになって。





あい:そうそう。候補の中から普段使いにも日本紹介にも役立つてぬぐいと風呂敷が残ったけど、どちらも捨てがたくて最後まで悩んだね…




みかん:そんな時富岡室長から伺ったのが、昨年開発したASIA5デザインのTシャツが好評で、Tシャツを置いてくれていた美術館*3が続編を期待してくれてるっていう話だったよね。





ヨネさま:うん、それで、Tシャツのデザインを活かすならてぬぐいの方がいいんじゃない?って意見がまとまっていったかも。





neige:もう1つのポイントは、てぬぐいなら気軽に手にとってもらえることだったよね。





エビちゃん:それに、アジア各国から来たデザイナーのデザインを、『てぬぐい』っていう和小物に反映するっていうコンセプトが交流事業の延長線上としてJFならではって感じたかな。











いざ、売り出せ~!!の、前に。


子羊003:そういえば、最後ラッピングの話になったよね。Tシャツが好評だった理由の1つはラッピングだったと思うから、てぬぐいでも工夫しよう!って。



f:id:japanfoundation:20080204121852j:image


(ちなみにTシャツのラッピングはこんなかんじでした)





あい:最初はTシャツのラッピングに使ってる説明書きを同じように付けようって話だったけど、全く同じじゃつまらないし、説明するだけじゃなくて実際に使えるものをってことで、カードにできたらいいんじゃないかなって。





エビちゃん:そうそう、プレゼントする時にメッセージを添えたりもできるし。





ヨネさま:それはいいアイディアだ!って富岡室長や戦略室の方々も乗ってくださって(笑)、折り畳むと分からないてぬぐいの全貌も、カードを前面に入れたら一目で分かるようになったしね。



f:id:japanfoundation:20080204122048j:image


(ラッピング前面はこんなかんじです☆)





neige:さらに裏面には他のてぬぐいの柄もASIA5のことも分かってもらえるような説明も入れようってことになって、皆でいろいろデザインを考えたなぁ…



f:id:japanfoundation:20080204123212j:image


(そして背面はこんなかんじです。)





子羊003:てぬぐいが引き立つような並べ方は縦?横?とか、背景は何色かとか…簡単に妥協することなく、戦略室とWTのメンバーとで最後まで粘って意見を出し合ったね~











そして、これから。


エビちゃん:WTが発足した6月から約半年…やっと商品が出来て嬉しいね!





ヨネさま:メンバーそれぞれが違う部署で業務に励むかたわら、皆で協力して、楽しくアイディアを出し合えたことも嬉しい収穫だったかな。





neige:普段は人事課にいるから基金の事業に直接関わる機会が少ないけれど、ASIA5や商品開発のことを更に知ることができたし、いつもとは違った仕事ができて勉強になりました!





あい:「2007年度新商品はてぬぐい!」って決まってから海外事務所からも問い合わせがあったし、日本国内だけでなく海外でも展開と考えると、さらに夢が広がるね!





みかん:このてぬぐいをきっかけに、「こんな使い方するなんて、日本人の発想は変わってるな」とか、「このデザインは誰が作ったの?」とか、「こんなもの作ってるJFって一体何??」とか(笑)、素朴な疑問から興味をもってもらえたらいいよね。





子羊003:まだまだ色んなグッズのアイディアも残っていることだし…


f:id:japanfoundation:20080204123428j:image





゚・:*:・。引き続き、JFオリジナルグッズに乞うご期待です゚・:*:・。





*1:完成した「てぬぐい」の魅力を伝えるPart1もぜひ読んでくださいね。おかげさまで、早くも各種新聞で私たちのてぬぐいが紹介されたんですよ!!


*2:事業開発戦略室長。写真はこちら!→http://d.hatena.ne.jp/japanfoundation/20070621


*3:Museum Shopなどなど、続々と販売予定!





Tuesday, February 5, 2008

[みなさんへの]ジャパンファウンデーション“ゆるキャラ”探訪(後編)






こんにちは。三富です。





昨日の前編でご紹介した、アジア理解講座のPRキャラクター「アジアくん」と「リカイちゃん」。今日は、ついにその知られざる出生の秘密が明かされます。






Q:「アジアくん」と「リカイちゃん」が生まれたのは、いつ頃ですか?


A:1999年の春、親しみやすいキャラクターを作ることで講座に興味を持ってくれる人をもっと増やしたいという思いと、楽しい講座というイメージを持ってもらいたいな、という考えからキャラクターを作ることを考えました。f:id:japanfoundation:20080125171108j:image:right





Q:なるほど。「親しみやすさ」を通じて、基金事業に興味を持っていただくという点では、このブログと通じるものがありますね。


また、「親しみやすさ」という観点からみると、このキャラクターデザインは狙い通りだったのではないですか?このかなりゆるいデザインはどなたが担当されたのでしょうか?


ドラえもんも真っ青(もとから青いですが…)の2頭身の体型や、お腹の「ア」のあたりに、愛らしさを感じます。


 


A:当時パンフレットのデザインをお願いしていたデザイナーさんに相談したところ、キャラクターを作成していただけることになったと記憶しています。f:id:japanfoundation:20080125171039j:image:leftいかにも公的機関が作りそうなデザイン的なゆるさやネーミングの適当っぽさ、というのはわざと狙ったのだったと思います。「特殊法人」=堅いというイメージをやわらかくする効果はあったかと思いますが、今なら「ゆるきゃら」とカテゴライズしてもらってもうちょっと組織内でもちやほやしてもらえたかも知れず、早すぎた誕生が残念です。





Q:今でこそ、徹底したそのゆるさが、時流にかなっていて且つとても愛おしいですが、当時は、かなりアバンギャルドなキャラクターだったわけですね。もしかしたら、アジアくんの「ア」は、不意をついてアバンギャルドの「ア」だったとか!? すいません、ちょっと調子に乗りすぎました...


それはさておき、9年ぶりに再会を果たしたお気持ちはいかがですか?





A:今改めてみるとかなりいじらしいキャラクターで1年でお蔵入りしてしまったのはかわいそうだったかもしれません。






Mさん、貴重な情報をありがとうございました!!





これまでも、国際交流基金は、国際交流基金という組織やその事業についてより多くの方に「親しみやすさ」を感じていただくために、「アジアくん」「リカイちゃん」といったキャラクター開発のみならず、各地の国際交流イベントへの出展、サポーターズクラブ制度、修学旅行生の受入れなどなど、さまざまなツールを活用し、広報に努めてきました。





国際交流基金オフィシャルブログ「地球を、開けよう。」も、開始から3年と5ヶ月を迎えましたが、これからもいろいろと国際交流基金や国際文化交流の魅力を皆さんお伝えしていきますので、引き続きどうぞよろしくお願いします!





Monday, February 4, 2008

ジャパンファウンデーション“ゆるキャラ”探訪(前編)



皆さん、こんにちは!三富です。





数年前から注目を集める「ゆるキャラ」。


そもそも「ゆるキャラ」とは、みうらじゅんさんの造語で、全国各地で開催される地方自治体主催のイベントや村おこし、名産品などをPRするために作られたゆるーいキャラクターのこと。





さらに、Wikipediaでは、ゆるキャラの特徴なるものまで挙げられています。



1. クオリティのばらつき


特定の行政目的の普及啓発や地域主催のイベントの認知向上などの手段として、キャラクターそのものを一般公募し、その中から選定するといったケースも多い。そのためか中にはいまひとつ垢抜けないものも見受けられるなど、団体間でのキャラクターのクオリティにはかなりのばらつきがある。


2. キャラクターに対する団体の思い入れの強さ


一般に、キャラクターの所属団体が特定の目的を持ってキャラクターを選定・作製・使用するケースがほとんどであり、それだけにキャンペーン等にかける当該団体の思い入れがより強く反映されやすい環境にあるといえる。このため、当事者の思いは十分くみとれるものの、意匠を凝らしすぎた結果、見た者が一瞬思わず絶句してしまうようなものや、「正直これはちょっとローカル色が濃すぎるのではないか」と思われるようなものもたまに現れたりする。


3. 存在基盤の脆弱さ


所属団体の組織力の強さやPRへの力の入れ具合、財政力などによって存在が左右されるのもゆるキャラの大きな特徴の一つといえる。


4. 特徴的なネーミング


まず何よりもキャラクター自体に親しみを持ってもらおうという配慮が働くためか、一般に「~ちゃん」「~くん」「~りん」のように「ん」で終わるものや、「~ぴー」のように、長音で終わるといった名前をもつものが多い。


Wikipedia「ゆるキャラ」より



さて、前置きが長くなりましたが、ここからが本題。





国際交流基金でも、「エリンが挑戦!日本語できます」のエリンホニゴンといったキャラクターを広報にも活用しています。


f:id:japanfoundation:20060922151309j:image 





CGを駆使したエリンなどは、「ゆるキャラ」というよりも、おそらく「萌えキャラ」にカテゴライズされるのでしょうが、今から遡ること9年前の1999年、20世紀の末に、すでに国際交流基金でもゆる~いキャラがヒッソリと制作されていたことを、皆さんはご存知でしょうか?





その名も、「アジアくん」と「リカイちゃん」。衝撃的です。


すでに、前述4.の「特徴的なネーミング」の条件をクリアしています。


f:id:japanfoundation:20080125171039j:image f:id:japanfoundation:20080125171108j:image 





この「アジアくん」と「リカイちゃん」。


その名前から、国際交流基金の事業に通じた方なら、何の事業のPRキャラクターなのか察しがつくはず。




そう、アジア理解講座のキャラクターです!*1





1999年度の募集要項には、その活躍ぶりが確認できます。


f:id:japanfoundation:20080125171231j:image


(必死にアジア理解講座を紹介する、アジアくんとリカイちゃん)





さて、これらの情報を整理して推測される、この1組のゆるキャラの生態は、、、



固体名: 「アジアくん」「リカイちゃん


種 別: アジア理解講座PRキャラクター


性 別: 「アジアくん」♂、「リカイちゃん」♀


出生地: 国際交流基金アジアセンター






まだまだ未知の生命体です。




年度の変わり目にひっそりと姿を消してしまった「アジアくん」と「リカイちゃん」ですが*2、再び彼らにスポットライトを当てるべく、後編では、当時担当されていたMさんに、アジアくん、リカイちゃんの出生秘話を詳しく伺います。


お楽しみに。




*1:現在は、市民青少年交流課が、異文化理解講座の一環として行うアジア理解講座(その他、中東理解講座中南米理解講座大洋州理解講座があります)ですが、当時は国際交流基金アジアセンターがアジア理解講座を実施していました。


*2:前出の3.「存在基盤の脆弱さ」の条件も見事にクリアしてしまっています。